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INTERVIEW

LASTGASP

2015.06.30UPDATE

2015年07月号掲載

LASTGASP

Member:岡田 勇希 (Vo/Gt) 小野田 稔 (Gt/Cho) 高山 晴朗 (Ba/Cho) 成瀬 陽介 (Dr/Cho)

Interviewer:沖 さやこ

-ものすごいプレッシャーの中での制作だったんですね。

小野田:(そのときの岡田は)すごくつらそうでした。〆切も1週間ないくらいで、4曲くらい提出する予定だったから。

岡田:このタイム感でやれることも大事だったんですよね。メンバーも"任せる"と言ってくれたので、あんまり根詰まってもだめかなと。"これだけ一生懸命やってもだめならしょうがない。この曲でだめだったら、もういいよ"ってメンバーにも言って。それくらいの曲を書いたつもりだったんです。それが結果的に選ばれて、"そういえば映画もやるんですけど主題歌やります?"と言われて、LASTGASPを前から知っている人にも曲の評判がすごく良くて。ほっとしてます。

成瀬:ずっと顔色悪かったもんね。今も悪いけど(笑)。あのときは目のクマが尋常じゃなかった。

小野田:全然寝てないって言ってたしね。初めての書き下ろしだから、俺らも"できるのかな?"と思ったし。

岡田:それまで"何かに対して曲を書く"ということをしたことがなかったんです。自分本位というか、心にあるものを音楽にする作業しかしてこなかったので、作品の内容を知ったうえでそれを噛み砕いて形にする作業が初めてで。"どういう言葉を使ったらいいんだろう?"とすごく悩んだんですけど......最初に(アニメの制作側から)"自分が見たYouTubeのMVみたいな曲を書いてくれたらバッチリです"と言われたのもあって"自分らしく書いたらいいんじゃないか"という結論に辿り着いて。もちろん弱虫ペダルに関わる曲にするつもりだったんですけど、それ以上に今まで通りで、俺ららしい曲にしないと意味がなくなっちゃうのかなと思えて。そう思えてからはバッとスムーズに書けました。

-そして今回初のフル・アルバム『the Last resort』がリリースされるわけですが、実際アルバムを作ることが決まったのはいつごろだったのでしょう?

小野田:弱虫ペダルの話をもらう前くらいから"フル・アルバムを作ろう"という話をしていて。

岡田:そうだったね。でも"この段階でフル・アルバムを出して売れるのか?"という不安に駆られてた時期だった気がする。それでバンドの空気が余計に混沌としてたんです。そのタイミングで弱虫ペダルの話が来てびっくりしたし。だからこそ今回のフル・アルバムを作ろうという決心に繋がった気がするので、いいきっかけをもらったことが、いい分岐点になっている気がするんですよね。あれがなかったらフル・アルバムはできてなかった気がするので......それぐらいの転機でしたね。

-今回収録されているのは弱虫ペダルのTVアニメ版の主題歌「Determination」と劇場版の主題歌「Days」と、過去の2枚のミニ・アルバムのリード曲の2曲(Track.2「You just wait」、Track.9「REASON」)と、あとは新曲なのでしょうか?

岡田:新曲が4曲と、「No die down」(Track.4)と「MY WORLD」(Track.5)という自主制作時代の楽曲が入ってます。この2曲はライヴで今もやっている大事にしてきた曲で、このメンバーになる前に出したミニ・アルバムのときの曲なんです。「MY WORLD」は19のときに作った曲で。そのとき車の工場で働いてたんで、ライン作業で溶接してるときにあのメロディを考えました(笑)。

高山:そうだったんだ(笑)。

岡田:作業中に"あ、なんかすごいメロディできた気がする!"って慌ててボイス・レコーダーに録りに行って、また溶接に戻って......今でもすごくしっかり記憶に残ってます。前のメンバーはギターが歌ったりもしてたので、ちょっとしたツイン・ヴォーカルみたいな感じだったんです。「No die down」はそのときの曲なので、最初の音源はふたりで歌い分けてたりしてて。でも今はライヴでも俺だけが歌ってて、そのバージョンで再録してます。なので今までの集大成的な、ここまでの軌跡を辿るというか、新曲で新しい面を見せつつ、今までやってきたことを詰め込みたいなと思って。"こんなふうになりましたよ"という提示ができればいいなと思って。......過去の曲を入れたことは僕らには結構大事なことだったんです。すごく意味があることだなと思っています。

-ツイン・ヴォーカルの話が出ましたが、このバンドはコーラス・ワークも魅力のひとつですよね。

岡田:そうなんですかね(笑)!?

成瀬:でもこだわってるよね。

岡田:たしかに、今回のアルバムはめちゃくちゃこだわってる気がしますね。「MY WORLD」は3声とかで、サビの"OK"の掛け合いとかも面白くなったと思います。僕自身コーラスがある音楽が好きなので、コーラスを考えるのは結構好きだったりして。

-過去曲は今作用にリテイクなさっているようですが、リテイクにあたりどうしようとお考えになりました?

岡田:根本的にアレンジは一緒なんですけど、今回は歌のキーを1段下げて録ったりもしてます。これは賛否両論あるだろうなと思うんですけど......仕上がりを聴いてみて俺はすっごい納得いくもので。歌がより良くなった気がするし、本当にいいキーで歌えてる。だからこそ詞ももっと入りやすいものになったと思うので。録音環境が今までとは全然違うので、今までやったことがなかったことをやらせてもらえたし。"こんな機材使っていいんですか!?"みたいな(笑)。

小野田:たっくさん使ったね(笑)! 録り直してる曲のアレンジは全然変えてないので、その中で変化をつけたいと思ってて。機材然り環境然り、かなり今までと違って納得がいくものができて、やりたいことを詰め込めてる気がすごくします。

成瀬:ドラムも曲によってチューニングを変えまくったり、一緒に入ってくれたテックさんと"この曲はこんな感じがいいんじゃない?"と相談しながらやったり。今までは狭いスタジオで録音してたんですけど、広いスタジオだから音の広がりも良くて。ドラムに関してはかなりいい音で録れてて。周りもしっかりした環境で録れてるから、音圧感も今までにないかな、という感じがしていますね。

小野田:(※成瀬に向かって)これまではいつも仕上がりに満足いってなさそうな雰囲気出てたもんね(笑)。

成瀬:(笑)今回は"こんなに楽しくていいのかな?"って実際口に出てしまうくらい楽しくて。そういうのは前にはなかったから。

岡田:2ndミニ・アルバムのとき、僕がものすごく混沌としてて、曲作りの段階で行き詰まってたんです。それが表れまくった曲もあったりして、いろいろしんどかった時期でもあったんです。今回は過密スケジュールの中でのレコーディングだったので、今までのレコーディングと比べると1番大変だったんですけど、1番楽しいレコーディングでした。そういうのが音にすごく出てる気がするし、そういうニュアンスを音源にできたかなと思ってます。歌入れをする前、"この部分でこういう気持ちを込めて歌ったらいいんじゃないか"とか、1フレーズごとにその曲について突き詰めることができて。そういう意味でも新しい部分というか、今までと違う毛色のアルバムになっていると思います。だから今まで知っている人にも、知らない人にも楽しんでもらえると思うし。