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FEATURE

STAIND

2011.10.12UPDATE

2011年10月号掲載

ラウドロック・シーンの重鎮STAINDが遂に本領発揮。 アグレッシヴなサウンドと美しいメロディが共存した 集大成的アルバムをリリース!!

Writer MAY-E

1995年にマサチューセッツ州スプリングフィールドで結成したロック・バンド、STAIND。アルバムの総売り上げは1500万枚を超え、ビルボードのアルバム・チャートに『Break The Cycle』(01年/3rd)、『14 Shades Of Grey』(03年/4th)、『Chapter V』(05年/5th)と3作品連続で1位を樹立している、ラウド・ロック界の重鎮だ。
ヒット・シングルを数々と産み出しているSTAINDだが、彼らの代表曲といえば、やはり「It's Been Awhile」(01年)は外せないだろう。Aaron Lewis(Vo)がアコースティック・ギターを弾き語る、ダイナミックなロック・バラード。本国で“過去10 年の間に一番ラジオで流れた曲”として認定されている名曲だ。この曲のビデオ・クリップを監督しているのも、LIMPBIZKITのフロントマンFred Durstだったりする(STAINDはFredに見出されてデビューしたバンドだという話はあまりにも有名だ)。

デビュー当初は、いわゆるニューメタル・バンドだったSTAINDだが(なんたって、デビュー前はKORN やRAGE AGAINST THE MACHINEのカバーをやっていた人たちだ)、バンド最大のヒット曲となった「It's Been Awhile」の作風しかり、バンドの中期以降はメロディに比重を置くようになったこともあって、STAINDは今や“モダン・ロック・バンド”として世間的に定着しているようだ。
かつてニューメタルと呼ばれたバンドが、持ち前のダイナミックなサウンドにメロディを共存させ、その結果、大衆の心を掴むことに成功……。このような音楽性の変化は、00年代当時のラウドロック・シーンの大きな傾向であった訳だが、その最たる例がSTAINDだと言えるだろう。

“まるで『Dysfunction』(99年/2nd)の2011 年ヴァージョンみたいなサウンドだ。サウンド自体は俺達がバンドを始めたころの激しさが戻ってきているが、そこにはしっかりとしたメロディがある。俺達には、最初から最後までヘヴィなアルバムを作る準備が出来ていたのさ。今がその時だったってわけだな”これはMike Mushok(Gt)が通算7作目となる今作『Staind』に寄せたコメントなのだが、つまり今作『Staind』とはそういうアルバムだ。「Throw It All Away」のような00年代後期のSTAINDらしい重心の低いダークなミディアム・バラードはもちろんあるが、「Not Again」「Wannabe」ではニューメタルのアプローチもがっちりと取り戻していて、初期のハードなアグレッションがアルバム一枚に漲っている。バンド名を冠しているだけのことはあって、バンドの集大成的作品だと言えるだろう。最近のSTAINDにしては珍しい“怒り”を感じるが、それもそのはず、「Wannabe」はネット上で誹謗中傷し続ける人たちへの辛辣な感情を吐き出した曲で、「Not Again」はフラストレーションが原動力になっている曲なのだそうだ。
私がSTAINDに求めていたサウンドが、ついにこうして形になった!これはちょっとした感動である。

さて、結成当初から変わらないメンバーでやっていたSTAINDだが、今作のレコーディング後にドラマーのJon Wysockiがバンドを脱退。つまり、今作『Staind』がオリジナル・メンバーでのラスト作となってしまった訳だ。脱退は残念だが、バンドはこれからより勢いを増していくことだろう。
今作『Staind』は、全てのラウド・ロック・ファンに是が非でも聴いて頂きたい傑作だ。

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