INTERVIEW
STANDZ
2021.12.08UPDATE
2021年12月号掲載
Member:Kazuya(Vo) Yusuke(Gt) RYOICHI(Ba) Kenya(Dr)
Interviewer:山口 智男
必然的に生き残った楽曲たちが、今を表すアルバムの形に
-STANDZの、どんなところに惹かれて、入りたいと思ったんですか?
RYOICHI:ミクスチャーやってたところです。地元の岡山からミクスチャー・バンドをやりたくて、東京に来たんですけど、友達、誰もいないから掲示板で探して、5バンドぐらいとスタジオに入ったんですけど、全然ダメで。STANDZとスタジオに入ったとき、めちゃくちゃ良くて、絶対入りたいと思いました。入る入らないの話、しなかったよね? じゃあ、いついつライヴだからって自然な流れで加入が決まったんですよ。
Yusuke:スタジオに入って1音目で、"あ、この人だ"って思いました。音がでかかったんですよ(笑)。
RYOICHI:スタジオに入ったとき、なぜか当時のサポートのベースもいたんですよ。それで火がついたっていうのはあります。この人よりもダメだったら入れないでしょって。
-今はバンマスだそうですね。
RYOICHI:そうです。バンドに入ってすぐ曲を作り始めて、みんなに送って、やっぱり自分の曲だから、ああしてこうしてって言うじゃないですか。そうしているうちにバンマスになってました(笑)。
-いいんですか(笑)?
Yusuke:俺も変わらず曲を作るし、曲が増えたのは良かったです。
Kazuya:作り合って、戦ってもらって、曲が良くなるならいいことじゃないですか。
RYOICHI:作る曲のタイプが違うんです。いいバランスが取れていると思います。
-Kenyaさんはもともと、対バンしていたバンドからの繋がりで加わったそうですね?
Kenya:最初はバッチバチに緊張したっすね。最初はサポートだったんですけど、その話を貰ったとき、"マジすか!?"って。俺らの代からしたら、STANDZって結構格上だったんで、"マジすか。よろしくお願いします!"ってスタートでした。
Yusuke:ドラムがずば抜けて、いい音してたんですよ。
Kenya:そのあと、こんなにやりやすいなら正式メンバーになりたいと思いました。サウンドのベクトルが確立しているから、何をやればいいかわかってたし、それをやったらスコーンとハマったんですよ。
-さて、今回の『TWO FACE』。10周年という節目の年にリリースしようと考えて、制作を始めたと思うのですが、いつ頃どんなヴィジョンのもと、着手したのでしょうか?
RYOICHI:アルバムを作ろうと思って、曲は作ってないです。普段からコンスタントに作っている曲が溜まっていって、"もうアルバムが作れるね。だったら10周年に向けてやろうか"って感じでした。そこからできた曲もありますけど。
Kazuya:それが一昨年ぐらいだったんですけど、コロナ禍でライヴができなくなっちゃったので、20年4月から6週にわたって、できた曲から毎週土曜日に新曲として配信していったんです。
RYOICHI:今回、俺がエンジニアとしてレコーディングしたんですけど、全員でスタジオに入れないから、俺が毎週違うメンバーとスタジオに入って、録っていったんですよ。
Kazuya:配信リリースした曲のMVは、撮りためていた映像を無理やり組み合わせて作りました。ライヴはできなかったけど、活動を止めずに発表し続けたかったんです。ほんとはアルバムをバンと出したかったんですけどね。でも、世間的に一番沈んでた時期だから、毎週、新曲を発表しようって配信していったんです。
-アルバムというパッケージにするにあたって、今回の12曲は、どんな基準で選んだのでしょうか?
RYOICHI:その他に曲はなかったんですよ。結構な数の曲を、Yusukeと俺が作るんですけど、みんなが"そんなにだな"って思う曲は自然とやらなくなるんです。それで生き残った12曲を入れたって感じですかね。
Yusuke:アルバムを通して聴いたら、すごい激しい曲もあるし、普通に聴かせる曲もあるし、必然的に残った曲たちがいい感じにバランスが取れて、これだ! っていう作品になったと思います。
Kazuya:それぞれに思い描いていたヴィジョンが揃っていたんです。今度、フル・アルバムを出すんだったら、こういう曲があったらいいなとか、こういう出だしの、こういう曲があったらいいなとか話してはいないんですけど、共有できてたんだと思います。だから、揉めたり、悩んだりすることもなく作れたんじゃないかな。
RYOICHI:達成感はかなりあります。今回、「Empty」を除いた11曲のレコーディング、ミキシング、マスタリング、MV、完全に全部、自分らでやったんですよ。ちなみにジャケットの絵は、Kazuyaが描きました。
-歌詞はKazuyaさん自身が生きていくなかで思ったことを書いていると思うのですが、歌詞を書くときはどんなことを意識していますか?
Kazuya:実際に体験したことだけで100パーセントの純度にすることです。自分の身に起きたことだけがすべてなんですよ。あんな歌詞もいいとか、あんなことも歌えたらいいとかあるんですけど、俺の能力でできることは、現実を100パーセント落とし込むことだから、それに徹底してます。
RYOICHI:飾ってないんですよ。いい感じにハメたいからって、言葉をアレンジすることがないんです。メロディやリズムに合わせることよりも、言葉本来の意味を大事にしているんだと思います。だから、曲として聴いてももちろんなんですけど、文章として読んでも伝わる歌詞になっていると思います。
-ヴォーカル、バンドの演奏ともにミクスチャーという枠組の中で幅広い表現にアプローチしていますが、中でも12曲目の「砂遊び」はファンキーなギターとメロウな曲調が異色なのでは?
Kazuya:やっちゃっていいの? って思ったけど、やっぱりいいな。いいなら入れちゃおうってなりました。
Kenya:12曲入ってますからね。1曲ぐらい、こういう曲があっても。
Kazuya:もともとこういう曲が好きなんですよ。
RYOICHI:ジャム・セッションで作ったんです。スタジオで俺が弾いた適当なフレーズに対して、Kazuyaが言った"それいいじゃん"ってひと言から、そこにギターを被せて、ドラムを被せていって、いきなり完成したんです。
-この曲をきっかけに今後、曲のタイプの幅はさらに広がっていきそうですか?
RYOICHI:いろいろな曲をやりたいです。
Yusuke:いいと思った曲は全部やりたいですね。
RYOICHI:みんな、ああいう緩い曲、好きなんですよ(笑)。だからたぶん、また作ると思います。
-そういう部分は表に出さないほうがいいと考えていたところもありますか?
RYOICHI:そういう意識はあったと思います。硬派でなきゃみたいな。
Kenya:そういうところはありましたね。
RYOICHI:そういうのが剥がれてきたんですよ。
Kazuya:常に攻撃的でいたいって思ってたのは、気を張らないとバチバチの曲ができなかったからだと思うんですよ。でも、今はバチバチな曲も、「砂遊び」みたいな曲も自然にできるようになったってことだと思います。