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INTERVIEW

VICTORIUS×和田誠-CAPTAIN-WADA

2018.07.10UPDATE

2018年07月号掲載

VICTORIUS×和田誠-CAPTAIN-WADA

音楽評論家:和田誠-CAPTAIN-WADA
インタビュアー:荒金 良介


VICTORIUSはみんなで歌える、拳を上げられる、曲がとてもわかりやすい


-それで今回の本題でもあるVICTORIUSとの出会いは?

HELLOWEENの事務所のヤン・ヴァヤッティとは付き合いが古くて、GOTTHARDのマネージャーをやっていた時期もあって、そのころから25年くらいになりますか。そんな彼が"PUMPKINS UNITED"(※HELLOWEENの現メンバーに加え、元メンバー2名が参加してツアーを実施し、新曲も発表した)みたいことをやろうとしているという話を聞いたとき、あれだけのメンバーを集めるんだから、これは壮大なお祭りだなと。ある意味究極ですからね。ジャーマン・メタルの集大成みたいなイベントだけど、彼らは次のヴィジョンを見ているし、新たなステージを作っていくでしょう。そんな状況におんぶに抱っこではいけない。2000年代にフォロワーからDRAGONFORCEやSONATA ARCTICAが育ったように、ドイツ本国でもPOWERWOLFやORDEN OGANも人気があって、欧州からのBEAST IN BLACK、SABATONなどと新勢力が力を見せつけている。今のジャーマン・メタルにもかっこいいバンドがいるんだぞ! というところをVICTORIUSに示してもらいたい。そんな期待すべき逸材なんです! POWERWOLF、ORDEN OGAN、SINBREEDという新しい流れができそうなときに、なぜVICTORIUSが核になれるかというと、曲がとてもわかりやすい。みんなで歌えるし、拳を上げられる。で、彼らは今風の嗜好なので、RHAPSODY OF FIREが"シネマ・スコア・メタル"と言われて、映画の中のファンタジーをクラシックと融合させているけど、VICTORIUSはアニメ、コミックの世界なんですよ。90年代アメリカン・コミックが大好きで。

-そうなんですね。あと、映画"ジュラシック・パーク"世代なのかなと。

そうそう! 恐竜ものだったり、コミックに出てくるヒーローとか、コミックとメタルを融合させてる。だから、彼らは"アート・パワー・メタル"と呼んでいるみたいで、コミック世界のファンタジーをバックにプレイするという。今の若い人たちがアニメやコスプレが好きなように、VICTORIUSもその世界に完全にハマッているのかな(笑)。

-VICTORIUSはメロディが抜群にいいですよね!

耳馴染みのあるフレーズ満載!

-なるほど(笑)。

そういう人は多いと思うな。どこかで聴いたことがある。それはフックになるからね。ロック/メタルのスタンダード――例えばEUROPEの「The Final Countdown」やRIOTの「Thundersteel」、ああいう曲ってわかりやすくないですか? 一緒に歌えるんですよ。つまりメタル・ファンだけじゃなく、一般の音楽ファンにも突き刺さる。わかりやすい曲を持ってるバンドは強いんですよ。

-VICTORIUSはまさにそういうバンドだということでしょうか?

曲作りと演出が非常にうまいバンドで、そこに魅力を感じますね。次はどんなコミックのテーマを引っ張ってくるのかな、というのも楽しみですし。今回は恐竜ですけど、このストーリーは今後も続くんですよ。それが次の作品かどうかはわからないけど、彼らなりにファンジーとメタルを融合させようとしたんだと思います。

-VICTORIUSの音楽性はどこからの影響を感じますか?

RHAPSODY OF FIRE、GAMMA RAYでしょ! あと、HELLOWEEN。ギターのカッティングはキーパー(HELLOWEENの「Keeper Of The Seven Keys」)節だもんね(笑)。

-「Dinosaur Warfare」はオーセンティックなメタルの臭いもあり、ACCEPTなどは当然通ってますよね。

ドイツの大先輩だからね。ただ、彼らの世代的にはHELLOWEEN、GAMMA RAYの方がインパクトがあったんだろうなと。それと彼らは2013年に『The Awakening』で日本デビューしているんですけど、なぜ評判にならなかったというと、音質的に練りが足りなかったんだと思うね。楽曲も見せ方もすべてにおいて、完成度が今とはかなり違うと思います。

-前作『Heart Of The Phoenix』(2017年リリースの4thアルバム)は日本盤が出てませんからね。

"VICTORIUS"と言っても、ファンや業界の中でも、マニアの人にしか知られていなかったと思うから。改めて日本のマーケットにチャレンジですよ。彼らは北米、ヨーロッパでは結構成功しているんです。GRAVE DIGGERのオープニング・アクトを務めたり、長くツアーもやったりしてますからね。HAMMERFALLが出てきて、初来日したときと同じ熱をこのバンドにも感じるから、日本には絶対呼びたいですね!

-バンドはライヴを観ないと、わかりませんからね。

リアリティがないし、ライヴは観たいよね。VICTORIUSはジャーマン・メタルの未来を託せるだけのアイディアと楽曲の質を持ってますから。NWOBHMのムーヴメントは実質2年だったけど、ジャーマン・メタルは今も"To Be Continued"ですからね。"PUMPKINS UNITED"はいい刺激になったけど、それに続くバンドがいれば、シーンの活性化に繋がりますので。僕は今年はジャーマン・メタル新世代元年としてVICTORIUSを激推ししますよ!