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INTERVIEW

S!N

2016.06.16UPDATE

2016年06月号掲載

S!N

Interviewer:沖 さやこ

-英語で歌ってみて、どうでしたか?

めちゃくちゃ大変でした。自分の出したいニュアンスを出すだけでなく、さらに英語の発音が必要になってくるので、自分的に"今かっこよく歌えた!"と思うテイクだったとしても"発音が良くなかったね"と言われればやり直しになっちゃうんです(笑)。2本の軸が合致して1本のテイクになるというのは今までとまったく違うことでしたね。

-「Salvation」のテーマを"救済"にした理由は?

S!Nとして活動していく中で感じたことなんですけど、自分のライヴが"今日の学校を乗り越えたら明日はライヴだ!"、"あと2ヶ月バイト頑張ればライヴだ!"みたいに、頑張るきっかけになれていたらいいな......と思って。その気持ちを突き詰めていくと――仰々しくなるんですけど、"救済"に近い部分があって。つらいことや悲しいことがあってもライヴのときなら忘れられるとか、"あいつネットから出てメジャーに行ったんだから俺も行けるじゃん"とか、そういうものに繋がっていけばいいなという、僕の希望でもあるんですよね。

-難しい環境での歌録りだったかと思いますが、どういうことを大事に歌唱を?

"救い"を求めるときはつらいとき、しんどいときだと思うので、悲壮感や必死感が伝わるものにしたいなと思いました。余裕があるように歌っていたら救いはいらないなと思うので。......まぁ、英語だったので否が応でも必死になったんですけど(笑)、歌の持っているイメージをより強く伝えるようにしています。

-もともとS!Nさんはどういう音楽がお好きなのでしょうか。

昔は歌詞とメロディが大事だと思っていたし、英語がわからないので洋楽を聴かずにずっとJ-POPを聴いていたんです。でもダンス・ミュージックやR&Bを聴くようになって、曲そのものに気持ちよさやかっこよさを感じて、それで"歌詞が理解できるかどうかは関係なく、かっこいいものはかっこいいんだな"と洋楽を聴けるようになりました。

-「Salvation」も「Mes」も、ラウドロックを基盤にエモやダブステップの要素が入っている楽曲で。特にダブステップの扱い方はダンス・ミュージック的な解釈を感じられたので、新しい感覚がありました。

デモの段階で、間奏でちょっと控えめにダブステップ調の雰囲気があって、"もしかしたらTsugeさんはこういうことをできる人なのかもしれない"と思って。"もし僕と初めて一緒にやるから遠慮して要素を薄めているならば好き放題やってください"とお伝えしたら、あそこまでやってくれました。せっかく他の人と関わって楽曲制作をする機会を頂戴しているので、その人の個性もばりばり出してくれた方がいい作用が生まれるかもしれない。やってみてダメだったら消してくれればいいし。僕は音楽のジャンルにあんまり詳しくないので、面白いか面白くないか、好きか嫌いかだけで決めています。だからTsugeさんがオケとメロディを作ってくれて、Konnieさんが僕のテーマに沿って歌詞を書いてくれて、僕はそれをさも自分が作ったかのように歌うという(笑)。

-いやいや(笑)、S!Nさんが"ダブステップの要素を強めてほしい"という要望や"救済"というテーマなどを伝えなければ、こういう曲にはなっていないわけですから。

"落ちサビの歌詞を変えたい、この部分をカットしたい、ギター・リフの入りを8小節遅らせたい"とか、めちゃくちゃ偉そうに自分好みに指示しました(笑)。

-できあがったものに、テコ入れするのがお上手なのかも。

あぁ、そうですね。ひとりでゼロから1を作ることはできないんですけど、1を10や100にするのは得意です。偉そうに(笑)。でも、ゼロから1を生み出す方が断然難しいと思うので、自分が"制作をしている"と言うのはおこがましいなと思うんですよね。

-「Mes」は「Salvation」と同じく"救済"がテーマなのかなと思いました。ラップのような部分もあります。

「Salvation」が救済者側なら、「Mes」は救われる側というふうに、ちょっとコンセプチュアルなものに。あれはラップというか......Konnieさんに"リズミカルに聴こえるものを入れたい"とお願いをしたら、このパートが入っていて。僕が日本語で歌詞を書くときもこういうふうになる部分が結構あるんです。

-リズムが気持ちよければOKだと。

メロディや歌詞よりもリズムを大事にしてるんですよね。歌声すら音でいい。それを歌詞カードで見たときに"こんな意味だったんだ"というのが伝わればよくて。聴いた瞬間に意味がわかる歌もあるじゃないですか。歌い方の雰囲気も影響してか、僕はそういうものがあまり得意じゃないんです。だからリズミカルな歌を歌うのが好きですね。

-S!Nさんが作詞作曲される場合、どのような手順で制作が進むのでしょうか。

今のところ、"ともあれ"というギタリストと一緒に作業をしています。作りたい曲の雰囲気を伝えて、上がってきたものに対して"ここは必要ない"、"ここは入れたい"という旨を伝えて、完成したオケに僕がメロディと歌詞を乗せてます。メロディは完成したオケにインスピレーションをもらって作っているのかも。僕が歌詞を書くときは一人称や二人称を書かないので、僕しか意味がわからないんじゃないかなとも思うんです(笑)。でも気になる人は考えるし、それが曲を聴くときの楽しみになればいいなと思います。だからわかりやすすぎる書き方はあまりしないですね。リズムを考えて、"トントントントトン"とか言いながらそれに合う単語を探している、という感じです。

-Track.3「曖昧な美談」に込めたメッセージとは?

Track.1とTrack.2は"僕のことを信じてください。信じてくれれば救いを見せられます"という内容なんですけど、Track.3は"信じた相手が胡散臭い奴だったってパターン、よくあるよね。信じるものは救われると言うけれど、信じていてもわりと手のひら返されることはあるよ"ということですね。シングル全曲通してきれいな話をするのも変な話なので、一辺倒にならないようにしました。"僕を信じてください"とは言っているけれど、"最終的に信じられるものは自分"というところに着地してくれたらいいなと。......でも誰かに頼った方がラクだし、自分を信じるのは難しいですよね。"じゃあ頼ればいいんじゃない? ただ、頼ると裏切られることも多いよね"ということですね(笑)。テーマがテーマなだけに"信じすぎても怖いし、信じなさすぎるのはつらいし、どうしようね?"という、結論のない曲なんです。

-メジャーでのレコーディングや制作環境はいかがでしたか。

ディレクションしてくれる人が増えたので、すごく勉強になります。"このテイクとこのテイクどっちがいい?"という話になったときに、客観的な意見で判断してくれると納得できるので助かりますね。誰かに頼るとラクなので......僕も"Salvation"されてます(笑)。

-きれいにまとまりました(笑)。先ほど、もっとたくさん海外でライヴがしたいとおっしゃっていましたが、今後の展望がありましたら教えていただけますか。

せっかくメジャー・シーンに行かせていただくのであれば、フェスに出てみたいなと思います。フェスは普通のライヴ・イベントとはまったく違うと思うんですよね。自分に興味がなければお客さんはどこかに行ってしまうだろうけど、その場で出会う人も多いと思うので。だから出てみたい。憧れみたいなものですね(笑)。あとは、今回激ロックさんが取材をしてくださっているように、今まで以上にメディアの方々とお仕事をする機会が増えると思うので、その延長でお客さんを増やしていって。もっと大きな規模のライヴハウスでワンマン・ライヴができるようになればいいなと思っています。