ANDREW W.K.という名前を聞いてピンと来なくても、あの有名な"鼻血ジャケット"のアルバムには見覚えがあるはずだ。そして、同作収録曲の「Party Hard」は、長年のクラブ・アンセムでもあり、今でもテレビのバラエティ番組なんかでBGMとして使われていたりするので、耳にする機会も多いだろう。
その誰もが知るアルバム『I Get Wet』（2001年）から20年......。永遠のパーティー・キング ANDREW W.K.が、"パーティー・ゴッド"となって帰ってきたのだ！！

ANDREW W.K.は、本当に唯一無二のアーティストだ。すごく技術のある演奏家や、素晴らしい曲を生み出すメロディメイカーは世界中に大勢いるが、彼のようにインパクトがあって、存在自体がコンセプチュアルで、それでいて商業的にも成功しているアーティストはなかなかいない。
先述の鼻血ジャケットだって、撮影用のフェイクの血が用意されていたのに、リアリティを求めて（誰も求めていないのに！）自ら顔面を壁に打ちつけるし、デビュー当時から変わらぬ全身白でキメた衣装を（誰も求めていないのに！）貫いているし、日本ではJ-POPからガンダムまで全力でカバーしたアルバム『一発勝負～カヴァーズ』（2008年）をリリースし（これはありがとうございます！）、ファン・サービスもハンパない。
ちなみに、作詞作曲はもちろん、レコーディングではすべての楽器を自分で演奏するマルチ・プレイヤーで、プロデュースも行う。さらに、ライヴでは全力で歌い、激しいパフォーマンスをしながらキーボードを弾くスタイルだ。しかし、彼のすごさはそのパワフルな音楽活動だけでは語りきれない。
アメリカ国内では、TV番組の司会を務めるほか、モチベーショナル・スピーカーとして講演活動や執筆なども行っている。エネルギッシュなパーティー・ゴッドは、その哲学の布教にも余念がないのだ。

そして、今回約3年ぶりの新作としてリリースされるニュー・アルバム『God Is Partying』は、まさにそんなAndrew兄貴の最高傑作とも言える極上のアルバムなのだ。今作は、メタルやハード・ロックに強いNapalm Records／メタル・フロンティアへと移籍して初のアルバムでもあり、そういった面からもよりハードな楽曲が期待できるだろう。
実際、アルバムに先駆けて公開された新曲の「I'm In Heaven」や「Babalon」は、モダンなヘヴィ・サウンドと、70sや80sのハード・ロック的なドラマ性のある盛り上げ方が融合したような楽曲で、Andrew兄貴らしいキャッチーさは残しつつ、これまでの作品よりヘヴィな方向に舵を切った印象だ。先行シングルの中でも特に、「Everybody Sins」なんかはかなりモダンなラウドロックに仕上がっているので、新鮮に感じる方も多いはず。
そして今作は、兄貴ファンであればもちろん狂喜乱舞のテンション爆上げパーティー・アルバムだが、"ANDREW W.K.の楽曲は、シングル以外はちょっとクドくて聴きづらい......"と思って苦手意識を持っていた方にこそ聴いてほしい！ シンフォニック・メタルのような重厚感やグラム・ロック的なやりすぎ演出が、兄貴の暑苦しいほど存在感たっぷりのヴォーカルを中和し、なんととても聴きやすくなっているのだ。コッテリ＋コッテリ＝美味しい！ の法則だ。

パンデミックにより、まだまだ世界はパーティー不足の現状だ。そんな人々に足りないパーティー成分を手軽に補給できるように、パーティーの神は最高のサプリメントを用意してくれた。用法用量はリスナー次第、最高にコッテリなパーティー・ゴッドの贈り物で、テンション上げて気分はパーティー！ ぜひアルバムを通して楽しんでほしい！

▼リリース情報
ANDREW W.K.
ニュー・アルバム
『God Is Partying（邦題：ゴッド・イズ・パーティイング ～神童乱舞）』

2021.09.10 ON SALE!!
KICP-4041／￥2,970（税込）
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[NEXUS]

1. Everybody Sins
2. Babalon
3. No One to Know
4. Stay True to Your Heart
5. Goddess Partying
6. I'm in Heaven
7. Remember Your Oath
8. My Tower
9. And Then We Blew Apart
10. I Made It　※ボーナス・トラック
11. Not Anymore　※ボーナス・トラック
12. Everybody Sins (Radio Edit)　※ボーナス・トラック