INTERVIEW
YOUNG GUNS
2010.11.19UPDATE
2010年11月号掲載
Member:Gustav Wood(Vo)
Interviewer:MAY-E
-Kerrang!やROCKSOUND誌で最優秀新人バンドに選ばれるなど、素晴らしい評価を得ましたね。ポジティヴな気持ちでアルバムの制作に望めたのではないでしょうか?
確かにそうだった。俺たちに期待してくれる人がいると思うと、さらに自信が持てたんだ。同時にプレッシャーも感じたけど、俺たちはプレッシャーがあってこそ実力を発揮できるタイプだから、逆にそれが良かったかもね。Kerrang!とかROCKSOUNDは、若い頃によく読んでいた雑誌だから、その雑誌に自分たちが載ったことは凄く不思議だったけど、嬉しい出来事だったな。
もちろん良いアルバムを作らなきゃいけないって分かってたけれど、自分たちにはそれができるって感じていたから、ポジティヴな気持ちで自信を持って制作に打ち込めたんだ。
-アルバム『All Our Kings Are Dead』を聴かせて頂きましたが、素晴らしい作品になりましたね。テーマ、コンセプトを教えてください。
ありがとう。昨年末の数週間を使って、全部歌詞を書きあげたんだ。
歌詞の内容は幅広いものになっていると思う。愛する人の死についてのものもあれば、さらに個人的な問題(父親の存在なしに育つことや、自分が選んだ道に責任を持って、自分が犯した間違いから学ぶこと)について触れたものもある。ただ、すべてに共通しているのは、普通はネガティヴに思えるようなことを、ポジティヴな力へと変えようとしている、ってことなんだ。
もともと『All Our Kings Are Dead』っていうタイトルは、俺が子供の頃に感じていた気持ちを表したものだったんだ。父親がいなかったというだけじゃなく、いわゆる父親的存在だとか、尊敬できる男性像というものがいない環境で育ったから。
でも、この気持ちは俺だけじゃなく、俺たちの世代にはみんな共通しているんじゃないかって思ったんだ。俺たちみんな、無関心の星の元に生まれついてしまったっていうか。誰も人生の目標も見えなければ、幸せを感じたり、本当にやりたいと思えることも見つからない。この世代は、昔いたような、ロール・モデルとなる存在がないまま育った世代なんじゃないかって思うんだ。
「Sons Of Apathy」の一節もそこから来ているんだ。「俺たちは自由だ/俺たちは無関心の民」っていうところだよ。この曲は、失望して途方に暮れている人に対するときの声になってほしい、って思って作ったんだ。俺たちには、従うべきリーダーもいなければ、何をすべきか、どんな人間になるべきかを教えてくれる存在もいない。だからこそ、俺たちは自分の選んだ道を進む自由があるし、自分がなりたい人間になれるはずだよ。
ネガティヴに見る必要はないんだ、見方を変えればネガティヴなものもポジティヴに変わる、それがこのアルバム全体を貫いているテーマなんだ。従うべき人がいないのなら、自分で進む道を切り開けばいい。もしも間違えてしまったら、負った傷に誇りを持ち、間違いから学べばいい。もしも愛する人を失ったら、決して忘れることなく、彼らのために生きればいいんだ。
歌詞には自分にとって大切だったり、重要だと思えることを書きたかった。そうすれば、たとえ誰かがこのアルバムについて何を言おうとも、それがポジティヴな意見でもネガティヴな意見であっても、俺たちが、自分たち以外の誰かのマネをしているとは決して言えないはずだからさ。自分自身が体験してきたネガティヴな出来ごとを取り上げて、新たにポジティヴな何かに変えること、それがこのアルバムなんだ。いままで自分がやってきたことのなかで、最も大切なことだと思ってるし、凄く誇りに思ってる。
-歌詞は全てあなたの実体験が反映されているようですね。あなたにとって、特に思い入れの強い曲はどれですか?また、その理由を教えてください。
俺が気に入ってるのは「Stitches」だよ、理由はいろいろあるけれどね。まず歌詞に満足してるし、楽曲自体も納得のできるものが出来たと思う。この曲の歌詞は、当時俺が感じていたことをうまく表現できたって思ってる。歌詞がなかなか出てこなくって悩んでた時で、アルバムを書き上げなきゃっていうプレッシャーをどんどん感じて、辛くなっていた時期だったんだ。プレッシャーは感じながら、それでも書けないっていうね。優れたソングライター&作詞者になりたいって強く感じていたんだけれど、同時に俺にはそれほどの才能は無いんじゃないかって気持ちを捨て切れなかった。まるで翼をもぎ取られたような気分だった。でもたとえ翼がまだあったとしても、飛びだす勇気が俺にはなかった。翼を広げて飛び出したいのに、それができなかったんだ。
でも、実はこの曲は一晩で書き上げたもので、MとJohnが夜中にコンピューターで楽曲を完成させた。つまり、皮肉なことに、一番簡単に出来上がったのがこの曲なんだ。それに、この曲の構成や楽器編成もいろいろ工夫をしたし、仕上がりにも満足してる。
-ヘヴィなパートもあればアンビエントなフレーズもあり、ストリングスを導入したダイナミックなロック・アルバムですね。具体的にどのようなサウンドを目指して制作されたのでしょうか?
壮大でドラマティックなサウンドがほしかっただけなんだ。DIYなバンドが練習部屋で作りましたっていう作品じゃなく、野心的なサウンドのデビュー・アルバムを作りたかったんだよね。それに、ストリングスやピアノ、ビートみたいな新しいものにも挑戦したかったし、自分たちに規制をかけたくなかった。それと同時に、自分たちが聴きたいと思えるような音楽を作ろうとも思ってたよ。