INTERVIEW
ATLANTIS CHRONICLES
2013.04.23UPDATE
2013年04月号掲載
Member:Sydney Taieb (Dr)
Interviewer:米沢 彰
-どういったストーリーなのか、教えて頂けますか?
このストーリーは全てBeebeの視点で描かれている。彼が潜水艇の舷窓から見た全てだ。幻想的な深海へ下降していく。物語はBeebeが深海に向かうところから始まり、次第に厳しい地獄のような場所へと向かっていく。曲の中で例えばBeebeが神話に出てきた生き物や、俺たちがClaire Nouvianの本で見たような生き物に出会う。そんな中で彼は精神的な苦痛、孤独、狂気と向き合う。ただ、彼はその無限の空間で色々な発見をしていくうちに、より瞑想的になっていく。俺たちは、彼が宇宙の中で感じる人間の感情と実際に奈落の底で見るであろう物を組み合わせて考えたんだ。
-ATLANTIS CHRONICLESというバンド名からも神話や伝記がバンドとしてのテーマのように思えるのですが、実際のところはいかがでしょうか?
神秘的な海の底にあるアトランティス大陸の衝撃的なイメージが、まさに俺たちがバンド名からイメージしてもらいたいものなんだ。それは海のイメージ、その威厳と巨大さに直結すると同時に幻想的なイメージもある。実はアトランティス大陸があったのかなかったのかは俺たちにとっては大事ではなくて、大事なのは皆がそのストーリーを知っていて、ある一定のイメージを持っているというところなんだ。既に俺たちは次のコンセプトで次のアルバムの制作に取り掛かっているよ!現在はまだその内容は言えないけどね。
-ツイン・ギターが複雑に絡み合う構成や、ブラスト・ビートを多用したリズム隊など、テクニカル面でかなり高度な演奏が多いですが、メンバーはそれぞれこれまでにキャリアがあって、ATLANTIS CHRONICLESを結成したのでしょうか?
俺たちは皆田舎のちっちゃな音楽学校の出なんだ。でも凄く一生懸命練習したんだ。自分の部屋で何時間も何時間もね。自分たちが好きなことを徹底的にやってた。テクニカルな音楽を作ろうと意識しているわけではないよ。"このリフは簡単過ぎるからナシだ!もっと難しいのを考えよう!"とか言ってるわけじゃないんだ。AntoineはDEVENNっていうバンドでヴォーカルをやってたんだけど、AlexとJeromeとMikeはこのバンドが初めて参加したバンドだしね。俺だけ過去にたくさんのバンドで演奏してて、ITE MISSA EST, DECADES OF DESPAIRそれからESJANのヘルプ、BETRAYING THE MARTYRSの去年と今年頭のツアーのヘルプで参加したりした。
-「Thousands Carybdea」のミュージック・ビデオが公開されていますが、難破した船の残骸をバックに、あなた方のテーマと見事に合った印象的なイメージですが、あの映像はどこで撮られたのでしょうか?
このビデオはフランスの西海岸、ブルターニュのプルイネックってとこで撮られたものなんだ。西フランス、それから大西洋の北西の海岸ではあんな場所がたくさんあるんだよ。"船の墓場"って呼ばれてるものなんだ。俺たちはネットで色んな写真を検索してこの場所が1番良さそうだってことで選んだ。
-「Thousands Carybdea」のミュージック・ビデオ撮影時のエピソードなどありましたら教えて下さい。
撮ったのは2012年12月だったんだけど、朝凄く早く着いてドラムやらカメラやらセットアップを始めたんだ。ディレクターはすぐに撮影できるものから撮り始めた。船とか砂とか雲とかね。それが一通り終わってからバンドが演奏しているところの撮影が始まった。それぞれメンバーの撮影シーンでは水浸しになることは最初から分かってたんだ。ポンプを使って俺たちにシャワーをかけて、それをスローモーションで撮ったんだ。俺たちは皆服の下にウェット・スーツを着ていて、凍え死なないようにしてた。フランスの12月の寒さは半端じゃないからね。下着姿のシーンはグリーン・バックで撮影した。髪をなびかせるためにファンも使ったよ。それを後で編集して素晴らしい映像になった。なんとAntoineが水の中で歌ってるっていう。ディレクターは、このアイディアをロード・オブ・ザ・リングからヒントを得たらしい。このビデオはたったの1日で撮影されたんだ。早朝から夕方までかかってね。楽しかったけど大変だった。1週間分くらい疲れたけど、その価値はあったね。制作をしてくれたCREATIN'SCOPEに感謝してる。
-あなた方はフランス、パリの出身ということですが、最近はBETRAYING THE MARTYRSなど同じフランスから若手が世界へと出てきているイメージがあります。これは、地元のシーンが活性化してきているためでしょうか?
うん、そう思うよ。フランスのシーンは今凄く上手く行ってるんだ。フランスのメタル・シーンは過去10年くらいアウトサイダーだったんだけど人々がやっと目覚めて、良いバンドもたくさん出てくるようになった。世界で活躍できるようなバンドがね。インタビューでよくBETRAYING THE MARTYRSが出てきて本当にいつも不思議な気持ちになるんだけど、彼らは実は俺たちと凄く仲が良いんだ。俺が彼らのツアーでドラムをたたくことが良くあるってだけじゃなくて、AlexがBTMのギタリストのBaptisteとLucasと同じ音楽学校に行ってたし、BTMがバンドとして誕生したのも見たし、成長していくのも見て来たんだ。彼らは今世界をツアーしてるけど、本当に実力があるから良かったと思ってる。彼ら以外にもフランスにはたくさん新しい素晴らしいバンドが出てきてる。数年のうちにフランスのメタル・シーンは世界に認められるようになるんじゃないかな。フランスの今出てきているバンドではDECADES OF DESPAIR、OUTCAST、NEPHALOKIA、WEAKSAW, IN ARKADIA、ESJAN、UPHEAVAL、RED MOURNING、CHECKMATE、BEYOND THE DUST、AS THEY BURNなんかがいる。是非チェックしてほしいな。
-あなた方の今後の予定を教えて下さい。
今俺たちはフランス、ベルギー、スイスを周って18のショーをやるツアーに出ているんだ。その後はルクセンブルグ、ポーランド、チェコ共和国、エストニア、リトアニア、ラトビア、それからもしかしたらドイツやベネルクスも追加されるかもしれないんだけど、これらの国を年末に周る東ヨーロッパ・ツアーも発表することになってるんだ。それからフランスやスイスのメタル・フェスに出る予定もある。Metal SphereとかToxoplasmoseとかSummer Breakdownとかね。激ロックの読者だけにこっそり教えちゃうけど(笑)、中国の大きなフェスティバルと日本のツアーの話が今あるんだ。未だ決定ではないんだけど、日本の皆が『Ten Miles Underwater』を買ってくれて気に入ってくれれば、きっと日本でのツアーの話もすぐに決まると思うから、よろしく!!