FEATURE
EVERY TIME I DIE
2009.10.29UPDATE
2009年10月号掲載
Writer MAY-E
1998年の結成以来、『Last Night in Town』(01年)、『Hot Damn!』(03年)、『Gutter Phenomenon』(05年)、『The Big Dirty』(07年)とリリースしてきた、米Ferret Recordsの看板バンドだったEVERY TIME I DIEが、なんとEpitaph Recordsとサインし、移籍第一弾となる新作『New Junk Aesthetic』がリリースされた。
「彼らを見て思い出すのは、自分が育ったLA初期の危険なハードコア・シーン。だからきっと、今のアメリカのハードコア・バンドの中で、彼らが長い間僕のお気に入りだったんだと思う。彼らと仕事をするのは夢だったんだ」
これは、EpitaphのオーナーであるBrett Gurewitzのコメントなのだが、このコメントから伝わる通りにEVERY TIME I DIEは長年、彼の相当なお気に入りバンドだったようで、そのBrettがいよいよバンドを獲得。さらに、結成10年を迎えた通算5作目とあって、バンドも心機一転して本作の制作に臨んだという。『New Junk Aesthetic』は、Epitaphにとってもバンドにとっても特に思い入れのあるアルバムというわけだ。
これまで通りにサザン・ロックのテイストを感じさせるワイルドさ。ファストで攻撃的。エネルギッシュで筋肉質なサウンド。キャッチーさは薄まったが、本作『New Junk Aesthetic』はこれまで以上にブルータルで、極上のノリの良さと爆発力を感じさせる会心作である。
前作『The Big Dirty』同様、ラウド・ロック界ではお馴染みの名プロデューサー、Steve Evettsを迎え、Track.2「The Marvelous Slut」では一緒にツアーにまわることも多いTHE DILLINGER ESCAPE PLANのGreg Puciato(Vo)がゲスト参加。さらに、Track.10「After One Quarter Of A Revolution」では、ロック界きってのセレブ・バンド、FALL OUT BOYのPete Wentz(Ba)がゲスト参加している。驚く方も多いだろうけど、Peteはハードコア畑で育った人物である(RISE AGAINSTのTim Mcllrathとかつてバンドを組んでいたのは、ファンの間では有名な話)。さらに、Track.11「The Sweet Life」ではTHE BRONXのMatt Caughthran(Vo)と、ゲスト参加のアーティストも豪華な顔振れだ。
OzzFest やDownload Fes.、さらにはWarped Tourと、これまでに様々なスタイルのフェスに参加してきたEVERY TIME I DIE。FALL OUT BOYとの交友関係についてファンから非難の声もあったようだが、Andy Williams(Gt)は「俺たちは特定のジャンルにとらわれたくないんだ。だから、FALL OUT BOY から誘われればツアーにだって同行するよ」とコメントを残している。音楽に対して常にオープンなマインドであり、デビュー当時から変わらないこの姿勢。何だか無性にかっこいいじゃないか。
ひとえにパンク/ハードコアといっても、近年はそこに属されるバンドの音楽も多様になってきている。そんな今だからこそ、EVERY TIME I DIEの凄みを味わってほしいと思うのだ。
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