"A PERFECT CIRCLEってまだ活動してたの！？"という驚きの声も聞こえてきそうだが、このたび彼らの約14年ぶりとなる新作アルバム『Eat The Elephant』がリリースされる。本格的な新譜のリリースがなかったので、あまりその活動の様子が届いてこなかったが、実は2010年には活動を再開しツアーも敢行、2013年には新曲も含むベスト・アルバム『Three Sixty』をリリースしているのだ。
　
そもそも、A PERFECT CIRCLE（以下：APC）とはいったい何者なのか。結成は1999年、TOOLのMaynard James Keenan（Vo）と、TOOLを始め数多くのアーティストのギター・テックを務めているギタリストでソングライターのBilly Howerdelが中心となり結成した、いわゆる"スーパー・バンド"である。これまでに、GUNS N' ROSESやDEVOなど、様々なジャンルで華々しい経歴を持つJosh Freeseや、Troy Van Leeuwen（QUEENS OF THE STONE AGE）、NINE INCH NAILSなどTrent Reznorとの活動で知られるDanny Lohner、Paz Lenchantin（PIXIES）、Jeordie White（ex-MARILYN MANSON）といった、まさに百戦錬磨の錚々たるアーティストが参加してきたバンドとして知られている。ちなみに現在は、2ndアルバム『Thirteenth Step』（2003年）から参加しているJames Iha（Gt／THE SMASHING PUMPKINS）が残るかたちとなり、そしてBillyのソロ・プロジェクト ASHES DIVIDEでも活動しているMatt McJunkins（Ba）とJeff Friedl（Dr）がリズム隊を固めるというメンバー構成となっている。
　
そんな彼らの新作が、14年の時を経てついに完成したのだから、期待せずにはいられないだろう。ちなみに、前作『Emotive』（2004年）がカバー・アルバムだったので、オリジナルとしては実に15年ぶりということになる。しかし、2010年には活動再開していたのに、どうしてここまでリリースがなかったのか。やはり、そこはこだわりの強いMaynardだけあって、実は活動休止中の2008年ごろからBillyと新曲制作に乗り出していたらしいのだが、それらはなかなか形になることはなく、実際本格的に今作に着手し始めたのは2017年のことだったという。そんな長すぎる充電期間を経て完成した待望の新作は、APCの芸術性の高さが際立つアルバムとなった。これまでのポスト・グランジ／オルタナの流れに続くようなダウナーでザラっとしたサウンドだけではなく、アート・ロック色を強くしたような、浮遊感のある美しさも目立ち、包容力を増したMaynardのヴォーカルは、ダークななかにも温かさが漂う。ちなみに、BillyはLINKIN PARKの最新作『One More Light』制作時に故Chester Bennington（Vo）と作曲をしており、そのときに生まれた今作の表題曲「Eat The Elephant」はもしかしたら違ったかたちで『One More Light』に収録されていたかもしれないのだ。楽曲の方向性が違ったために、今回APCの新曲として生まれ変わったが、何か不思議な縁を感じるエピソードである。そんな数多くの才能の集積によって紡ぎ出された、この深く激しい美しさを持つ作品をぜひじっくりと味わってほしい。
　

▼リリース情報
A PERFECT CIRCLE
ニュー・アルバム
『Eat The Elephant』

[WARNER MUSIC JAPAN]
2018.04.25 ON SALE!!
WPCR-18002／￥2,200（税別）
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01. Eat The Elephant
02. Disillusioned
03. The Contrarian
04. The Doomed
05. So Long, And Thanks For All The Fish
06. TalkTalk
07. By And Down The River
08. Delicious
09. DLB
10. Hourglass
11. Feathers
12. Get The Lead Out