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INTERVIEW

FINCH

2014.10.10UPDATE

2014年10月号掲載

FINCH

Member:Alex Papas (Dr)

Interviewer:山口 智男

-それでこのアルバムのタイトルも『Back To Oblivion』になって、この曲が1曲目になったのでしょうか。

タイトルと1曲目になったのはそんなところだね。タイトルには、字面ほどネガティヴな意味を感じていないんだ(注:Back To Oblivionは直訳すると"忘却への回帰")。俺たち自身が今まで離れていたものを取りに行くような感じだから。

-ちょっと矛盾も感じるような興味深いタイトルですよね。少なくともファンにとっては、このバンドは忘れ去られていなかったわけですから。

まあ、いろいろな解釈があると思うけど、俺にとっては忘れかけていた(FINCHとしての)生活に戻るみたいな感じかな。ツアーとか。ネガティヴな響きのする言葉ではあるけど、一度降りた馬にまた乗ったみたいな感覚なんだ。本当の人生を取り戻す。ツアー生活に戻る。そういう感じだね。「Back To Oblivion」ができたときに"これだ。またこれをやれる"みたいな手応えを感じたんだ。まあ、他のメンバーはそれぞれ別の考えかたがあるかもしれないけど、少なくとも俺にとってはそんな感じだった。

-ところで前2作と比べて、シンプルなところが新作は印象的でした。以前、メンバー全員がやりたいことを反映した結果、アルバムを完成させることができなかったことがありましたよね。それを考えると、今回はメンバーそれぞれにエゴを抑えたのかな、と。そんなところに新たなバンドの結束を感じるのですが。

そうだね。今回は曲の価値を重視したところが変わったと思う。自己表現がどうというよりも、その曲が時代を超えても歌われていくようなものにしたかったんだ。一瞬の華やかさよりも、じっくり聴いて身近に感じてもらえる要素のあるものを作りたいと思ってね。俺たち自身そういう曲を聴いて育ってきたから。

-メンバーの関係やバンド内の雰囲気は以前に比べ、どう変わりましたか?

変わったとまでは思わないな。もちろんアルバムを作るたびに成長しているし、音楽的なアイディアもより出せるようにはなっていると思うけど。お互いからより学べるようにはなったかな。長い付き合いではあっても、学ぶことはいっぱいあるからね。でも別に"おまえ、変わったな"なんて思ったことはなかった。みんな今でもロック・ショウをやりたい意欲や曲を作りたい意欲に満ちているんだ。ライヴに来てもらえればわかると思うよ。

-バンドの結束はより固くなったと思いますか?

少しはね。子供のころはみんなで徒党を組んでいろいろなことをやったけど、今はそれだけじゃなくて、もっとよくなるにはどうしたらいいかとか、ビジネス的なことなんかも含めて、一緒に考えるようになった。これもまた歳を重ねたからなんだろうね。あと、一時期離れていたことによってお互いの大切さがわかったというか、お互いに対するリスペクトの気持ちが少しだけ増したような気がする。(ジャケットの)あの彫刻の5本の指が俺たちで、ひとつのユニットである手を形成している。それから、あの手は地中から出ているだろ? 何にもないところから空に向かって高みを目指していくみたいな意味があるんだ。

-3作目のアルバムを完成させ、自分たちはどんなふうに成長できたと思いますか?

FINCHのカタログにとてもいい作品を追加することができたと思っているよ。早くみんなの手にも渡ってほしいね。心から誇りに思っているんだ。

-これからはしばらくツアーが続きますが、新しい曲を作りたいという意欲は? それも含め、バンドとしての今後の展望を教えてください。

意欲はいつでもあるよ(笑)。メンバーとも、次はどんな感じにしようかなんて話はぼちぼち始めてはいるんだ。年末までにはお互いちょっとずつアイディアが出はじめているだろうね。みんなそれぞれ心の片隅で考えはじめていると思うよ。今回のツアーでも、移動の合間なんかにアコースティック・ギターを取り出して、ちょこちょこ試すことになるだろうね。このアルバムでも日本に行って、さらにアルバムも出しつづけることを目指しているんだ。楽しみにしていてくれよ!