MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

Michael Romeo

2022.03.17UPDATE

2022年03月号掲載

Michael Romeo

Interviewer:菅谷 透 Interview interpreted and translated by 川原 真理子

僕は子供のころからSF映画が大好きだったんだ。昔のゴジラ映画もだよ


-ここからは、いくつかの楽曲についてうかがいます。イントロから連なる「Divide & Conquer」は、キャッチーなメロディや流麗なソロで一気に第2章へと引き込むアンセムです。"宇宙戦争"のトライポッドが登場するMVも印象的ですね。

まずは、ああいうイントロからアルバムを始めたいと思ったんだ。シネマチックで、ギター満載で、宇宙の要素がちょこっと入っているアルバムだってことを示したかったんだよ。そして、1曲目にはアップテンポのゴキゲンなロック・ソングを持ってきたかったんだ。いいサビメロにしてね。「Divide & Conquer」がまさにそういう曲だった。ビデオについては、レーベルの人に話をしたんだ。冗談まじりに、"エイリアン・トライポッドを登場させよう!"なんてことすら言ったかもしれない。そうしてできあがったものを観たら、なんとそこにはトライポッドが登場しているじゃないか(笑)! 最高だったよ。クールだった。まさに"宇宙戦争"からのものだったからね。

-6曲目の「Just Before The Dawn」はピアノの音色と美しいメロディが融合したバラードですね。

さっきも言ったように、『Pt. 1』にはダブステップみたいな変わったものが入っていたから、今作にはヘヴィな曲の合間に"息抜き"が必要だと思ったんだ。そんなとき、この曲があったんだよ。ほぼ完成していたんだ。君が言ったようにバラードっぽくてメロディックで、素晴らしいヴォーカル・パフォーマンスだった。歌モノにうってつけの曲だったし、アルバムにもしっくりハマったね。ヘヴィな曲がたくさん続いたあとにあれが来る。アルバムにはああいう曲が必要だったんだ。ひと息ついてから、また次に向かえるわけだよ。

-「Maschinenmensch」はアルバムの中でも最も長尺の楽曲です。タイトルはフリッツ・ラング監督の"メトロポリス"に登場するアンドロイドに由来すると思いますが、この曲についてもうかがえますか?

歌詞作りも終盤になると、"宇宙戦争"に関するアイディアが尽きてきたんだ。そこからできるものには限りがあるし、SFでさえあればちょっとそこから外れてもいいんじゃないかと思ったんだよ。で、他の古典的なSF映画や本は何かなと思ったときに、"メトロポリス"を思いついた。僕からすると、このふたつは似ている。エイリアンが出てくるし、ロボットが出てくるし、タイトルもクールだから、これにすることにしたんだ。

-音楽的にはどうでしょうか? めまぐるしい展開が繰り広げられる楽曲ですよね。

そうだね。あの曲もほぼ完成していたんだ。ヘヴィでちょっと機械的な感じがしたんで、ロボットのことを思い浮かべたんだと思う。ソロ・セクションは、これまた自由なインプロヴァイズなんだ。Randy Rhoads、(Eddie)Van Halen、Yngwie(Malmsteen)、そしてAllan Holdsworthと、僕の好きないろんなギタリストのことを思い浮かべたよ。これには、Allan Holdsworthへのオマージュが間違いなく入っている。あのスタイルがちょっと入っているからさ。僕はいつだって、子供のころに聴いていた人たちのことを考えている。すごくインスパイアされたから、たまにそれが出てくるんだ。"あれはRandy、あれはEddie、こっちはYngwie、あっちはMarty Friedman"といった具合にね。

-先ほど何曲かで7弦ギターを使ったとおっしゃいましたが、どこの7弦ギターを使ったのですか?

僕が使っているギターはすべてCaparisonなんだ。それで彼らに"7弦ギターを使ってみようと思っているんだ"と言ったら、"送りますよ"と言ってくれた。完璧だったよ。Caparisonの人たちは本当に最高だよ。だから、Caparisonの7弦なんだけど、僕が7弦を使ったのは今回が初めてなんだ。手元に届いたらすぐにレコーディングしようと思っていたけど、ちょっと落ち着いて、弾くまでにしばらくかかったな。"この音、なんだ?"と思ったりして、ちょっと時間がかかったね。でも、2~3日もしたら同じだなって思えたよ。

-Track.10の「Parasite」は、PANTERAやMACHINE HEADなどにも通じるグルーヴ/スラッシュなリフと、Dinoの歪んだヴォーカルが異彩を放つ曲です。

このアルバムには、ああいったザラザラしたヘヴィな曲が必要だったんじゃないかな。これまた、僕が影響を受けた人にPANTERAのDimebag(Darrell/Gt)がいるから、自然とこんな感じになったね。もうちょっとヘヴィでアグレッシヴなものがあればいいなと思って、この曲ができあがったんだよ。

-日本盤には、ボーナス・トラックとして「ゴジラのテーマ」のカバー(「Godzilla」)が収録されます。オリジナルに忠実でありながら、"らしい"展開も登場して非常に嬉しくなりましたが、今回カバーをしようと思った経緯をうかがえますか?

あれは名曲だよ。さっきも言ったように、僕は子供のころからSF映画が大好きだったんだ。昔のゴジラ映画もだよ。それでボーナス・トラックをどうすると言われたとき、曲はもうひとつも残っていなかった。全部使い切っていたから、"考えさせてくれ"と言ったんだ。エイリアンとかモンスターとかSFものにしなくちゃと考えていたら、これはもう明らかだった。僕は昔のゴジラ音楽のこともよく知っていたし、やってみようと思ったんだ。ギターを入れて、オーケストレーションを多少変えて僕なりのものにしようと思った。楽しかったね。ひたすら楽しかったよ。クールなことをやれたね。

-よろしければ、好きなゴジラ作品についても教えていただけますか?

う~ん、それはどの時期かによるなぁ。オリジナルのモノクロ映画もクールだったね。もうちょっとシリアスだったかもしれない。僕は、他のモンスターが出てきたころのが好きなんだ。あれはなんて言ったかな? "Monster Island(怪獣ランド)"が出てくるやつ。たしか、"Destroy All Monsters(怪獣総進撃)"だったと思う。子供のころに観たけど、あれは楽しかったな。最近の新しいのも好きだよ。"Godzilla vs. Kong(ゴジラvsコング)"とか、"Kong: Skull Island(キングコング:髑髏島の巨神)"とか、現代風なのもかなりいいよ。

-今後の活動予定についてうかがいたいのですが、ソロ・アルバムの発売に伴ったツアーやライヴなどは行われるのでしょうか?

可能だけど、今は難しいな。SYMPHONY Xももうずいぶんとライヴをやっていないからね。今ミュージシャンは全員、出て行ってプレイしたがっている。だから、ライヴに関してはどうしてもSYMPHONY Xが優先されるな。5月に北米でのライヴが控えているんだ。それは大丈夫だと思うけど、ヨーロッパや他の国に関してはわからない。明日何が起こるかわからないような状況だから、今は予定がなかなか立てられないんだ。また変異株が出てくるかもしれないし、他のことだって起こるかもしれないけど、僕たちはポジティヴな気持ちでいるよう心掛けて、やれることをやるよ。僕たちにはそれしかできないね。

-5月の北米ツアーはSYMPHONY Xですよね?

そうだね。ソロに関しては、時間があれば可能かもしれない。ただ、SYMPHONY Xでずっとライヴをやっていないし、すごくやりたいから、ライヴのチャンスがあるとしたらこっちのスケジュールが埋まることになるだろうね。

-ちなみに、SYMPHONY Xのアルバム・リリースは2015年の『Underworld』以来間が空いていますが、何か計画を立てているのでしょうか?

そのことについては話をしているよ。実は、今日もRussell(Allen/Vo)と話をしたんだけど、僕も含めてバンドのメンバー全員が今トラブルを抱えているんだ。こんなこと、実に僕らしくない。そりゃ誰にだってスランプはあるけど、今回のは違うんだ。たぶん、しばらくの間みんなで一緒にプレイもせず、ツアーもしないで過ごしてきたことで、なかなかインスパイアされなくなったんじゃないかな。先のことが不透明だからね。僕は毎日ここにいて、何か作ろうとしているし、バンドのメンバーと話そうとしている。でも彼らも同じで"アイディアが湧かない"、"どうしよう?"、"ツアーはやれるのかな?"とか言っているんだ。不確定要素ばかりだから、それがクリエイティヴなプロセスの邪魔をちょっとしているんだろうな。そのことがいつも念頭にあるんだ。僕は毎日作業していて、それなりに進んではいるけど、いつもよりはペースがちょっと遅い。これは、ここ2年間に起こったこの環境のせいだと思うね。

-ツアーが実現することを願っています。最後に、日本のファンへメッセージをお願いいたします。

長い間ついてきてくれてありがとう(笑)。このアルバムを気に入ってくれると嬉しいよ。作っていてとても楽しかったんだ。どんな音楽も楽しく作っているから、君たちも楽しんで、これから何かを得てくれると嬉しいね。そしてみんな、無事で元気でいてくれ。