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INTERVIEW

Alternation of Generations

2022.09.28UPDATE

Alternation of Generations

Member:DANCHO(Vo) YOSHIHIRO(Gt) Ryosuke(Ba) FUMIYA(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-かくして、このバンドにはAlternation of Generationsという名前が冠されました。この由来についてもうかがわせてください。

DANCHO:これはRyosukeが提案してくれた名前なんですよ。このバンドに関しては、テクニカルなところを打ち出していきたいという思いがあるんですけど、現実として今の日本でテクニカルさを売りにしている人たちって、自分たちより上の世代の方が圧倒的に多いんですよ。あと、いわゆるプレイヤー系の雑誌の表紙とかに関しては、いつまで経っても50過ぎのレジェンド級外国人アーティストばっかりじゃないですか。そういうテクニカルなこと=古い人たちのものって認識を、このバンドでは変えていきたいってスタンスなので、それを表す言葉としてAlternation of Generationsはまさにピッタリだったんです。

Ryosuke:50過ぎのおじさまたち......じゃなくて(笑)、大先輩方とこれから世代交代をしていくのが我々ですよということですね。

-承知いたしました。なお、Alternation of Generationsに略称というのはありますか?

DANCHO:普段はA.O.Gと気軽に呼んでもらって大丈夫です!

-紆余曲折ありつつも、ついに本格始動したA.O.Gは、このたびメジャー・デビューEP『P.O.P』を発表することになったわけですが、今作のレコーディングでは、ドラムの音をあとから録っていくことになったものもあったそうですね。

FUMIYA:前任が叩いたものを、あとから差し替えていく必要のある曲がありましたからね。自分にとって初めてのことでしたけど、別に曲そのもののことを考えて叩いていくっていうこと自体はいつもと基本的に変わらないので、やりにくさとかはそんなに感じなかったです。

-メイン・コンポーザーはYOSHIHIROさんですが、原曲の段階だと各バートのアレンジはどの程度まで具現化してあるのでしょうか。

YOSHIHIRO:完成図がしっかり見えるくらいには作り込んでいるつもりですが、そこはみなさんいかがですか?

Ryosuke:いやもう、その通りです。

DANCHO:最初からすべての曲で地獄絵図が描かれてます(笑)。

FUMIYA:デモ段階でここまで細かいドラム・フレーズを入れてくる人って、僕としては初めてでしたね。ドラマーが作ったのか? というくらい緻密で、僕としては"マジか! これを叩くのか!!"ってなった場面が多々ありました。

YOSHIHIRO:自分としては曲のイメージをなるべくちゃんと伝えたいだけで、だからといって"これ通りにやってほしい"ということでもないんですよ。フィールドはここに用意しましたので、あとは自由に駆け回ってくださいという感じなんです。

DANCHO:ところがね、そのフィールドは地雷原なんですよ(笑)。

Ryosuke:ただのフィールドに見えて、ちょっとでも進むべきルートを踏み外すと地雷に当たっちゃう(笑)。

FUMIYA:自由ではあるんだけど、自由の範囲がだいぶ狭い(笑)。

YOSHIHIRO:あははは(笑)。

-つまり、今回メンバーのみなさんは死線をかいくぐりながらの制作にいそしまれたわけですね。そして、今作では1曲目の「Ikarus」がリード・トラックとなっておりますが、全6曲ある中でこの曲がリードとして選ばれた特段の理由があれば教えてください。

YOSHIHIRO:今作中では最もわかりやすいバンド・サウンドになっているからですね。

Ryosuke:一番キャッチーな曲だと思いますよ。

DANCHO:キャッチーですけど、歌メロの構築の度合はすごく緻密ですよ。例えば、他のバンドの曲だったら疲れてきたときに、コロナ禍じゃなければですけど、"みんなの声を聴かせてくれよ!"とか言って、お客さんたちに歌わせることもできるようなパターンであると思うんです。でも、この「Ikarus」はヴォーカルの歌も楽器の一部として組み込まれたつくりになってるんで、完璧にこのメロを歌わないと曲として成立しないんです。だから、そのプレッシャーがあるなかで歌うっていうのはなかなかヒリヒリするんですよね。この感覚はほんとA.O.Gならではのものだなと思いますよ。

-A.O.Gならではの醍醐味が「Ikarus」には集約されているのですね。

DANCHO:それに、EPの中にどう曲を並べていくかと考えたときに、まず「Ikarus」が1曲目だろうなってヴィジョンは当初からあったので、だとしたらこれがリード・チューンだろうと自然となったところもありました。最後に入れた「春呼ぶステラ」に関しても、これはライヴで最後にやるような曲になりそうだということでこの位置にしたし、このEPでは各曲が適材適所的なところに収まったなって印象があります。

-歌詞の内容の面で、「Ikarus」と2曲目の「Shine On」と3曲目の「掌の海」に相関関係が見受けられるのも、意図されたところでしたか。

DANCHO:歌詞はですね、作曲者であるYOSHIHIROの意図や意向をくみ取ったうえで書いていくケースが、今回は多かったんですよ。それは自分にとって今までになかった刺激的な作業でしたし、特に「Ikarus」と「掌の海」は兄弟曲というか、繋がりのあるものとして書いてくことになりました。

YOSHIHIRO:といっても、「Ikarus」も「掌の海」も、ギリシア神話をベースとしたテーマ自体を最初に持ってきたのはDANCHOだったんです。それで、そのあと「掌の海」ができたときに、僕の中で海のイメージが繋がったから"「Ikarus」と兄弟曲にしちゃえば?"って言いました。

-それから、各プレイヤーの織りなすトリッキーなプレイが堪能できるという意味では、「QUESTION」もダイナミック且つ面白い楽曲だと感じましたね。

Ryosuke:これ、A.O.Gの中で最初にできた曲だったんですよ。

FUMIYA:この曲に触れたことで、作曲者の性癖がわかったなって感じたところがありました(笑)。

YOSHIHIRO:難しいことをやるバンドだ、さぁ曲を作ろう、じゃあこのくらいのレベルではどうでしょう? という、ひとつの基準になる曲として作ったのがこれでしたからね。

-これは音源タイトルの"P.O.P"ともかかってくるところなのでしょうが、これだけ激ムズな曲をここまでポップに聴かせるあたりがA.O.Gは悪質ですよ(笑)。カラフルなキャンディだと思って食べたら激辛味でした、的な罠がここにはあるように感じます。

DANCHO:そこは、こういう音をお洒落にやりたかったからこうしたんですよ。もちろん、激ロックに載ってるような、厳つい見た目で刺青だらけでっていうメタルのバンドも好きだしカッコ良いけど、オールドスクールなスタイルとか雰囲気のままだと、どんどん若者離れしてっちゃうじゃないですか。メタルが高尚でとっつきにくい原理主義的なものになっちゃってる今、そこを音の面でもバンドとしてのスタンスの面でもA.O.Gではなんとか覆したいんです。"P.O.P"っていう音源タイトルも、まさにその思いで付けました。そして、個人的には今回リード・トラックとは別に、一番の推し曲として5曲目の「Requiem」を挙げたいんですよね。これ、推したくても曲のサイズ的にラジオやテレビでは流せない尺なんですけど。

-最近の、"1曲を3分以内にしないとユーザーに飽きられがちである"という説をものともせず、こちらは約11分の大作になっておりますものね。

YOSHIHIRO:DREAM THEATERしかり、テクニカルなバンドでは長い曲って必ずやりますからね。このバンドでもいつかやることになるんだろうなとは思ってましたけど、この曲は作っているうちに長くなったというパターンでした。

FUMIYA:この曲に関しては、何をどう聞かれたとしてもまずは"大変でした"という言葉しか出てこないですね(笑)。録ってるときは"これをライヴでやるのかよ!?"とも感じてましたけど、自分がライヴで再現できるレベルのことをギリギリのラインで最大限に詰め込みました。おがけでできあがったときには相当テンション上がりましたね。

Ryosuke:僕もこの曲は大変でした(笑)。家で録りながら"まだこれでも1/3なんや......"って心折れたこともあったし、なんだかんだでリテイクまで含めたトータルだと完成までは1週間かかりましたもん。でも、それだけやり甲斐のある曲ではありました。

-EPではありますけれど、今作『P.O.P』は極めて濃い内容に仕上がりましたね。

DANCHO:そうなんですよ。今回こうしてできあがったEPの音を聴くと、改めて前任のドラマーがやめたくもなるだろうなっていう音にはなってますから(笑)。このバンドは普段の雰囲気は全然ゆるいんですけど、いざ自分の仕事をするっていう場面では、全員が責任感を超えた殺気を放つバンドになるんで、今回のレコーディングはすごく自分にとってもいい刺激になりました。

-10月8日からは、この『P.O.P』を携えての、初ワンマン東名阪ツアー[1st ONE MAN TOUR "Progressive or Popular"]が始まりますので、そちらも楽しみです!

DANCHO:この"Progressive or Popular"っていうのは、『P.O.P』のタイトルの本当の意味でもあるんですよね。あなたにA.O.Gの音はどっちに聴こえますか? っていう投げ掛けをしてるんですよ。きっと、今回のツアーはそういう場にもなっていくんじゃないかと思います。

-そこは"or"ではなく、むしろ"and"なのかなという気もしますけれどね(笑)。

DANCHO:まぁ、何しろ映画の"アウトレイジ"でいう"全員悪人"じゃないですけど、このバンドは"全員イカレてるやつ"なんでね。最近はYouTubeとかで個人でプレイのすごさをアピールしてる人なんかもいますが、そういう人ってバンドはやってないじゃないですか。バンドとしてこの世代の俺たちはここまでやりますよ、というところを今回のツアーでも披露していきたいです。そのぶん、俺も1個でも歌詞を間違えようもんなら......っていう緊張感がすごくあるんでくれぐれも気をつけないと(笑)。