－シンセ・サウンドがバンド全体のサウンドを強く方向付けていますが、シンセ・パートはどなたが担当されたのでしょうか？

Zombie Samがキーボードとアレンジのほとんどを手掛けてくれたわ。彼はオーケストラの指揮もやっていて、大学では成績優秀だったから、音楽への深い知識があるの。私のヴィジョンやSEASON OF GHOSTSで創り出したい世界を時間をかけて彼に説明し、どのようにして欲しいかも伝えた。彼はソフトウェアの知識を使って、私は自分の感覚とセンスを使ってすべてのサウンドと楽器を選び、雰囲気と曲の環境を作り出した。自分を100%表現したかったから、他の誰にも自由に作業をさせなかったの。Zombie Samはギター、ベースとドラムをNero Argentoと一緒にプレイしてくれたわ。Neroはキーボードを入れて、私のアイディアをさらに展開してくれたの。

－シンセだけでなくSE的なサウンドも、楽曲をドラマティックに展開させていくのに大きな役割を果たしているように感じました。物語性や映画のようなサウンドの作りこみはもともと意識していたことですか？

最初から確信していたわ。シネマティックな音にしたかったし、強い感情があるドラマティックな環境にしたかった。だからZombie Samに共同でプロデュースを依頼した。彼は私のディレクションでインストも3曲作ってくれたの。最初から最後まで一緒にアルバムをプロデュースしたのよ。彼はプロのサウンドトラックの作曲家だし、私が映画やアニメが大好きだから世界観に共通点が多かったわ。自分のヴィジョンを伝えたとき、とてもよく理解してくれたからどんなに困難に思えても最終的にはうまく行ったの。このアルバムには400時間以上費やして細部まですべて気を遣ったから、少しも後悔してないわ。私の魂の一部が入っているの。Zombieの魂も入っていると思う。Zombieとゴーストの相性がいいのかもしれない（笑）。

－すでにライヴ映像も上がっていますが、バンドとしての現在までの活動について教えていただけますでしょうか？ 本国では昨年12月にリリースされていますので、その後のライヴを始めとしたバンドと個人の活動状況を教えてください。

昨年は"Metal Female Voices Fest"に招待されたわ。世界で一番重要なフロントウーマン・バンドのフェスだから、そこで演奏することはとても光栄だったの。だけど大きな責任もあったのよ。2年半もステージに立ってなかったし、大勢の前で新人として演奏した。バンドは困難な状況でも乗り越えられるって、私を落ち着かせてくれたわ。PAトラブルがあったけど、無事に演奏ができ、観客も盛り上がって、グッズをすべて買ってくれたわ。ギリシャに戻ったときはグッズが売り切れていたの（笑）。ゼロから始めることにはストレスもあるけれど、ファンが力を与えてくれたわ。フェスの方で1時間のサインと握手会を準備してくれたけれど、あまりにもファンが多かったから、1時間半になって、みんなも衝撃を受けていた。私に続ける勇気を与えてくれたわ。このアルバムを作るにあたって経験した様々な状況やもう一度自分の足で立つことかを思うと、ファンからのサポートが一番の贈り物になったわ。自分の感謝の気持ちは言葉で言い表せないぐらいよ。SEASON OF GHOSTSは今、世界中でライヴをする計画を立てているところだし、新しいマテリアルを作るところなの。まだ始まったばかりよ！

－今作はEttoreによるミックス＆マスタリングとのことですが、プロデュースはバンドによるセルフ・プロデュースですか？

その通り！ 最初はチームにプロダクションを頼む予定だったけど自分の味を添えたかったから、自分でやることにしたの。Ettoreは自分の経験やヴィジョンと文化があって、私のとは基本的に違うから、彼にすべてを委ねたらアルバムのサウンドは今のサウンドになってなかったと思う。Ettoreはラウドなギターとドラムが好きで、あまり聖歌隊やピアノ、キーボードが好きじゃないの。だからマスターの１バージョン目が送られてきたとき、私のキーボードとヴォーカルのレイヤーが滅多刺しにされた感じで泣けたわひとつのハモりではなく、レイヤーにしていたの。自分の合唱やヴォーカル・エフェクトを"呪われた"雰囲気を作るのに使ったのよ。アルバムでスクリームしているのはどうだった？ そういうパートでは北斗の拳的な怒りを放っているわ（笑）。

－Ettoreにミックス＆マスタリングを頼んだ経緯と意図を教えてください。

『epsilon』と『Princess Ghibli』とZombie Samのアルバムを一緒にやる中で、Ettoreの仕事のやり方を見て、すごくクオリティの高いプロダクションができると知っていたから、彼の技術を信用したの。彼が素晴らしい仕事をするのは疑いようもなかったから、ためらわずに彼を選んだわ。

－Ettoreからの細かい注文やアドバイスはありましたか？

実際の逆のことが起きたの（笑）！ 私は何がやりたいか、どんなサウンドにしたいかを伝えて、マスターを30バージョンも作って、自分が満足できる結果にようやくなった。彼は私の"メインストリーム"的な考えに意見が合わなかったけど、それは彼がメタルヘッドだから。でも私はただのメタル・アルバムにしたくなかった。メタルヘッドだけじゃなくてもっと多くの人に語りかけるものが作りたかった。メタルを尊敬し、こよなく愛しているけれど、もっと広いヴィジョンがあるの。Ettoreはそれを尊重してくれて、アイディアを合わせて、彼の経験をもとに一番いい制作方法を見つけ出してくれた。 最初にEttore、Zombie とNero Argentoにアルバムのアイディアやコンセプトを伝えたとき、彼らは驚いて焦ったみたい。あまりにもたくさんのアイディアがあって、1枚のアルバムに収まらないと思ったらしいわ。アルバムが不気味なサウンドになると心配していた。だけどMALICE MIZERの『Merveilles』など、様々な影響を受けているけれど美しい、滑らかでユニークな作品になっている例を聴かせたの。自分のアイディアをすべてひとつにしてバランスのいい作品にできると安心させることができたわ。彼らのプロデューサーとしての経験が大いに役立って、この不可能に違いゴールに達することができた。Ettoreとチームのみんながこのアルバムを誇りに思っているわ！

－今作が完成したときの手応えはいかがでしたか？

今のところ反応はとてもよくてポジティヴだわ。プロモーションにあまり大きな予算がなかったけど、マスコミの反応に注目してみると、『The Human Paradox』のレビューの99%が8～10だった。不思議すぎたり、ハイブリッドすぎると思われるかと思ったけど、逆に高く評価してくれて驚くほどオリジナリティがあると言われた。このアルバムで大きな賭けをしたけれど、最終的にはその正直さと純粋さを人は好きになってくれた。努力は報われるのね。

－今後ライヴの予定や海外ツアーの予定は決まっていますか？

世界中の様々な人たちと話をしているけれど、まだ日程を発表することができないの。日本のファンたちと会えるようにできる限りのライヴの調整をしているわ。今年こそ会えたらいいね！

－来日も期待していて良いでしょうか？

日本で演奏したい海外のバンドにとって、いろいろ難しくなっていて、昔ほど簡単ではないけど、SEASON OF GHOSTSがすぐに日本に行くことはたしかよ！待っていてね！

－最後に、日本のファンやリスナーへのメッセージをお願いします。

このインタビューを読んでくれている昔からのファンのみんな、ずっと応援してくれてありがとう。わかってないかもしれないけど、みんなは諦めようとしていた私に続ける力と最初からやり直す勇気をくれたの。だからありがとう。新しいファンたちへ、私の世界へようこそ！ 面白いアドベンチャーになることを約束するわ！ みんな、自分に正直でいることを忘れないで。何があっても、憎むのではなく、愛することを選んで。愛があればスタート・ラインに行けるし、奇跡が作れる。憎しみがあるといつも地面にいて、飛ぶことができない。愛と光を選べば人生が変わるのがわかるわ！