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激ロック | ラウドロック ポータルサイト


SUMMER SONIC09のステージに登場した5人の姿を見て、あの場にいた全てのファンがそう心の中で叫んだに違いない。Wes Borland(Gt)がカムバックし、二度と叶うことはないと思っていたオリジナル・メンバーで奇跡の来日を果たしたのだから。お馴染みのスケーター・ファッションに身をつつんだFred Durst(Vo)の横には奇怪なメイクを施したWesがいて、後方からはDJ Lethalが強烈なスクラッチで盛り上げる。そのショウは、全盛期の輝きを完全に取り戻していた。
ただ、この感動的な場面にたどり着くまでの道のりは長く、00年に入ってから今日までは、彼らにとって激動の10年だったといえるだろう。97年のデビュー以来、全世界でトータル3000万枚を売り上げている怪物バンドLIMP BIZKIT。3作目『Chocolate Starfish And The Hot Dog全世界でFlavored Water』が1,200万枚を売上げるビッグ・セールスを記録したりと彼らの過去の輝かしい栄光は、皆も知る通りだ。
そんな成功の矢先に直後にWesがバンドを脱退。Wesが最初に脱退をした01年以降しばらくは苦節の時期だったと言えるだろう。Wesの穴 を埋めるギタリストを迎えてのアルバム『Results May Vary』(03年)も、ヘヴィではあったが世界がLIMP BIZKITに求めるサウンドと間の違和感が拭い去れなかったし、知らぬ間にリリースされていた『The Uuquestionable Truth (Part1)』(05年)はレコード・ショップで我が目を疑ったし、"戦略的ノンプロモーション"だなんて何がしたいのか全く分からなかったし(笑)、 ようやくWesが戻ってきたもののJohn Otto(Dr)が参加していないし、で、またWesが抜けちゃうし、............といった具合に、LIMP BIZKITは気分屋のWesにずいぶん振り回されていたように思う。
しかしWesが脱退しバンドに残されたFledの苦しみより、MARILYN MANSONのバック・バンドや、東京ドームでのX JAPANの復活ライヴにゲスト参加するなど、迷走しているご様子だったWesの方が私は心配だった......。が、そんな苦しい時期を乗り越えて、09年にはWesの復帰&バンドの完全復活を宣言!世界各地でライヴを行なってゆく。復活後、彼らの周囲ではニュー・アルバム・リリースの話題が出たり消えたりしていたが、彼らのことだから、"ニュー・アルバムをリリースする前に空中分裂すんじゃない?"とか、"どーせまたWesが脱退するんじゃねーの?"という疑問符が捨て切れなかった。全盛期の輝きいっぱいのSUMMER SONIC09のステージを見て、痛く感動してもなお、"だからといって次回作が初期のスタイルに戻るとは限らないしぃ~"なんて心の底では疑ってもいた。

だが、今作『Gold Cobra』の全容が明らかになってみると、どうだ。先行配信シングル「Shotgun」をはじめ、とにかくヘヴィでアグレッシヴ。「Bring It Back」や「Gold Cobra」など全盛期を思わせる楽曲が中心で、Fred Durstの強力なラッピング・ヴォーカルがアルバム全編に渡って炸裂しているではないか。正真正銘のニュー・メタル・アルバムだと言える仕上がりだ。

デビュー・アルバム『Three Dollar Bill, Y'All』(99年)を思わせる荒々しいナンバー「Get A Life」や、「Douche Bag」のような彼ららしい挑発的なナンバーに思わず目が行くところだが、『Gold Cobra』の最も評価すべきは、単に"過去の二番煎じ"で終わってはいない点である。
アコギを用いたミディアム・バラード「Walking Away」の感情を曝け出したFredのスクリームや、タイトル通りにオートチューンを使用した遊び心のある「Autotunage」、無機質な打ち込み のイントロから始まる「Killer In You」など、これまでにないテイストも盛り込まれている。壮大な「Back Porch」、メランコリックな「My Own Cobain」、天使をテーマにしたという驚きの「Angels」、黒人ラッパーReakwonがゲスト参加している「Combat Jazz」の4曲が追加収録されている日本盤は、更にバラエティ豊かだ。

今の音楽シーンはつまらない!とすっぱり切り捨てる大胆さ。自ら"the undisputed rap rock champions=議論の余地のないラップ・ロックのチャンピオン"であると名乗る潔さ。コブラの前で女性が互いの体を触り合い、それを男性が見てマスターベーションしているという下劣なイラスト(※Wesが描いたものだ)をアートワークに起用してしまう過激さ......やることなすこと全てがニュー・メタル 全盛期のあのLIMP BIZKITじゃないか。
ようやく言える、王者の完全復活だ!!!

そんな彼らがニュー・アルバム『Gold Cobra』を引っさげてSUMMER SONIC09以来、2年強ぶりの来日公演を行うことが決定した!!前回の来日公演は、過去の名曲を、過去の名場面を再現する全盛期の再現ライヴであった......素晴らしいライヴを魅せ、多くの参加者にとってベスト・アクトであってもその事実は変わらない。
しかし、今回の来日は趣旨が少々異なる。今現在のLIMP BIZKITを現す『Gold Cobra』という最新型ミクスチャー、へヴィロックの力作を携えての来日だからだ。LIMP BIZKITの全盛期を体感している方も『Gold Cobra』で彼らを知った方も、食うか食われるかくらいの気持ちでライヴに臨んで欲しい。ニュー・アルバムを携えワールド・ツアーで鍛え抜かれた彼らのライヴ・パフォーマンスは、SUMMER SONIC09の比でないのは明白だ。

LIMP BIZKIT最強伝説が今始まる!!!

(ライター:MAY-E & ムラオカ)

※文中の発言は大野俊也氏によるオフィシャル・インタビューより
Chocolate Starfish And The Hot Dog Flavored Water Results May Vary The Unquestionable Truth (Part 1) Gold Cobra
出世作となった前作『Significant Other』 (99年)に続きTerry Dateとメンバー自身がプロデュースを務め、全米初登場1位を飾った3rdアルバムには、映画「M:I-2」のテーマ曲となったシングル「Take A Look Around」や代表曲「Rollin'」を収録。バンドらしいノリの良さとラウドなギターが炸裂した、全盛期の輝きいっぱいの一枚。今作後、Wesが脱退を発表。(MAY-E)
元SNOTのMike Smithをサポート・ギターに迎えて制作された4th。Wes不在の中、ヘヴィなパートが更にヘヴィに進化していて驚いた。ヒップホップ調のナンバーもあるが、メロディが際立った楽曲が増え、さらにTHE WHOの「Behind Blue Eyes」のカヴァーなどリンプらしからぬ楽曲が多かったためか高い評価を得られなかったのは残念だが、フレッドの葛藤がよく現われている作品だ。(MAY-E)
ファン待望のWes復帰作(この直後にまた脱退するのだが)。バンドの意思のもとノンプロモーションでリリースされた5thは、これまでのキャッチーさが影を潜め、力強いラップとシャウトが大半を占める。ギターもザクザクと切り込み、重いサウンドの塊が怒濤のように押し寄せてくる。デビュー作と同様に、怒りやフラストレーションがこのアルバムの原動力のようだ。(SASSY)
オリジナル・メンバーとして復活し11年ぶりに完成させた通算6枚目のフル・アルバム『Gold Cobra』。フロアにモッシュの嵐を呼ぶキラー・パーティー・チューンは「Rollin」、「Faith」、「My Generation」など数えきれないトラックを持つ彼ら。そんな彼らが今作では久々に本領発揮!全盛期の『Chocolate Starfish~』を髣髴とさせるブリブリ、アゲアゲな機能型ミクスチャー・サウンドが全編に渦巻いている。(ムラオカ)