INTERVIEW
THE LURKING FEAR
2021.11.22UPDATE
2021年11月号掲載
Member:Jonas Stålhammar(Gt)
Interviewer:菅谷 透
-現時点では「Cosmic Macabre」、「Death Reborn」のミュージック・ビデオが公開されています。いずれも演奏シーンにフォーカスしたクールな作品になっていますが、MVのアイディアはどこからきたのでしょうか?
あれはレコード会社の意向で、演奏シーンのビデオになったんだ。それでビデオ制作をやっている友人に相談したら、オールドスクールな感じのものがいいんじゃないかと言ってくれた。2本とも同じ日に撮影したんだ。4~5時間かけて、ライティングを変えてね。立ち方や服も少しだけ変えたよ(笑)。だから違う感じに見えはするけど、実際は同じ日に撮ったんだ。
-たしかに似て非なる雰囲気ですね。監督も同じ人なのでしょうか。
そうだよ。
-「Kaleidoscopic Mutations」では元DEATH、現AUTOPSYのChris Reifert(Dr/Vo)をゲスト・ヴォーカルに迎えています。彼はアメリカ人ですが、彼を起用した経緯を教えていただけますか?
Chrisとは1988年くらいからペンパルで......。
-"ペンパル"ということはインターネットのなかった時代からということですね?
ああ。そのあと90年代はちょっと連絡が途切れてしまったけど、2010年頃にフェスで再会したんだ。それからは毎日のようにテキスト・メッセージなんかで連絡を取り合っているよ。俺たちは全員AUTOPSYの大ファンなんだ。特にFredがね。あいつが曲を書いて、アルバムのインタールードにしたらいいね、なんて話になっていた。短くてヘンな感じが最高だから、Chrisにヴォーカルをやってもらうのはどうだ? と思って提案したら、"いいね。彼に頼んでみてくれ"って。それで頼んでみたら、ふたつ返事でOKしてくれたよ。歌詞まで書いてくれたんだ。タイトルを渡したらそこから膨らませて書いてくれた。最高の結果になったよ。
-夢が叶った曲になりましたね。
そうなんだよ。Chrisとは"やっと一緒に何かできたな"なんて話していたよ。
-今回が初めてだったんですね!
ああ。
-ペンパル時代から長い時を経て。
そうだね。
-当時は実際に"手紙"を書いていたんですよね?
そう。好きな曲をテープに入れて送り合っていたんだ。Frank Zappaとか変わった音楽の話をするのが大好きだったね。
-文通はどちらから始まったのでしょうか。
俺がAUTOPSYのデモ・テープを注文したんだ。彼らが1stアルバム(『Severed Survival』)をレコーディングしたあたりのころだったね。そこから文通が始まったんだ。俺がやっている他のバンドのドラマーも彼と文通していたらしい。そいつは87年の初めくらいからやっていたと言っていたよ。
-ボーナス・トラックにはSLAUGHTER「The Curse」、POSSESSED「Seance」のカバーが収録されていますが、オリジナルとの違いも魅力的です。この選曲をした理由もうかがえますか?
ThomasがSLAUGHTERのカバーを選んだんだ。"絶対にSLAUGHTERのカバーをやりたい!"と言ってね。あの曲はストレートで短いから選んだと言っていた。アルバム本体(『Strappado』)も短い曲が多いから合っているしね。ブルータルさが直球で伝わってくるだろう? POSSESSEDのカバーは俺がやりたかったんだ。彼らの曲の中でも昔から大好きだったしね。80年代終わりくらいからずっとやりたかった曲だよ。あれをやったのはとても楽しかった。Mike Sus(POSSESSEDの元ドラマー)は......彼は技術的にはそんなに上手いドラマーじゃなかったから(笑)、いろいろやってみたかっただろうけどちょっとヘンなドラミングになってしまっている。タイミングとかがちょっとズレていて、いったいどうやって渡り合えばいいんだ? という感じでね(笑)。それで(Adrianに)"彼がやろうとしていたことをお前の上手さでプレイしてくれ"とアドバイスしたんだ。ギター・ソロの部分は、原曲はワーミー・バーを使っているけど、俺はもう使わないんだよね。だから使わずにやるにはどうしたらいいかを考えたよ。あの曲の半分はギター・ソロみたいな感じになっていて......VOIVODみたいだったな。リフがたくさんあって。
-ワーミー・バーを使わずに再現したり、"Buzzsaw"とは似て非なる音を出したりと、クリエイティヴですね。
クリエイティヴというより、よそで使われすぎているから(笑)、俺は違うことをやってみようと思ったまでだよ(笑)。特にスウェーデンのバンドは似通っていることも多いからね。それから俺の書く曲はギター・ソロが多いけど他の曲はあまり入っていないから、(アルバム本編の)12曲中4曲しかソロがないんだ。
-アルバム発売後、バンドは来年2月にストックホルムの"Gefle Metal Cruise"に出演しますね。他にも予定は決まっていますか?
ブッキング・エージェントの担当者にAT THE GATESのスケジュールを提出したんだ。AT THE GATESが一番ライヴが多いから、そこを中心に予定を組んでいったほうがいいと思ってね。AT THE GATESと同じフェスに出るとか、そういう感じになると思う。THE LURKING FEARにとっては単独でウォームアップ的なショーをするのも難しいんだ。特にリハーサルをやっていない状態だとね......バンドとしてはもう2~3年くらい一緒にプレイしていないしね。こうやって新作ができたからちゃんとリハーサルしないとな。Adrianはロンドンに、他のメンバーもバラバラなところに住んでいるんだ。FredとTomasだけは同じ街に住んでいるけどね。5人が4ヶ所に散らばっているから集まるのも難しいし、金もかかる。
-リハーサルもリモートでやらないといけなくなってしまうかもしれませんね。
そうかもしれないな(苦笑)。まだ合わせてもいない曲をぶっつけ本番でやるわけにもいかないからね......。
-状況も少しずついい方向に向かっていますし、THE LURKING FEARでもAT THE GATESでも来日していただきたいです。
希望的観測としては、日本で(2020年にAT THE GATESで出演予定だった)"DOWNLOAD JAPAN"に出てみたいね。できればTHE LURKING FEARでも。
-ぜひそうなることを願っています。最後に、日本のファンへのメッセージをお願いいたします。
今回のアルバムがようやく日本でもリリースされることになってとても喜んでいるよ! 個人的にも嬉しいサプライズなんだ。日本が大好きだからね。お気に入りの国のひとつなんだ。プレイするのも観光するのもとても楽しい。願わくはAT THE GATESでもこのバンドでも日本に行って、日本のファンの前でプレイしてみたいね。近いうちに実現したらすごくいいと思う。