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FEATURE

RAUNCHY

2011.01.14UPDATE

2011年01月号掲載

これぞデス・ポップ! フューチャリスティック・ハイブリッド・メタル・バンド、RAUNCHY! 更にポップさに磨きをかけ5thアルバムをリリース!!

Writer 米沢 彰

「へ?これがRAUNCHYの新譜?」デンマークが生んだ新世代フューチャー・ハイブリッド・メタル・バンド、RAUNCHYの実に5作目となるニュー・アルバム『A Discord Electric』を最初に聴いたときにやや面食らってしまった。

元々、“フューチャー・ハイブリッド・メタル・バンド”と形容されてきただけあって、そのポップ、メタル、そしてエレクトリックの要素を上手い具合に混ぜ合わせるのが身上のRAUNCHY。メタリックな要素とポップな要素が不思議にバランスの取れた秀逸な楽曲を数多く発信してきた彼らだが、3rdアルバム『Death Pop Romance』から頭角を現し始め日本でのリリースもここからとなった。『Death Pop Romance』は、母国デンマーク、そして隣国ドイツでチャートへのランクインも果たすなど、各地で好評を獲得した。そのタイトルに惹かれて興味を持ったリスナーも結構いたのではないだろうか?『Death Pop Romance』とはRAUNCHYの音楽性を非常に上手く表現するタイトルを良くもつけたものだ。何を隠そう、私自身がそのタイトルに惹かれてRAUNCHYを知るに至った一人だ。

3 rdアルバムのリリースを機に、いくつかのフェスへの出演も果たし、IN FLAMES、THE HAUNTED、CLAWFINGERらとの共演も実現。更に、同じデンマーク出身のHATESPHERE、VOLBEATらと共にDanish Dynamite Tourを敢行しヨーロッパ全土を回るなどバンドとして大きな飛躍を遂げた。4thアルバム『Wasteland Discotheque』では更に進化した音楽性を完成させ、ここ日本でも輸入盤のみの展開ながらヒットを飛ばした。

そんな彼らが完成させた5thアルバムは、「へ?これがRAUNCHYの新譜?」とつい口をついて出てしまうような飛躍があった。へヴィネスを捨てた訳でも、媚びる様な売れ線に走った訳でもないのだが、全体にポップさがかなり増量している。エレクトリックなキーボードが相変わらず良い味を出していて、ヘヴィなサウンドに分かりやすく聴きやすいポップさをもたらし、全体のサウンドをよりポップに聴かせているように感じられる。ジャケット・デザインを見た時に“逆方向に(ヘヴィな方に)振れた”のだと思っていただけに、その驚きは一層増幅されたのかもしれない。以前からRAUNCHYを知っているファンからすると、Track.8「Big Truth」を聴くと目ん玉をひん剥くほどに驚くだろう。それほどにポップに振れている。その一方、そのすぐ次のTrack.9「The Great Depression」ではシンセ+ドコドコのこれまでのRAUNCHYらしいトラックが用意されていたりして、聴く側はその目まぐるしさにまた面食らってしまう。更に、日本盤ボーナス・トラックとして収録されているTrack.13「Big Truth(Dune Remix)」はもはやノイズ・サイケばりに変化していて、とんでもないことになっている。個人的にはこのトラックも超好きだ。もしかして『A Discord Electric(電気的な不協和音)』ってタイトルはこのトラック毎の差異について言っているのかもしれない、とふと思ってしまう程に、それぞれが別の色を持っている。こうして戸惑っている様をもし見られたらRAUNCHYの面々はしてやったりとほくそ笑むのかも知れない。

ところで、本作は既に海外ではリリース済みで、海外の反響を受けて追っかけで国内盤のリリースと相成ったとのこと。母国デンマークでは音楽雑誌による賞 “GAFFA PRISEN 2010”にもノミネートされたとのことで、その評価は既に確立されているようだ。ここ日本でもエレクトロ要素がフィーチャーされ、一つのムーブメントとしても立ち上がりつつあるので、受け入れられる土壌は十分にあるだろう。

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