INTERVIEW
UNDEAD CORPORATION
2017.10.04UPDATE
Member:朱美(Vo) 窪田 道元(Vo) 社長(Ba)
Interviewer:増田 勇一
-クラブ系の要素というのはメタルとは対極と思われているもの。しかしそこにもメタルに通ずる何かを社長は感じているということですか?
社長:そうですね。たとえば、ヘイトとかアンガーみたいなもの。そういったものが感じられるのがメタルだと思ってるところがあって。そこでの感じ方は道元ともすごく共通してるんです。ヒップホップでもそういうのを感じさせるものはあるじゃないですか。
窪田:めちゃくちゃアングリーですからね、ヒップホップはそもそも。
社長:逆に音像がメタリックであっても、そういうものが欠けていたら僕はメタルだと思わないわけなんです。
窪田:そこでの解釈はだいぶ被ってますね。実際、付き合いもかなり長いんで。
社長:同じ大学の出身だったりもするんです。お互い同じような環境で音楽を聴いてきたから、そこらへんの解釈が似てるというか。
窪田:最初からこのふたりの間の共通言語があるというのが、結構このバンドにとってはデカかったと思います。ただ、俺の方がオールドスクールではありますけど。社長の場合、実はIRON MAIDENとかは通ってなかったりするし。
社長:僕の場合、METALLICAから入ったというのが大きいと思うんです。METALLICA以降のものが好き、というか。そこで往年のメタルを遡るよりはMISFITSとかDISCHARGEとかの方がアンガーがあるし、そっちに惹かれたというのがあって。
窪田:そこに若干の違いがあるんですけど、だいたい根っこは一緒ですかね。
朱美:私は今みたいな会話はあんまりよくわかんないんですけど(笑)。でもたぶん、聴かされたらすぐカッコいいって同調できるんだろうと思います。
社長:わりとこのふたりが好きなものには同調できてることが多いよね?
朱美:普段から聴く音楽ではないけど、薦められて聴いてみるとカッコいいと思うことが多いんです。そこはこのふたりのことを信頼してるというか、きっとこういうのを聴いてるんだろうなって、自分なりにわかってるつもりでいるんで。
社長:ハードコア寄りのメタルにはわりと順応性があるんです、彼女は。
朱美:そうですね。様式美系とかは、ちょっとないかな。
-ヘイトとかアンガーがキーワードではあっても、このバンドの音楽は怒りや憎しみを煽るようなものではないと思うんです。そこも興味深いところで。
社長:そうですね。そこはむしろ純粋に楽曲として楽しめるものにしたいというのもあるし、聴いたことでポジティヴになれるものであるべきだとも思っていて。そこに加えて、セックスを肯定する匂いみたいなものも欲しかったんです。なんていうか、ビッチ感みたいなものが。
朱美:制作のときも言われてたんですよ、"もっとビッチっぽく"とか(笑)。
社長:なんかこの種のロックで女性ヴォーカルというと、きれいな方にいっちゃいがちじゃないですか。そこにもうちょっと、暴力的な音と相性のいいものを乗せたいというのがあって。そういう意味で、セックスの匂いを隠さない感じでありたいと思ったんです。アンガーにしろヘイトにしろセックスにしろ、感情として原始的というか、本能的でいいなと思うんです。そもそも人間が持っているものというか。そういう意味ではこのアルバムのキーワードのひとつとして"リアル"というのがあるかもしれません。
-面白いですよね。リアルな表現を求めている人たちが非リアルな姿をしているわけで。
社長:たしかに(笑)。そもそも日本人が英語で歌ってるというのもアンリアルですしね。
朱美:実際、自分がビッチかどうかはわからないですけど(笑)、私はアメリカの音楽、ポップスとかヒップホップとかも好きなんですね。で、そういった向こうの女性アーティストって、強いじゃないですか。自信と意志を持っていて、なおかつセックスアピールもある。そういった人たちに憧れているので、社長がさっきから言っていることもすごくわかるんです。それに英語についても、私自身ずっと英語の音楽を聴いて育ってきたし、日常的にも英語を使っているので、必ずしもそこはアンリアルではないんです。日本語でダイレクトには言いにくいことを英語にすることでリアルな表現ができる、というのもあるし。
窪田:メタルの世界での女性ヴォーカルというと、よりきらびやかに美しく、という傾向が強いじゃないですか。より女性的な感じを求めがちというか。そういった傾向に対するアンチテーゼというわけではないけども、みんながそっちを向いてるならこのバンドは違う方を向くよ、というのもありますね。それって単純に、楽しいなと思うんです。