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INTERVIEW

ALIVES

2021.09.22UPDATE

2021年09月号掲載

ALIVES

Interviewer:荒金 良介

-今作を作るうえで最初のヴィジョンというと?

1stアルバムになるので、なるべく元気にしなきゃいけないなと。「Sky dance」が先行配信されたんですけど、「Believe」もすでにMVを撮っていて、最初はその曲がなかったんですよ。「Break the wall」、「Let me in」とかエモっぽい曲はあったんですけどね。

-しっとり聴かせる系の曲ですね。

はい。それで行こうと思っていたけど、地元のとある先輩に聴かせたら、"これはこれでめっちゃいいけど、それは2ndアルバムでやれ"と。"GOOD4NOTHINGからお前のことを応援してくれる人は残念がる。もっと明るくてキャッチーでお前らしい曲があるから、そこは裏切るな"と。

-先輩の意見は正しいですね。

ははははは(笑)。(GOOD4NOTHINGを)意識しすぎていたけど、そこをツッコまれたから、たしかにそこは汲まなあかんなと。で、家に帰って「Believe」を作ったんですよ。できあがったら、やっぱり俺はこういうのが好きやなって(笑)。

-「Believe」が今作にあるのと、ないのとでは作品の印象はかなり違いますよ。

ですよね(笑)。

-作品を重ねたら、ありのままの自分を素直に直視できるタイミングが来るんじゃないかと思ってます。

ははははは(笑)。U-tanと同じものを見て、同じものを聴いてきたんでね。次の境地を追い求めるなかで、結局ここに戻るのかもしれない。

-今作の中で自分的に最も挑戦した楽曲は? やはり「Sky dance」ですか?

「Sky dance」のコンセプトは最初からあったんですよ。同期と打ち込みをパンクと融合できたらなと。クラブ音楽も好きで、当時はよくクラブにも遊びに行ってたんですよ。四つ打ちの踊れる感じも好きなので、それをまぶしたらまた新しい曲ができるんじゃないかと。まぁ、挑戦というか、GOOD4NOTHINGではやらないだろうと思うのは「ANDROMEDA」ですかね。

-「ANDROMEDA」は純粋にいい曲で、今作のラストを締めくくるのに相応しい曲調です。

コロナ禍で何曲か作りましたけど、一番そういう思いが詰まった曲ですね。曲調も今までと違う優しい感じで、コロナが始まった頃にSNS上でも人と人がいがみ合う姿をよく見て、なんとかならないかなと。外出もあまりできないなか、自分が唯一楽しみにしていたことが夜に散歩することだったんですよ。パッと空を見ると、星が光っていて、すごくキレイに見えた瞬間があって。夜の公園でボーッと空を眺めて、星を見ていたら気持ちが和らいだんです。それを曲に落とし込んだら、みんなにも共感してもらえるかなと。

-TANNYはロマンチストですね。

いやぁ、それはあるかもしれないですねぇ(笑)。あまり意識してないけど、"ロマンチッカーやなぁ"とは言われます。すぐ夜景を見に行くし、それはMVやジャケのアートワークにも出ていると思うんですよ。

-U2やSIGUR RÓSもそうですけど、情景が脳裏に浮かんでくる音楽というか。

あぁ、そうですね。自分も曲を通して、風景やその人なりの景色が見える物作りは目指しているところですね。「ANDROMEDA」は好きすぎて、自腹でMVを作ろうかなと(笑)。映画も好きなので、そういうことにも挑戦したいですね。

-そして、今作のレコーディングは誰がプレイしているんですか?

ベースはHIDETA、ドラムのKOUちゃんは日が浅いので3曲だけ叩いていて、それ以外の曲は(崎山)翼君が叩いていて、若いけど上手なんですよ。ただ、一緒にライヴをやるのはKOUちゃんになりますね。

-打ち込みなどの上モノはTANNY自ら?

同期関係は別にふたりいて、「Sky dance」はToshi(Toshinari Ohnishi/IVORY7 CHORD/ex-WRONG SCALE)にお願いして、彼は作曲家としてもやってますからね。僕の雰囲気を伝えたら、いい感じにフレイバーをかけてくれました。いろんな人と音楽を作るのもやりたかったことのひとつなんですよ。これからもいろんなアーティストさんとコラボできたらいいなと。アイリッシュ系の楽器にも手を出したいんですよ、THE CORRSみたいな音楽を。

-TANNYは昔からTHE CORRS好きですよね。

はい。バグパイプ、フィドルを入れたりして、そこはTHE CHERRY COKE$がいますからね(笑)。大人になったからこそできる、ちょっと余裕がある音楽の楽しみ方も提示できればなと。

-楽曲はスケールの大きな曲調も目立つ一方、歌詞は"君"(訳詞)という言葉が多くて、距離感の近い内容が印象的です。

僕が完全にひとりぼっちやったんで、同じような境遇の人に共感してもらえたらなと。こんな時代になり、人と人の距離が遠くなっちゃったんで、それが表れているんじゃないかと。

-「Break the wall」の中に"過去とラジオと共に/過去に歩けば世界を打ち破れる"(訳詞)という歌詞がありますが、これはどういう意味ですか?

"ラジオ・スターの悲劇"的な感じで、古き良きものもいいよね、みたいな。僕自身、古いものが好きなんですよ。最近よく思うのはCDもデジタル化されて、紙媒体も少なくなってきたじゃないですか。デジタルだと何かフィルターがかかって、それによって奪われたものがある気がして。本はページをめくる楽しみがあるし、レコードはレコードで味があるじゃないですか。そういうアナログの良さを忘れたくないなと。歴史は巡っていくし、余計なものが結構大事やったりすると思うので、それを持って次に行ってほしいなと。