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INTERVIEW

NYF

2017.08.02UPDATE

2017年07月号掲載

NYF

Member:King AJ(Vo) RYO(Gt) ZEPELI(Ba) MAPPO(Dr)

Interviewer:荒金 良介

今回は人に伝えたいという気持ちを前面に出してます


-ずっと日本語で歌っているんですか?

AJ:ずっとそうです。日本語は言い回しで情景や奥深さも出るし、歌は道具に近いですね。言葉に意味はありますけど、それ以上に日本語の響きを大切にしてます。結果的に、今やってることがNYF結成時にやりたかったことですね。泥臭いロックというか、それがスムーズに出せるようになったから。

-AJさん以外はあとから加入したメンバーということで、NYFの最初の印象はどうでした?

ZEPELI:当時ライヴハウスで観たときはものすごく怖くて。ヘタに話し掛けたらボコボコにされるんじゃないか、という空気はありました。でも、メンバー募集を見掛けたときにずっとベースが見つからないみたいだったから、自分の人生を考えたときに、このバンドに賭けてみたいなと。僕はDREAM THEATERが好きで、景観が浮かぶような曲調も好きでしたからね。メタル感もありつつ、オシャレなところも感じるし、ほかとは明らかに違う音楽だなと。

MAPPO:僕は前に別のバンドをやってたんですけど、ZEPELIは高校、大学の同級生で、"ちょうどNYFのドラムが辞めるから、やってみない?"と誘われて。軽音楽部に入ってたころにPANTERAもコピーしてましたからね。AJはカリスマ性があるというか、自信に満ち溢れているステージングが魅力的で、この人の後ろで叩いてみたいなと。

-RYOさんは?

RYO:バンド自体にストイックな印象があって。別バンドをやってたときに、NYFに出てほしいと思って対バンしたら、"なぜ出てほしいと思ったの?"とか細かく聞かれて。軽はずみに声を掛けちゃいけないのかなって(笑)。NYFは地元でも有名な存在だったし、前のギターが辞めるというタイミングでライヴを観たときに、そのギターの人が次にNYFに加入するなら、お前は推すけどねと言われて。自分もNYFでギターを弾けたらいいなと。

-わかりました。では、今作はどういう内容にしようと?

AJ:去年『Face to Face』という作品を出して、セールスはさておき、自分たちが本当に作りたいものを作って。それから『NEVER SAY NEVER』というシングルを出したんですけど......今回は『Face to Face』よりも進化してますね。僕らが思うヘヴィ・ロックの定義から若干視点を変えているんですよ。今まではエモーショナルだったりしたけど、もう少し明るいアプローチを足したくて。あと、はっきりした日本語の歌詞を使おうと。自分たちの中でレンジを広げた作品ですね。これまでなら、今MVを公開している「Rodeo Crazy-S×R×C-」(Track.3)が1曲目に来ると思うけど、ウチらは天の邪鬼なんですかね。日本語のパワー・バラードと言える「Flowers Valley」を1曲目にしたかったんです。今回は人に伝えたいという気持ちを前面に出してます。

RYO:この1年間にアコースティック・ライヴをやったりして、そこで僕の中でのAJのイメージが変わったんですよ。しっとり聴かせる曲を押したら、もっとAJの良さが生きるんじゃないかと。また違うNYFの良さを届けたくて、1曲目にしたんです。

-「Flowers Valley」はバンドにとっても新境地を開いた楽曲になったと。

AJ:常に挑戦したいですからね。破壊的進化というか、自分たちの価値を突破して、いいものを作りたくて。

-情景が浮かんでくる壮大な楽曲ですね。あと、AJさんはいわゆるスクリームとはまた違う発声の仕方だなと。

AJ:ハイトーン・ヴォーカルがもともと好きじゃなくて。先ほども日本人で影響を受けたのはKYONOさんと言いましたけど、ギャー! みたいな歌声は生理的にダメなんです。シャウトしながら歌っているから、海外だとCorey Taylorに近いかもしれない。メロディがあるじゃないですか。叫ぶというより、歌を歌っている意識ですね。

-なるほど。「(SIREN)」(Track.2)はみなさんのルーツにあるニューメタル色の強い楽曲ですね。

AJ:今までの延長線上だけど、さらに振り切って、自分たちのやりたいようにやりました。

RYO:あまり馴染みがなかった3拍子を取り入れているけど、それも持ち味になっているかなと。

-そして、「Rodeo Crazy-S×R×C-」はラップ・メタルみたいなニュアンスも感じました。

RYO:そうですね。ちょっと話が逸れますけど、喋ると普通の人でよかったと言われることがあって。別に怖い人たちではないので、こういうパーティー・チューンがあってもいいのかなと。MVも大いにふざけてますからね。

-コール&レスポンスとか、お客さんにも目線を置いたアプローチも取り入れてますね。

AJ:今までそういうアプローチが少なくて。自分たちで成立させるような感じで、コーラスも入れてなかったから。

RYO:ライヴをたくさんやってると、認めてくれる人も増えるし、楽しんでほしいという気持ちが強くなって。

-今作の歌詞を書くうえで心掛けたことは?

AJ:基本的に僕は前向きなんですよ。自分では変態的にポジティヴだと思ってます。背中を押しまくってますからね。今日がダメでも、明日また歩き出せばいいみたいな。ただ、難しい言葉も使うので、歌詞はわかりにくいところもあるかもしれないけど、ポジティヴな切り口ではあっても、今の社会システムに対して警告的なニュアンスは込めてます。人生の活力にしてほしいし、言葉が持つポジティヴなイメージは意識してますね。

-「Flowers Valley」は最後に希望を描いてますけど、もがく様もちゃんと描写してますよね?

AJ:ひとつの言葉で言うなら、愛ですね。自分たちを信用してほしいときは相手を信用することが先決じゃないですか。愛について考えたときに、恋愛ではなく、人間愛というか、世の中は捨てたものじゃないということを伝えたくて。もがく様もかっこつけずに出せるようになったのかなと。綺麗事を並べようとも思わないし、言えることしか言えないですからね。

-歌詞の書き方で影響を受けた人はいるんですか?

AJ:一番は上田剛士さんですね。THE MAD CAPSULE MARKETSの「マスメディア」のサビで"頭の固いオッサンは取り残されて行く/俺とお前は最初から頭の作りが/まるで違うんだ"という歌詞があるんですけど......常にお前を超えてやるって、すごくポジティヴに聞こえたんですよ。剛士さんはザ・スターリンの遠藤ミチロウさんに影響を受けていると思うんですけど、限られた言葉でトゲ刺すという。父親が他界して、荒れていたときに、剛士さんの歌詞が刺さったから。同じようには書けないけど、自分の言葉で納得できる歌詞を書きたいですね。