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INTERVIEW

HaKU

2014.05.10UPDATE

2014年05月号掲載

HaKU

Member:辻村 有記 (Vo/Gt) 三好 春奈 (Ba/Vo) 藤木 寛茂 (Gt) 長谷川 真也 (Dr)

Interviewer:荒金 良介

-実際の曲作りに変化も?

辻村:歌詞をどう浮かび上がらせるか、それはアレンジでもこだわったところです。今までは声も楽器の一部で、同じ位置にあると考えていたけど。例えば明るい歌詞を歌っていたら、どういうサウンドを付ければ、その明るい言葉がさらに浮き上がってくるかなって。

-今作で歌と演奏のバランス感が見えてきたと。以前よりも音の抜き差しを意識して?

辻村:俺らは昔から詰め込むバンドで。自分の歌声も高いので、ギターとめちゃくちゃぶつかるんですよ。そういう意味でサウンド面の構築の仕方というか、立体的に組み立てられるようになった。それは今作に向かう上で培われたものですね。

藤木:確かに"ここはこういうことを言ってるから、やかましくしないで"と言われることもあって。有記の中で言葉を大切にしてるな、というのが伝わってきた。

長谷川:リズムのアレンジ面で言うと、お客さんに寄り添うことを意識したから、複雑なリズムを多用しないようにして。乗りやすいリズムに重点を置くようになりました。

三好:アレンジをする上で、なぜそういうアレンジにするのかという理由がどの曲もはっきりあった。すべてが具体的になったし、しかもそれが言葉としてあったから、アレンジもイメージしやすかったですね。

-ということは、曲作りは早かった?

辻村:うん、生み出すのに苦労しなかったですね。好きなものも嫌いなものも1回取り込んで吐き出す作業ができるようになったから。

-好きなものも嫌いなものとは?

辻村:昔は好きなものだけ見ようとしていたし、その線上でしか曲を書いてなくて。今は嫌いなものも1回自分の体に取り入れてようと。食わず嫌いじゃないけど、1度食べることで、そこから見えた景色もあったから。そうすることで出てくる曲は幅が増すし、いろんな言葉が出てくる。いいものを吸収したら、いいものが出てくるだろうし。嫌なものを吸収したときに出てくる嫌な言葉も実はすごく大事で。それを吐き出せるのもミュージシャンのいいところだと思う。

-嫌いなものって、例えばどういうことですか?

辻村:リアルに人じゃないですかね。嫌いな人もいるし、人間だから避けて通ることはできるじゃないですか。でも外に出て、いろんな人たちと出会うし、自分が見たり感じたものを言葉にできるのはいいなって。やっぱりため込むと、いいことはないから。

-有記さんは以前は人間嫌いだった?

辻村:一般の人と変わらないと思うんですよね。嫌いなものを嫌いな理由を知ろうとすると、好きになるスタート地点に立てるかもしれない。嫌いよりは、好きな方が絶対いいと思うし。何か分からないけど嫌いと思っていたら、好きになる可能性もなくなる気がして。だったら、それを1度取り入れて、これはこうだから嫌いなんだ、じゃあ、こうすれば好きになるんじゃないかって。そのものを見る努力をするようになったので、ストレートに言葉が使えるようになった気がする。いままではフワフワしたものを提示して、お客さんと一緒に答えを見出すような曲が多かったけど。そうじゃなく、自分の意志を伝えられるようになった。26年生きてきて、ようやく自分の答えみたいなものができました。

-その歌詞の変化が曲調にどう繋がってると思いますか?

辻村:曲もシンプルになったと思います。いままでは楽曲どうこうより、アレンジの面白さだけで作っていたところがあって。削ったことで尖った部分がより鋭くなったので、人の心に届きやすいものになったと思います。HaKUはこういうバンドなんだ、というものが見えやすくなりました。

-バンドの個性が色濃く出てますよね。今作の後半にはロックとダンス・ミュージックの融合という枠組に収まらない自由な作風の楽曲が揃ってます。それも大きな聴きどころですよね。

辻村:壮大なものはより壮大に作れるようになった。根本的にHaKUを作る上で、映画を観ているような音楽をやりたくて。映像が浮かび上がって、1つの映画を観てるような感覚に陥ってもらいたい。それはバンドの最初のコンセプトとしてあったんですよ。それから紆余曲折して、また映画みたいな音楽を作りたいという気持ちに向き合えた。MVもそうだけど、映像は妥協することなく、毎回挑戦して面白いものを作ろうと思って。その姿勢もここに来て、活きてきた気がします。