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INTERVIEW

NETH PRIERE CAIN

2023.09.13UPDATE

2023年09月号掲載

NETH PRIERE CAIN

Member:樹(Vo) 珠璃(Gt) 千草(Ba) 剣路(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

懐かしいけど新しい、っていうのがNETH PRIERE CAINの音楽なんです


-そんなNETH PRIERE CAINは10月から全国5ヶ所での"NETH PRIERE CAIN 5周年記念単独公演TOUR「約束乃丘」"を行うことが決まっており、それに向けての最新音源としてリリースされているのがシングル『エイルの丘』となります。ツアー・タイトルにも曲名にも"丘"という言葉が使われているというこの事実にも、大きな意味がありそうですね。

樹:もちろんです。これはNETH PRIERE CAINの"丘ソング"ですから。

-その"丘ソング"ついては、V系に造詣がある方でないとわかりにくいところがあるかもしれせんが、かいつまんで説明すると90年代後半にPIERROTの「メギドの丘」、Plastic Treeの「絶望の丘」、DIR EN GREYの「アクロの丘」といった名曲たちが相次いで発表された時期があり、この他にもタイトルや歌詞の中に"丘"という言葉を使ったV系バンドが多々いたという前提があるわけですよね。それらがいつしか"丘ソング"としてシーンの中で認知されていくことになった、という流れを今NETH PRIERE CAINはここに継承したということになるわけでしょうか。

珠璃:まさにその通りです。

樹:僕は本当に昔からヴィジュアル系が好きなんですけど、やっぱりヴィジュアル系といえば"丘ソング"というところがあるじゃないですか。NETH PRIERE CAINでも絶対に出したいなと思ってきていて、それがこの5周年を迎えた今やっと叶ったんです。

-2023年の今、新たに"丘ソング"を生み出すということに対してのプレッシャーなどはありませんでしたか。ある意味、レジェンドたちの偉業に対してNETH PRIERE CAINは追随することになったわけではないですか。

樹:その聖域に踏み込むという点では、当然ですけどハードルがめちゃめちゃ高かったです。でも、バンドとしてはここでちゃんと踏み込まないとたぶん先に進めないなとも感じていたんですよ。そして、強い決意を持って踏み込んだ結果、ファンの人からは"ついに丘戦争に参戦してきたんですね"っていうことを言われたりもしました。これまで、NETH PRIERE CAINではシングルのタイトルとリード曲のタイトルはあえて違うものにしていたんですが、初めて作品名も曲名も両方"エイルの丘"としたのもそれだけの強い想いがあったからです。

-作曲をされた珠璃さんからすると、表題曲「エイルの丘」を作っていくうえで意識されたのはどのようなことでしたか。

珠璃:僕がメタル好きだからというのもあるんですけど、もともとNETH PRIERE CAINではシングル曲に重ためなものを選ぶことが多かったんですよね。歌もシャウトが多くて、それこそ激ロックの読者の人たちにもおすすめというか(笑)。だから、今このタイミングで"丘ソング"をシングルで出すってなったときにも、普通の流れでいけば重い曲を出していたかもしれないんです。ただ、代表的な"丘ソング"ってあんまり激しいものはないイメージだし、NETH PRIERE CAIN自体にバラード・ソングがそこまでなかったということもあり、ここでは意図的に重い曲ではなくて逆に透明感の漂うNETH PRIERE CAINとしては今までになかったタイプの曲を作ることにしました。

-この「エイルの丘」という曲を受け取ったとき、各メンバーはどのような受け止め方をされたのでしょうね。

剣路:曲をしっかり聴かせるためのプレイが必要だな、って思いました。だから、ドラムはあんまりガチャガチャうるさくしないように気をつけましたね。あとは、曲の中にある抑揚をより醸し出せるようにということも心掛けて叩いてるかな。ワンコーラス目とツーコーラス目では、微妙にビートも変えたりしてるんですよ。

千草:僕は休符を大事にしながらベースを弾きましたね。透き通るような雰囲気の曲なので、メロディアスなベースラインを作ることも大切にしました。特に、サビ裏では歌メロに寄せたフレーズを弾いたり、ギター・ソロの裏でちょっと動いたりしてます。

-そのギター・ソロはずいぶんと流麗な仕上がりですね。

珠璃:ギターも一緒に歌ってるような感じで録りました。

-なお、ヴォーカルに関しては上下を重ねたダブル・ヴォーカルになっているところが特徴的ですが、このような手法を取られた理由はなんだったのでしょう。

樹:自分でこんなことを言うのもなんなんですが、僕は自分の声がめちゃくちゃ好きなんですよ(笑)。しかも、僕は低音も売りなんですね。というか、高音のほうも売りなので、だったらここは両方を同時に聴かせようということで上下を重ねました。歌い出しのあたりは低音を響かせつつ、サビでは急に高音で伸びやかに歌うという展開になっているので、僕にしか出せない歌を形にできたと思います。

-併せまして、この「エイルの丘」の歌詞世界についても樹さんから少し解説をいただますでしょうか。

樹:エイルというのは癒しの女神のことなんです。詞を書くときには同時にMVの内容まで細かく思い描いていたところがありまして、ストーリーの軸になっているのは"いた者がいなくなる"という物語ですね。失ったものは自分にとっての癒やしだったな、という歌なんですよ。つまり、今ある幸せを大事にすることの意味や、その幸せはいつなくなるかわからないということもここでは表現しているんです。

-さて。今回のシングル『エイルの丘』には表題曲以外にもライヴで映えそうなアグレッシヴ・チューン「Jealousy...」や、昭和歌謡メロディの面影が滲む「「ヒルガオ」」も収録されておりますが、もしなんの予備知識もない方にNETH PRIERE CAINの音楽性を言葉でわかりやすく伝えるとするなら、みなさんはどのように説明をされます?

珠璃:曲を書いている僕からすると、ネスプリの音楽にはどれも"懐かしさ"を感じさせるような要素を入れるようにしてます。具体的に誰のどの曲っぽいとかではなく、聴いた人がその人の年齢にかかわらず、誰にでも"どこか懐かしいな"とか、ノスタルジーを感じてもらえるような音楽を作っていきたいと常に思っているんです。

樹:懐かしいけど新しい、っていうのがNETH PRIERE CAINの音楽なんです。

-90年代に安室奈美恵さんが売れに売れていた時代に流行った厚底靴はいったん絶滅しましたけれど、近年ではまた少し違うデザインを取り入れつつ再流行していますしね。音楽もまた、時代が何周りかして新鮮なエッセンスが加えられることで、それこそ"継承"されていくのかもしれません。

樹:たしかに、ファッションも音楽も周期的にリバイバルするって言いますもんね。その感覚はなんとなくわかる気がするし、ネスプリの音楽もノスタルジーは感じるけど新しい、ってみんなに思ってもらえたら嬉しいです。

-そうしたNETH PRIERE CAINの個性を伝えていく場としては、10月からの"NETH PRIERE CAIN 5周年記念単独公演TOUR「約束乃丘」"が重要になってくるかと思われます。こちらは当日券が全公演無料となるツアーでもあるそうですけれど、みなさんは現段階でどのようなヴィジョンをお持ちでいらっしゃいますか。

樹:何しろ、今回はツアー・タイトルも"約束乃丘"ですからね。『エイルの丘』の世界を表現していくライヴでもありますし、それと同時にNETH PRIERE CAINにとっては5周年のツアーでもあるので、1本ずつのライヴでそれぞれ異なる世界を作っていきたいと考えていたりします。要は、ネスプリとしての集大成をこのツアーを通していろいろ見せていきたいんです。

剣路:だいたいドラムってライヴハウスでは見えにくいんですけどね。でも、僕は今回のツアーではできるだけ自分の存在感をアピールしていきたいなと思ってます。

千草:個人的にはライヴのときもギター・ソロの裏で動くフレーズを弾くようなプレイヤーが結構推しなので、ベースが好きな人とか、僕に興味のある人にはそういうところまで観て聴いてもらいたいですね。あとは、僕も含めたフロント3人で曲中にクルッと同時に回ったりすることもあったりするんで、そういった華やかなステージングもぜひ楽しんでください。

珠璃:ライヴでの音作りという面では、他のギタリストは出さないような自分だけの音というものを大事にしているので、そこはひとつの大きな売りですね。あと、僕は小さいのでステージではちょっと目立ちにくいと思うんですけど(笑)、いつも自分専用のちっちゃいお立ち台を用意してそこで一生懸命パフォーマンスしているので、ぴょこぴょこ跳ねてるところもぜひ観てください! あと、まだ断言はできないんですけど、今のところDIR EN GREYの「アクロの丘」をうちのバンドで今度カバーしようかなという話も出ているので、それも実現したらぜひ楽しんでください。

樹:まぁ、さっきも言いましたけどね。僕、非常にイケボなんですよ(笑)。初見でもこの声を好きだって言ってもらえることが多いので、今度のツアーでもそう感じてもらえるようなライヴをたくさんやってきたいと思います。そして、僕はステージに立つとその瞬間に人格が乗っ取られるといいますか。世界に完全に入り込んでしまうせいか、気づいたらステージから降りてフロアにいたとか、逆ダイ(※逆ダイブ/観客がステージに 向かって飛び込むこと)の曲で逆ダイ布団(※柵にもたれ逆ダイブする人を受け止める 人)をやってたとか(笑)、そのときは完全に記憶をなくしてる憑依状態で、自分でも何をするかわからないところがあるくらいなんで、みんなには"今日の樹はいったい何をするんだ!?"っていうところにも期待してほしいです!!

NETH PRIERE CAIN
LIVE INFORMATION

"NETH PRIERE CAIN 5周年記念単独公演TOUR「約束乃丘」" TOUR FINAL
11月29日(水)名古屋 ボトムライン