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INTERVIEW

KUZIRA

2021.05.25UPDATE

KUZIRA

Member:末武 竜之介(Vo/Gt) 熊野 和也(Ba/Vo) シャー:D(Dr)

Interviewer:荒金 良介

-「Crank In」、「Speak Up」あたりはツイン・ヴォーカルの絡みが色濃く出てますよね。あと、「Throw Your Cell Away」は熊野さんがメイン・ヴォーカルで、ハードコア風の男臭いコーラス・ワークも今までなかったアプローチだなと。

末武:一昨年の"サマソニ(SUMMER SONIC 2019)"に行って、そこでRANCIDを観たときにシンガロングのパワーはすごいなと思ったんです。そこでインスピレーションを得て、この曲を作りました。男臭さを出したくて......前のほうにいる女子を黙らせたいなって。

シャー:D:黙らせたいんだ(笑)。

-KUZIRAは爽やかな曲調が多いので、こうした男臭さは新しい武器になりますね。

熊野:僕もめっちゃ好きな曲ですね。これもライヴだと、3人で歌える強みが出せるかなと。

-「Sad (Regrets)」は今作の中でも哀愁感漂うナンバーです。前作にもマイナー調の「Clown」みたいな曲調もありましたが。

末武:僕的には哀愁のメロディが一番好きなんですよ。じんわり来る曲もフルだからやれることかなと。この曲はめっちゃ好きですね。今回はジャンルに縛られずに、自分の好きな曲を詰め込みました。

熊野:KUZIRAは最初からそういうバンドだったんですよ。当時からいろんなジャンルをやってましたね。1stデモから速い曲もミドルの曲も、縦ノリの曲も、スカの曲もやっていたから。今回も新しい感じの曲もあるけど、KUZIRAっぽさは感じてもらえると思います。

末武:カラッとしたポップ・パンクも好きだけど、WEEZER、THE GET UP KIDSみたいなエモ・バンドも好きなので、そういう哀愁感を取り入れました。

-いろんな要素を入れてもKUZIRAっぽくなる理由はなんだと思います?

熊野:サビがキャッチーだから。メロディが良ければ心を掴めますからね。

末武:あぁ、たしかに。

シャー:D:それが根底にあれば、どんな曲もやれるもんね。

-キャッチーさで影響を受けたバンドは?

末武:マキシマム ザ ホルモンですね。いろんなジャンルを混ぜてもサビはキャッチーじゃないですか。ラウドだけど、惹かれるのはメロディの部分ですね。チャンチャンみたいな面白いフレーズもホルモン(マキシマム ザ ホルモン)は入れますから。僕らもちょっとダサいニュアンスを入れてみたり......。

シャー:D:「Under The Snow」の最後のほうはそうだもんね(笑)。

-ただ、KUZIRAの音楽の主軸はあくまでもメロディック・パンクですよね。

末武:メロディが最強な曲が最高なバンドだと思っているから。そうなると、メロディック・パンクじゃないですか。あと、KUZIRAを結成するきっかけになったバンド、ファッキンビッチガールというバンドはご存知ですかね?

-いえ、FUCK ON THE BEACHならわかりますが。

末武:あっ、それです!

熊野:違うから(笑)。

末武:そのコピー・バンド(ファッキンビッチガール)がHi-STANDARD、BBQ CHICKENS、WANIMAの曲をやってたんですよ。

熊野:先輩のコピー・バンドのことです。

シャー:D:絶対に知らないと思います(笑)。

末武:そのコピー・バンドを観て、バンドを始めましたからね。その衝撃が頭の中に残ってて、今もそれを追い続けてます。

熊野:ファッキンビッチガールを?

末武:いや、Hi-STANDARD、BBQ CHICKENS、WANIMAとかね。

-「Spin」の中に"頭がブチ抜かれた衝撃を/今でもハッキリと覚えている"、"勝手にビートは受け取った/僕たちは前に進むことにするよ"という歌詞(※和訳)もありますが。

末武:それはアルバムの軸になっているテーマですね。先ほど話したKen Yokoyamaのツアーに出たときに、健さんがMCで"KUZIRAというバンドに初めて出会った。かっこいいだろ? ビートを止めないでくれ、「Let The Beat Carry On」!"と言って曲を始めたんですよ。で、勝手に自分たちに言ってくれているんだと思って、この歌詞が生まれました。

-「Spin」の歌詞を読んだときに、「Let The Beat Carry On」に触発された楽曲なのかなと感じました。

末武:そうですね。他にKen Yokoyamaの曲名に付いている"radio"、"Carry on"という単語も歌詞に入れてますからね。僕らもPIZZA OF DEATHに入ったから......メロディックは今流行っているわけじゃないし、売れる音楽ではないかもしれないけど、それを途切れさせちゃいけないなと思ったんです。

熊野:「Let The Beat Carry On」のアンサー・ソングと言ってましたからね。

-自分たちが衝撃を受けてきたものを受け継いでいこうと?

末武:その気持ちはめちゃくちゃ強いですね。たまに"KUZIRAを聴いて、ギターを始めました"、"バンドを始めました"と言ってくれる人もいるんですよ。メロディックの火を絶やさずにやっていきたいですね。

熊野:PIZZA OF DEATHから出すとなったときに、リュウ(末武)はパンクってなんだろう? と悩んだ時期があったみたいなんですよ。それを乗り越えて出したアルバムですからね。"もういいや!"と思ったんでしょ?

末武:うん、吹っ切れましたね。勝手に背負いすぎたけど、正解なんてなくね? と思って。いろんなジャンルを取り込んで、自分のやりたい曲をやればいいだろうと。

-なるほど。そして歌詞は前2作と比べて、かなり変化しましたね。

末武:去年はライヴもなかったので、自分と向き合うことも多かったから、自分の状況を書いた内容が増えましたね。さっきパンクを見つめ直したと言いましたけど、僕らの世代だったり、若者の政治に対する無関心は広がっている気がするんですよ。僕は看護師をしているので、医療費や年金の話とか、コロナ禍もあり余計に現実味を帯びてきたから。看護師である僕にしか書けないことや、上の世代に言われて聞かないことでも、同世代の僕らが言うことで響くこともあるのかなと思ったんです。

-全体的にメッセージ性は強くなりましたね。

末武:そうですね。あと、「Spin」の受け継ぐ話もそうだけど、「Sad (Regrets)」は僕のお婆ちゃんが亡くなったときの気持ちを歌にしたり、「The Feeling」では亡くなったアーティストや、解散したバンドの意志を受け継ぐことだったり。それもコンセプトがあったからこそ、書けた歌詞ですね。

熊野:僕は「Spin」の話になっちゃうけど、健さんのMCを聞いていたので、歌詞を読んでアガりましたね。この歌詞はPIZZA OF DEATHから出すうえでの意思表明みたいな内容ですから。

シャー:D:僕も歌詞を見たときに"へー、こんなことを考えているんだ!"と思いました。

-「Speak Up」に"失う恐怖をはじめて知った"という歌詞(※和訳)がありますが、これは?

末武:年間100本ぐらいライヴをやっていたけど、それができなくなったり、ライヴハウスも普通に遊びに行っていたけど、潰れてしまったりして、自分のアイデンティティはなんだろうって、それで病みそうになったんですよ。自分の遊び場を残すためには自分で動くしかないから。そこでパンクのDIY精神に気づいて、それを歌詞にしました。コロナ禍が終わるためには全員がワクチンを打つしかないから。自分は看護師なので、ワクチンも打ちましたけど、そういう経験も発信したりして......日本を変えなきゃ! という気持ちが強いですね。