INTERVIEW
DARK MIRROR OV TRAGEDY
2018.09.18UPDATE
2018年09月号掲載
Member:M.Pneuma(Vo) Senyt(Gt) Gash(Gt) Reverof(Ba) Confyverse(Dr) Genie(Pf)
Interviewer:菅谷 透
まさに、俺自身の人生と共に歩んできたアルバムなんだ
-2014年には日本のシンフォニック・ブラック・メタル・バンド、Ethereal Sinとのスプリット・アルバム『Arcane Of Ancient Asia』をリリースしていますね。今日(※取材日の8月3日)から行われるツアー("Asian Black Metal Tour")でも共演しますが、彼らと親交を持った経緯を教えていただけますか?
Senyt:彼らと初めて会ったのは2012年かな。"HELLRIDE"(日韓共催のメタル・イベント"HELLRIDE RIDE ON TOKYO JAPAN TOUR 2012")という企画で、韓国のバンド3組が日本に来てライヴをしたことがあって、そのときにEthereal Sinと初めて共演したんだ。日本に行く前にはYama(Vo)さんから"共演できて嬉しい"と連絡を貰ったよ。このライヴがきっかけで彼らと仲良くなり、すぐにYamaさんから日本に招待したいと言われて、"Tokyo Dark Fest"(2012年11月4日に新大久保EARTHDOMにて開催された"Tokyo Dark Fest 2012")に出演したんだ。
M.Pneuma:彼らのことは、共演するずっと前から知っていた。2009年に香港へライヴをしに行ったことがあって、そのときにイベントの主催者であるレコード・ショップの社長がEthereal Sinの音源を聴かせてくれて、"彼らと一緒にライヴをしてみたらどうだ?"と提案をしてくれたんだけど、連絡する手段がなくて結局断念したんだ。だから2012年に日本で会えたのは、まさに運命的だったね。
-それでは、ニュー・アルバム『The Lord Ov Shadows』について聞かせていただければと思います。まず制作を終えての心境を教えていただけますか?
Genie:他のメンバーはこのバンドで10年以上活動しているけど、私はまだ加入して2年経ったばかりで、私にとっては初のアルバムになるの。実力あるバンドの一員として作品に参加できて、とても光栄だわ。韓国を代表するバンドになりそうな感じね(笑)。韓国ではあまり一般的ではないジャンルの音楽だけど、日本を含めて世界で注目を浴びられたら嬉しいわ。
Confyverse:わりと淡々とした気分だね。ミュージシャンとして、長い時間をかけて今作のようなコンセプト・アルバムを世に出すことは大変なことだと感じているけど、そのぶん今回のアルバムを誇りに思っているし、これからの活動を楽しみにしているよ。
M.Pneuma:『The Lord Ov Shadows』はまさに、俺自身の人生と共に歩んできたアルバムなんだ。初めて曲の構想を練り始めたのは1999年で、実に19年間をこのアルバムに費やしてきた。それこそ、数百回のアレンジを加えてきた作品だ。他のメンバーとは少し違って、人生における大きな宿題をやっと終えた気分だよ。自分としてはアルバムの出来映えにとても満足しているけど、みんなにも聴いてもらって判断してもらいたいね。
-今作からは作品全体の流れや楽曲のタイトルなど、世界観がしっかりとある印象を受けました。今作のテーマやストーリーを教えていただけますか?
Senyt:タイトルの"The Lord Ov Shadows"(闇の支配者)は人間の誰しもが持っている内面の暗闇を表しているんだ。"The Lord Ov Shadows"は自分自身のことで、すべては自分の中に存在している。だから、それを無視しないで、恐れずに自分自身の闇と向き合って乗り越えていこうということをテーマにしているんだよ。
-アルバムの曲ごとのストーリーについても詳しく聞かせていただけますか?
Senyt:アルバムはイントロの「Chapter I. Creation Of The Alter Self」で幕を開ける。Track.2「Chapter II. Possession」では、ある女性が"The Lord Ov Shadows"と出会ってしまい、Track.3「Chapter III. The Annunciation In Lust」では"The Lord Ov Shadows"が女性を精神的に犯していく。女声のアリア「Chapter IV. Acquainted With The Nocturnal Devastation」を挟んで、最後の「Chapter V. I Am The Lord Ov Shadows」では主人公が"The Lord Ov Shadows"と出会うんだ。
-こうした世界観を取り入れたのはなぜでしょうか? また、小説や映画など、ストーリーに影響を与えた作品はありますか?
Senyt:「Chapter II. Possession」はオリジナル版が『Dark Mirror Ov Tragedy』に、「Chapter III. The Annunciation In Lust」は『The Pregnant Of Despair』にそれぞれ収録されていて、すでにストーリーが存在していたから、そこからテーマを膨らませていったんだ。モチーフにした作品は、実を言うと特にないんだよ。前作(『The Lunatic Chapters Of Heavenly Creatures』)では小説の内容をモチーフにしたけど、今作はすべて自分の中に浮かんだものを使っているんだ。
-今作は持ち前のドラマチックな展開を見せる、壮大な作品に仕上がっています。トラックはどのようにして作曲されているのでしょうか?
Gash:主にギターのSenytと俺、そしてM.Pneumaが作曲を担当している。メンバーがいろいろなスタイルの曲を作ってくるけど、最終的にはM.Pneumaがアレンジを行うんだ。そこにメンバーそれぞれの個性のある演奏を加えて、曲を満たしていくんだよ。
M.Pneuma:俺たちの音楽的な特徴として、感情的でドラマチックな展開を見せるというのがあるから、そういった曲になるように努力している。技術的な面で言うと転調や、テンポ・チェンジを駆使して、感情の流れが自分たちの意図と合うようにするところに一番気を遣っているよ。