－ああ、なるほど。

鈴川：ライヴをやるうえで、そういう曲の方が自分たちもしっくりくるから。

坂本：3人ともライヴが好きだし、激しい曲が好きだから、歌モノにはしたくなくて。

嶋田：ライヴのテンションも考えて、"もっとノらせたい！"という気持ちが強くなりました。勢いのある曲の方がみんなにいい反応をしてもらえるんじゃないかと。だから、今回はゴリゴリの2ビートだらけになったという（笑）。ライヴを続ける中でやっぱりこの方がいいなと。

－自分たちがどんな音を鳴らしたいのか、わかるようになってきた？

嶋田：はい、自分たちのテンションが高くなる曲を作ろうと。これからもそういう曲を作りたいです。

－Track.1「Shine Bright」はオープニングっぽいショート・チューンで、アルバムの真ん中あたりにはミドル・テンポな曲調があったりと、作品トータルの流れもいいですね。

坂本：前作は既存曲を詰め込んだ感じだったけど、今回は4ビートの曲を入れるなど、アルバム全体の流れは考えましたね。

嶋田：曲の雰囲気や並びも意識して、1枚通して聴いても飽きないものにしようと。全曲違う感じに仕上がってると思います。

－特にTrack.3「Night Of Miracle」は歌メロが際立った曲調ですね。

坂本：そういう感じの曲調は初めてですね。

鈴川：最初はどうなのかな？と思ったんですけど――

嶋田：こういう曲があってもいいんじゃないかと。僕たちにしては歌詞も曲もポップで、ここまで明るい曲は今までなかったですからね。ライヴでも映えそうな曲だと思います。

坂本：そういう意図だったよね？ 今まで暗い歌詞が多かったから、明るい曲を書こうと。

鈴川：考えすぎもあまり良くないから（笑）。大前提として楽しむことが大事だと思っていて、この曲は"とりあえず今を楽しもう！"しか伝えることがないんです。曲はメロディから作ったんですけど、作ってる最中は何も意識してませんでした。ただ、90年代に流行ったBeing系のWANDSや織田哲郎さんが作った曲が好きで、無意識にそれが出てるかもしれないです。

－Track.5「Light Seeker」の切ない歌メロで始まるアプローチもいいですね。

嶋田：「Light Seeker」はかなりダークですね。やっぱり暗い曲をやりたいんですよ。エモいのが好きなので。

坂本：エモいけど、曲は明るいというか。ウチらは"エモ明るい"と言ってるんですけど（笑）、そういう混ざり合ったものにグッときちゃう。

嶋田：そういう意味で言うと、「Try Again」（Track.2）はエモ明るい曲に仕上がったと思います。それが歌ってて気持ちいいんですよ。

坂本：歌詞に関しては1曲ごとにテーマを決めていたので、内容があまり被らないようにしました。全体的に"これから出発するぞ"みたいなニュアンスの曲が多いですね。

－「Shine Bright」は、曲は明るいけど歌詞は暗いですよね。

坂本：それは狙いました（笑）。曲の勢いはあるけど、歌詞はそうじゃない。"光が強すぎて、前に進めない"という内容です。

－"I can't see anything like the darkness even though so much bright world.（※訳：こんなにも明るい世界なのに暗闇の様に何も見えない）"という歌詞ですからね。

坂本：例えば、おいしい話に目がくらむと何も見えなくなって、どんどん下に落ちていくだけだから。ちゃんと足元を見てないと、進んでいけないぞっていう曲です。

－あと、"日の光"、"長い夜"とか、時間の経過を感じさせる描写も多いですよね？

坂本：ああ、そうですね。最初はアルバム1枚で1日の流れを表現できたらいいと思っていたけど、なかなか難しくて。でも時間がわかる単語はちょいちょい入ってますね。ハッピーだったら昼間、気分が沈んでいたら真夜中とか、気持ちを表しやすいから。夕方の景色とか夜空とか、そういうエモい風景も好きですね（笑）。

－それでラスト2曲（Track.6「Stand By Me」、Track.7「Before Daylight」）の歌詞は相手に向けた内容ですよね？

坂本：「Stand By Me」は感謝の気持ちを書いたものです。今まで支えてくれた家族、友達、お客さんに向けて、"あなたの成功の道も願ってます"って。「Before Daylight」はアルバムにもう1曲入れたいと思って、土壇場で追加した曲なんですよ。曲名通りの夜明け前、出発前のような気持ちを表しました。"ドラゴンクエスト"をやっていたときにメモに書いていた歌詞なんですよ。RPGでコインを集めたら、いい装備品を買えるじゃないですか。それで高級な剣を買ったくせに、なかなか街から出られない人をイメージして。

－ダメな奴なんですね（笑）。

坂本：そうですね。主人公なんだから、自分でストーリーを作らなきゃダメだろうって。それがアルバム名にも合ってるんじゃないかと思って。まあ、自分に向けて書いてるところもありますね。高い楽器を買っても、どんどんその先に進まなきゃダメですからね。それは音楽に限らず、いろんなことに当てはまると思うから。