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INTERVIEW

AT THE DRIVE IN

2017.04.20UPDATE

2017年04月号掲載

AT THE DRIVE IN

Member:Tony Hajjar(Dr)

Interviewer:鈴木 よしゆき

2000年にリリースしたメジャー・デビュー作『Relationship Of Command』が、Iggy Popのゲスト参加などで話題を呼び一躍注目を浴びた、アメリカ・テキサス州のポスト・ハードコア・バンド AT THE DRIVE IN。2001年には無期限活動休止を発表し、メンバーはTHE MARS VOLTAやSPARTAなどで活動を続けていたが、2012年に一度再結成を果たし、大型フェスにヘッドライナーとして出演。2016年には正式なワールド・ツアーを回った。そして、完全復活となる17年ぶりのニュー・アルバム『In・ter A・li・a』がついに完成! 全世界注目のリリースとなる今作について、またここに至るまでにはいったい何が起きていたのか、を探るべくドラマーのTony Hajjarに迫った。

-ニュー・アルバム『In・ter A・li・a』の完成おめでとうございます。予想以上に素晴らしいアルバムが聴けて嬉しいです。あなた自身の、アルバム完成に対する気持ちをまずは聞かせてください。

多くのアーティストが同じ感覚に陥ると思うんだけど、アルバムを作ってるときはピンと来てるのに、少し離れて客観的に見ると本当に良いのかどうかわからなくなるんだ。マスタリングをするときに、いろんなミックスをずっと聴いてたんだ。ミックスのいろんなテイクとかを聴き直して、いろいろ分析しすぎちゃうんだよね。でも、マスタリングが終わって数週間経ったあとに聴いてみたら、すごく誇らしかった。今自分たちがいる場所は、僕たち自身も想像していなかったし、誰もがいられる場所ではない。僕たちはひとつの大きなファミリーで、その関係でもうひとつアルバムが完成した。僕たちにとってはプライスレスなことで、アルバムに関わってくれたすべての人にすごく感謝しているし、より誇らしく思えるよ。

-2012年に再結成したときはアルバムを作るまでには至りませんでしたが、去年からの活動はこうして新作として見事な実りをもたらしました。現在のAT THE DRIVE INと、前回の再結成時とでは、最も決定的に違っているものは何だと思いますか?

AT THE DRIVE INは2012年に再結成したんだけど、正しく表現すると"より乱れた"かな。比喩的に言うなら、僕たちは軍隊やギャングのような制服を着ていて、1996年に結成された厳格なAT THE DRIVE INに戻ろうとしている。僕たちがまた会話を交わすようになったのが2009年で、2011年にはジャム・セッションをして、実際に曲も作った。そしてなぜだか10公演だけライヴをすることにもなった。僕たちはすごく楽しい時間を過ごして、バンド内では問題はなかったんだ。だけど、ライヴの数日前にOmar(Rodriguez-Lopez/Gt)の母親が他界するっていう不幸があって、それが僕たち全体に影響したんだ。みんな一心同体だからね。だからすごく自分たちのエネルギーも低く、悲しくて、バンドが統一されているようには見えなかった。バックステージでも一緒に過ごしたりご飯を食べたり、いつもと変わらないようで、やっぱり精神的には100パーセントいつもどおりではなかった。あと、もうひとつの知られざる事実は、2014年にも悪いスタートがあったんだ。2014年にはみんなでスタジオに入って音楽を作り始めたんだけど、そこでもちょっとした問題があって、それがどんどんみんなの苛立ちになっていってしまって。僕はこのバンドに情熱があったのに、僕自身がその出来事に耐えられなくなったんだ。それでもう帽子を投げ捨てて。もう終わりだった。僕はズタズタになった気分だった。僕だけじゃなく、Paul(Hinojos/Ba)も同じだった。そして、少し時間を早送りして、2015年のこと。Cedric(Bixler-Zavala/Vo)から電話があって"君に戻ってきてもらうには何が必要なんだ?"って聞かれたんだ。そのときに僕が言った言葉は"みんなが100パーセントの気持ちでいてくれたら、それ以上に求めるものはない"だった。それでそのときにもらった答えが"約束するよ"だった。そのときに、まるで砂の上に線を引いて、もしこの線を越えたらすべてが変わるっていう規約のようなものができた。だからその規約に則って、2016年はたくさんライヴをした。最後にやったライヴがたしか"SUMMER SONIC"だったよ。それ以降、前のような苛立ちを感じることがなくなった。並行して曲作りもしてたんだけど、"SUMMER SONIC"の時点でたぶん80パーセントくらいデモができてたんだ。だから日本から戻ってすぐにプリプロに入った。日本に行く前のソウルにいたときには、すでにそこでたくさんプリプロをしていて。11月にはLAでプリプロをやって、そのあと今までにないようなスピードでレコーディングをしたよ。スタジオに入るやいなや、みんなすごい勢いとエネルギーで作業に取り組んで、すごく気持ちが良かった。すごく長い説明だったけど、こういうことだったんだ。今は本当にギャングみたいな気持ちだよ。2011年になる前に、僕とCedricが書いた曲が1曲あるんだけど、それは僕がそのとき住んでいた部屋で書いたんだ。それはバンドが再結成する前だった。その曲は新たに書き換えられたところも多いけど、今のアルバムに収録されてるんだ。たぶん、当時の曲でアルバムに収録されているのはこの曲のみかな。

-やはりJim Ward(Gt)が抜けてKeeley Davis(Gt)が加入したことで、新たな創作に向かう状況が整ったということなのでしょうか?

もちろんだね。エネルギーがすべてだよ。あとはお互いのケミストリー。僕は、科学反応をすごく信じていて、少しでも科学的な方程式を変えると、全然違うリアクションが生まれる。それがまさにこれだね。もちろんKeeleyが新たに入って、Jimがいなくなるってことは、変わる部分もあるけど、それが悪い変化ってわけではないからね! それを2016年のツアー、そしてこのアルバムで証明したかった。僕たちは今でもAT THE DRIVE INだし、僕はバントのただのドラマーではなく、Paul同様に、いろんなことをやってるんだ。僕たちはリズム隊だけど、リズム隊以外のこともやっていて、すごくバンドに関わっている。このバンドの特徴は、5人全員の関わりが、このバンドを成り立たせてるっていうこと。僕たちはそれぞれ独特なスキルをもってるんだけど、このバンドではそれが活かせるからいいんだよね。今では、Keeleyはグラフィックにも関わっていて、そういう新たな違いが生まれてるとしても、このバンドは根本的には変わってないんだっていうことを今、証明しているところなんだ。