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FEATURE

3OH!3

2013.06.17UPDATE

2013年06月号掲載

時代が3OH!3に追いついた?!人気のエレクトロ・ポップ・デュオが新作をリリース

Writer 山口 智男

KE$HAのエロいヴォーカルをフィーチャーしたパーティー・アンセム「My First Kiss」の大ヒットから3年、コロラドのエレクトロ・ポップ・デュオ、3OH!3がついにシーンに帰ってきた!!遅れに遅れ、結局、最初の予定から半年遅れで3作目となるアルバム『Omens』を6月19日にリリースする。
記念すべき“3OH!3の日”、つまり2013年3月3日、『Omens』のプレ・オーダーが始まると、アメリカでは早速、LMFAOやTIMEFLIESを、3OH!3の仮想ライバルと見なしたマスコミが“彼らが王座を奪還する時がついにやって来た!!”と煽り始めた。
Nathaniel Motte(プログラミング&ビート)とSean Foreman(MC)の2人組、3OH!3のスタートは2004年。コロラド州立大学の学生だった2人が自宅の地下室で曲作りを始めたことがグループ結成のきっかけだった。
その後、PANIC! AT THE DISCO他を手掛けたMatt Squireに認められ、2008年にメジャー・デビューした彼らは若者のパーティー・ライフを時に享楽的に、時に刹那的に歌った――たとえば“お嬢さん、パンティー脱がしていいですか?”(「My First Kiss」)といったシモネタ満載のリリックおよび煽情的なダンス・ビートとシンセ・サウンドが大歓迎され、一躍、人気アーティストになっていった。「Don't Trust Me」、Katy Perryをフィーチャーした「Starstrukk」、そして前述した「My First Kiss」といったヒット曲が生まれ、2010年にリリースした2作目のアルバム『Streets Of Gold』は全米7位に食い込むヒットになった。
因みにNathaniel、Seanともに大学時代は医学、数学を学んでいたインテリである。そういう2人がパーティー三昧の毎日を過ごしている悪名高き大学の社交クラブからそのまま飛び出してきたようなキャラを演じているようなところがおもしろい。
今回の『Omens』は前2作を手掛けたMatt Squireの手を離れ、ボールダーにあるNathanielの自宅スタジオでセルフ・プロデュースで挑んだ意欲作。自分たちが考える“3OH!3らしさ”を一度、白紙に戻した上で“誰が歌っても、誰が演奏してもいいと思える曲”を作ることを目標に掲げ、じっくりと時間をかけて作った曲の中から厳選した11曲(+日本盤ボーナス・トラック6曲)が収録されている。
シンセ使いがより煌びやかな1stシングルの「You're Gonna Love This」、ハードコアなエレクトロ・サウンド、あるいは煽情的なラップという過激なやり方でインパクトを与える「Black Hole」「Two Girlfriends」といった3OH!3らしさをトゥー・マッチと言えるほど強調した曲からは、2人の自信がこれでもかと窺える。
また、ハーモニーを含めたゴージャズなサウンドの「Youngblood」、ピアノ・バラードと言っても差し支えない「Back To Life」という、彼らがこれまで聴かせたことがない歌心が感じられる2曲は新境地もアピールしている。前作にも参加していたGreg Kurstin(FOSTER THE PEOPLE他)とロサンゼルスでレコーディングしたこの2曲は、エレクトロ・ポップ路線の曲とは一味違う新作のもう1つの聴きどころと言ってもいい。もちろん、主に映画やテレビのサントラを手掛けている作曲家、Joseph Trapaneseと作った「Do Or Die」の(本編の)エンディングを飾るにふさわしい壮大さも聴き逃せない。
“サウンドはさまざまだけど、それらすべてに3OH!3らしさが感じられると思う。このアルバムは僕らが何者で、どういうタイプの音楽を作っているかを忠実に反映している”とSeanも自信満々だ。
前作から3年空いてしまったとは言え、EDMのブームや、昨今のロックとエレクトロ系のダンス・ミュージックの過激な融合(と、それを大歓迎している若いリスナー)を思えば、時代がやっと3OH!3に追いついたなんて言ってもいいかもしれない。そう、ここから彼らの快進撃が始まるのである。とりあえず、TWENTY|ONE|PILOTSのファンはチェックしたほうがいい。

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