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INTERVIEW

KUZIRA

2021.05.25UPDATE

KUZIRA

Member:末武 竜之介(Vo/Gt) 熊野 和也(Ba/Vo) シャー:D(Dr)

Interviewer:荒金 良介

岐阜発の3ピース・バンド、KUZIRAが1stフル・アルバム『Superspin』を完成。今作はPIZZA OF DEATH RECORDS移籍第1弾作でもあり、メンバー自身もそのプレッシャーを感じながら、見事はねのける快作を作り上げてくれた。久しぶりに登場した正統派メロディック・パンクの継承者=KUZIRAは、これからさらに大暴れしてくれるに違いない。そう期待せずにはいられない魅惑の楽曲を揃っている。今年3月にドラマー、シャー:Dを迎え、新体制になった彼らが放つ切れ味鋭いサウンドをぜひチェックしてほしい。メンバー3人に話を訊いた。

-前作『Pay The Piper』(2019年リリースの1st EP)は3分台の楽曲ばかりでしたが、今作は1stミニ・アルバム『Deep Down』(2018年リリース)の頃の1~2分台の楽曲に戻りましたね。とはいえ、ショート・チューンの中に多彩な表情を盛り込んでいるし、前2作を踏まえたうえでKUZIRAの進化と成長が刻まれた内容だなと。

末武:今回は引き算というか、できるだけシンプルにしました。フル・アルバムで曲数も多いし、作品全体の流れも踏まえて、ライヴ感を意識しようと思ったんです。

熊野:PIZZA OF DEATH(PIZZA OF DEATH RECORDS)から出すので、キラーチューンを作りたいと意気込んでいたけど、"キラーチューンとは何?"って行き詰まったんですよ。最初はいろいろ盛り込んでいたけど、結局それが良くないのかなと思って。曲作りの合宿でKen Bandの南(英紀/Gt)さんも来てくれて、アドバイスをくれたんですよ。そこで曲を削ぎ落とす作業をしたので、それで短い曲が多くなったのかなって。約30分のフル・アルバムは短いかもしれないけど、いいアルバムができたと思います。

-いろいろ盛り込んでみたら、自分たちのスタイルに合わなかった?

末武:そうですね。曲が長いと、ライヴでもたくさんプレイできないから。

-今作で思い描いたライヴ感というと?

熊野:「Together Forever」はダイブみたいな盛り上がりじゃなく、デカいステージを想像したんですよ。いい天気の夏フェスみたいな。

末武:シンガロングは多くなったよね?

熊野:うん、『Deep Down』の頃はそういう考えはなかったからね。

-「Together Forever」はたしかに新しい曲調ですよね。

熊野:フルにしか入れない曲があってもいいのかなと。

末武:「Together Forever」はみんなで歌うパートを曲名にしてますからね。簡単な英語でシンガロングすることを意識しました。「Throw Your Cell Away」もサビの頭の歌詞なんですけど、曲名にすると、覚えやすいですからね。

熊野:難しい英語を使うよりも、みんながわかる簡単な英語にしたほうがいいもんね。

-その意味では聴き手をより意識した作風になりましたね。何かきっかけでもあったんですか?

末武:一昨年、Ken Yokoyamaの北海道ツアー("Ken Yokoyama 「Still Age Tour Ⅱ」")4ヶ所に誘ってもらったんですよ。以前は僕ら、"前のほうだけついてこい!"みたいなスタンスでいたけど、Ken Bandのライヴは後ろまで巻き込んでいたし、ピースフルな一体感を感じたんです。そこで自分のパンク観を覆されて、全員で盛り上がりたいという気持ちは強くなりました。

-そこで観た景色が自分の心に刺さったと?

末武:めちゃくちゃ大きかったです。ライヴ後にホテルの部屋に集まって、メンバーと熱く語りました。それから曲作り、音作り、ライヴのスタンスもガラッと変わりましたね。

熊野:うん、後ろでつまらなさそうにしている人たちの拳をどうしたら上げられるかなと。後ろまで気を配らないとダメだなって思いました。

-なるほど。そして、今作のドラムはシャー:Dさんが全部叩いているわけですよね?

末武:はい、すべて叩いてます。

シャー:D:僕が加入する前のKUZIRAの音源と聴き比べて、今回のドラムの雰囲気やフレーズを考えました。

-シャー:Dさんは加入してすぐに全曲覚えてレコーディングしたわけですよね。大変ではなかったですか?

シャー:D:以前から好きで聴いていたので、すんなり曲も入ってきたんですよ。だから、大変だとは思いませんでした。あと、せっかく加入したので、自分の持ち味を出せたらいいなと「He」は僕発信で2ビートに変えて、フィル・インにもこだわりましたね。フレーズも結構任せてくれたし、いいアルバムができたと思います。

-現3人体制になり、バンドの空気に変化は?

末武:(シャー:Dは)ウンチクを垂れてくるんですよ。なぜ北海道の人はゴキブリを怖がらないのか? 本州の人はゴキブリのCMで洗脳されてるから、ゴキブリ=怖いもの、気持ち悪いものという認識だけど、北海道の人はCMを観てないから、怖がらないと。

シャー:D:音と全然関係ないけどね(笑)。

末武:でも、仲は良くなりました。会話も増えたし、新しい風が吹いたなって。

-音楽面はどうですか?

末武:ドラムの音がデカくて、最初のライヴでギターとベースの音が小さすぎて、故障かなと思いました。

シャー:D:ははははは(笑)。

末武:ドラムのフィルもかっこいいし、僕たちより音楽を知っているので、安心して任せられるんですよ。「Speak Up」のラスサビ前のドラムのフィルもすごいし。

シャー:D:前作よりもドラムのフレーズで魅せるところは増えたかもしれない。

末武:あと、前のドラムは歌えなかったんですよ。今回は歌えるドラマーが入ったから、コーラスもできるんです。

熊野:シンガロング・パートは3人で歌えるからね。

-今作でコーラスや、シンガロング・パートが増えたのはシャー:Dさんの加入が大きい?

末武:そうですね。3ピースだからこそ、使えるところはどんどん使おうと。

-あと、ふたり(末武、熊野)のツイン・ヴォーカルの絡みや、メイン・ヴォーカルに対するコーラスのつけ方も印象に残るものが増えたなと。

熊野:そこはすごく考えました。(末武が)歌うパートを作ってくれたし、ギターをもう少し弾きたいと言ってたから。「Speak Up」の頭も僕が歌ってますからね。

末武:ライヴで歌ってばかりだと疲れちゃうし、任せられるところは任せたいなと思ったんです。彼(熊野)はもともとピンでヴォーカルをやってましたからね。

熊野:コピー・バンドの頃ね(笑)。

-前身バンド、わけわかめボーイズですね。

末武:そうです。カラオケに行っても、湘南乃風とか上手いんですよ。若旦那のダミ声もやれるから......ちょっと歌ってみて?

熊野:"大親友の彼女の連れ/おいしいパスタ作ったお前♪"(「純恋歌」)

シャー:D:ははははは(笑)。

末武:熊野の声の良さも知ってますからね。それこそHi-STANDARDも難波(章浩/Vo/Ba)さんがいて、健(横山 健/Ken Yokoyama)さんがいる強さもあるじゃないですか。

熊野:曲を聴いていると、健さんのコーラスのほうを歌っちゃうもんね。

末武:そうそう! フロントふたりが絡み合う強みは僕たちにもあるから。