INTERVIEW
裸繪札
2022.06.09UPDATE
Member:マチコ(Vo) TAKUMI(Gt)
Interviewer:荒金 良介
-ラップとトラックの方向性が一致しているところも、聴きやすい要因かなと思いました。
マチコ:そうですね。神事とやっていた頃は方向性がまったく一致しなかったんです。神事はエモい音楽が大好きで、僕はエモい音楽が大っ嫌いで。シリアスなトラックに、僕のシリアスではないラップが乗ることにも違和感があったから。TAKUMIはシリアスなものは好きじゃなくて。
TAKUMI:僕らは終始フザけてますから。
マチコ:それで噛み合っているのかなと。何をやってもTAKUMIは許してくれるんですよ。
-マチコさんのリリックはなんでも受け止めてくれる人じゃないと無理かもしれませんね。
マチコ:そうなんですよ。みんなトラックは一生懸命作っているだろうから、そこにあんなリリックを乗せたら、失礼ですもんね。
-譲れない美学がある者同士だと、ケンカになりそうだなと。
マチコ:いや、どっちも譲れない美学はあるんですよ。
-それは言葉にできます?
マチコ:えっ、聞いたことない。たっくん、あるん?
TAKUMI:いや、 別にないけどなぁ。
マチコ:俺もないから。じゃあ、ないです!
-ははははは(笑)。
TAKUMI:奇跡的に合致しているんじゃないですかね。
マチコ:お互いに裸繪札のポジションを理解しているから。言い合いもないですね。
-楽曲について聴きたいんですが、再録曲「Taikuzuwari」は今作の中でもかなりポップですよね。
マチコ:2005年に作った曲で、昔からのファンにも好かれていて。TAKUMIがもう一度作り直してくれました。
-奇しくも学校で体育座りを廃止する動きがニュースでも取り上げられて、今の時代性ともリンクしているなと思います。
マチコ:そういうタイミングもめっちゃいいなと。
TAKUMI:風刺効いてるやん(笑)。
-「Son of a bitch」はアッパーな曲調でこれもいいですね。
マチコ:自分はこの曲が一番好きです。全曲ああいう感じでやりたいですね。
TAKUMI:僕の中でもよくできた曲やなと。スンと行けたんですよ。
-ラスト曲「Sadistic dick head police」はインスト・ナンバーで、これは完全にバンド・サウンドですよね。
TAKUMI:あれはネタみたいな感じで作って、それが採用されたんですよ。
マチコ:ライヴではふたりでギターを弾いて、僕もシャウトして、サンプラーを叩いてますからね。次に出す作品は、ああいう曲ばかりにしようと話していたんですよ。まぁ、匂わせだけで終わるかもしれないですけど。
-それはまた聴いてみたいです。普通のヒップホップ・アルバムだと、こういう終わり方はしないですよね。
TAKUMI:あり得ないでしょうね。特に何かを意識したわけじゃないけど、デジタル・ハードコアみたいな雰囲気ですかね。
-裸繪札の音楽性は変化を遂げている一方、一貫して変わらない部分としては猥雑なムードを楽曲から感じるんです。辞書で猥雑を引くと下品、みだら、ごたごたと入り乱れている、あられもないという意味があり、全部当てはまる言葉だなと。
マチコ:たしかに。僕らあられもないですもんね(笑)。猥雑なものを入れたろうと思ってるわけじゃないんですけど。万国共通でみんな猥雑なことが好きで、海外でも"チ●コってなんて言うの?"という会話で仲良くなるじゃないですか。
-ええ。TAKUMIさんはいかがですか?
TAKUMI:言われて嫌な気はしないですね。
マチコ:僕はそのまま直球で、自分のまま行くほうが楽やなって。アーティストでも自分が作り上げたイメージを守るのに、しんどそうな人を見かけるんです。自分のままで評価されたら、それが一番楽だと思うから、まったく作らないでいこうと決めてます。みんなそうやったらいいのに、と思いますけどね。
-"孕んでから後悔せい"(「Yabant garde」)のリリックもきつい言い方に感じられますが、近しい人しか言えない愛のある言葉にも受け取れて。
マチコ:自分の解釈はふんわりしているんで、聴いている人がどう感じるのかなって。そこに引っ掛かってくれたのは、めっちゃ嬉しいですね。
-土足で入り込む感じが裸繪札らしいなと。あと、MVの話にも少し触れたいんですが、カラフル且つサイケな映像が多くて、惹きつけられます。映像面で意識していることは?
マチコ:嘘がないように、あまり作り込みすぎないようにしてます。基本的に家で撮っているんですよ。
TAKUMI:変な衣装を着て、小芝居とかもやりたくないし。
マチコ:普段やっていることをそのまま撮ろうと。だから、あれが僕らの普段の生活なんですよ。
-わかりました。今後やってみたいことはありますか?
マチコ:ライヴはずっとやりたいですね。
TAKUMI:一緒ですね。でも求められないとできないから、お役御免にならないように。
マチコ:あと、解散して、このふたりでまた新しいバンドをやりたいですね。17年同じバンド名だと飽きてくるんですよ。まぁ、音楽性はそのままやと思いますけどね(笑)。