MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

小野正利

2017.12.13UPDATE

2017年12月号掲載

小野正利

Interviewer:荒金 良介

-洋楽の目覚めは意外と遅いんですね。

そうなんですよ。なぜか興味が湧かなくて。小学校のころにKISSが来日して、同級生が"KISSがかっこいいんだよ!"と言っていたけど、さっぱりわからなくて。中学に入ると、ABBA、BEE GEESとかは耳に入ってましたけど。自分から聴こうとはあまり思わなかったですね。

-なるほど。

今思い出したけど、中学のころにこれはいい曲だなと思ったのが、Billy Joelの「Honesty」ですね。当時、なんかのCMソングに使われていたんですよ。でもレコードを買いに行こうとは思わなかったですからね。「天国への階段」(原題:"Stairway To Heaven")という曲は知っていたけど、LED ZEPPELINの曲だと知ったのは大学になってからですね。

-そうなんですか!

はい。あと、高校のころにLOUDNESSを聴いたときはビックリしましたね。歌うことは好きなんだけど、音楽に関してはそこまで詳しくないんですよ。大学でWHITESNAKEのDavid Coverdale(Vo)や、Ronnie James Dio(Heaven And Hell/DIO etc/Vo)を聴いたときに、どれもかっこいいなぁと思って。邦楽ばかり聴いていた僕には、バンド名だけ一緒でメンバーがゴロゴロ替わる感覚がわからなかったんですよね。DEEP PURPLEみたいに第何期と言われても、よくわからなくて。

-たしかにその時代はメンバー交代が激しいバンドも多かったですからね。

ですよね? あと、歌は好きでしたけど、今までボイトレにも通ったことがないんですよ。David Coverdaleのマネをしてみたり......単純にかっこいい、かっこ悪いという判断でやっていたのが逆に良かったのかもしれないですね。それで自分なりの歌い方を見つけていきました。

-ちなみに小野さんが好きなヴォーカリストは?

David CoverdaleやRonnie James Dio、あとはSCORPIONSのKlaus Meineですね。"お前声質が似てるから聴いてみろ"と言われて、それでSCORPIONSを聴いてみたんですよ。洋楽の人は節を回すんだ、と思ったのがDavid Coverdaleだったし、ハイトーン好きならこれを聴いてみろって言われて聴いた、TNTのTony Harnellもかっこいい歌声だなぁと思って聴いていました。

-過去にTNTの名曲「Tonight I'm Falling」もカバーされてますもんね。名前が挙がるのは、ハード・ロック/メタル系のヴォーカリストが多いですね。

プロになりたい、なれるかもしれないと思ったのは20歳で、そのころは周りもメタルばかり聴いてましたからね。少しでも声の出し方や歌い回しを勉強したいと思っていたから、そのへんが好きですね。でもふとしたときにTHE ALFEEの桜井(賢/Vo/Ba/Gt)さんに影響を受けているのかなと自分で思うときもあるんですけどね(笑)。


キーを上げて歌うこともできるけど、しっとり歌うことも大事だなって


-そして、今作は女性曲、男性曲という形式で分けた2枚組の洋楽縛りのカバー作です。初のカバー作『For Pure Lovers』は1994年6月発表、2作目『The Voice -Stand Proud!-』が2011年10月発表になるので、約6年ぶりになりますね。

邦楽カバーの場合は母国語の日本語で歌うので、リラックスして歌えるんですけど、みなさんやってらっしゃいますからね。ここ最近でもないけど、邦楽カバーは徳永英明さんの印象も強いじゃないですか。年代的に僕も好きで、機会があれば歌いたいなぁと思う曲をほとんどやられちゃいましたからね。

-やはりそことは差別化を図ろうと?

そうですねぇ。1994年のころはなぜ洋楽カバーになったのか思い出せないんですけどね。1994年当時は今回と違って、声の高さを聴かせようという部分が強かったと思うんですよ。男性曲でもキーを上げて歌おうと。でも、今回は50歳になっても高い声が出ますよ、という感じにしなくてもいいかなと思ったんですよね。女性曲は、若いころだったら全曲意地でもオリジナル・キーでやってやるぜ! と思ったかもしれないけど。

-トライできなくはないけど、今作はそこで勝負しているわけではないと?

出せば出るかもしれないけど、少しキーを下げてやってみようかと。男性曲もキーを上げて歌うこともできるけど......しっとり歌うことも大事だなって。「We're All Alone」、「Your Song」とかはオリジナル・キーのまま歌いました。ただ、「Against All Odds」だけはキーを上げた気がしますね。オリジナルで歌ってみたら、声が潜りすぎるし、上げすぎてしまうと、Aメロの切なさが消えてしまうから。もし今回の作品を1994年に出していたら、キーの意識がものすごく強かったけど、今回はそれがないですからね。「A Question Of Honour」のキーも下げたのは覚えてます。