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INTERVIEW

YASHIRO

2017.05.09UPDATE

2017年05月号掲載

YASHIRO

Interviewer:荒金 良介

-今作を聴いて、Joe Satriani、Steve Vaiの音色に近いものを感じました。

影響は出てるかもしれないですね。Joe Satrianiの「Always With Me, Always With You」(1987年リリースのアルバム『Surfing With The Alien』収録曲)が大好きで、今もずっと好きですね。

-名インストですね。

ああいう優しい曲というか、曲に溶け込むギターって言うんですかね? 自分もソロで作るなら、そういう作品がいいなと。

-YASHIROさんは同世代と絶対に話が合わないんじゃないですか?

合わないですねぇ(笑)。でもJ-POP、J-ROCKも好きだし、フェスに行けばアガりますから。メロディを大事にしてる音楽が好きなんです。ミドル・テンポのバラード、美しい音楽をよく聴きますね。

-バンド経験を経て、現在はフリーランスのギタリストなんですよね?

もともとバンドを組んでライヴもたくさんやっていたので、根底にはそれがあるんですけど。バンドはひとりでやれないし、いろいろ進めるうえで大変なことがあるし。フリーランスは自分自身で責任を取ればいいわけじゃないですか。バンドはみんながいて心強いけど、誰かひとりが欠けたり、何かが起こったら、その形が崩れますからね。

-バンドは運命共同体ですからね。

そうなんですよ! 自分は周りの人が原因で、バンドがなくなる経験があったから、すごく悔しくて。フリーランスだと、何があっても自分の責任だし、誰かにもうバンドできないと言われる心配もない。自分はありがたいことに現場を任せてもらうことも増えたので。ジャンルにもとらわれず、いろんなギターを弾いて吸収したいんです。それぞれ現場によって音作りやギターのチョイス、アンサンブルの立ち位置も違うんですけど、それを同時進行でやってますからね。勉強できるし経験を積めるから、自分にとっては一石三鳥って感じです(笑)。

-フリーランスを志そうと思った大きな転機は?

2014年に教則DVDを2本(『ゼッタイ弾ける!カッティング・ギター超入門』『サウンドシステム構築の基礎知識』)出したんですけど、そのときに世間の見え方が変わったというか。ただギターをやってることと、"ギタリストです!"というのは自分の中で意味合いが違うんです。昔は"ギタリストです!"と言うことをはばかられて。私が思うプロ・ギタリストと自分の技術がかけ離れていたので......私はギターをやってお金はもらっていたけど、まだまだ半人前ですって。でも教則DVDを出したことで、世間的にはいちギタリストという目で見られますからね。自分もいつまでも逃げ隠れしないで(笑)、覚悟を決めて、"ギタリストです!"と自信を持って言えるようになろうと。

-なるほど。

あと、Mary's BloodはもともとSAKIちゃんと知り合いで、サポートすることになって。このバンドがまたギターが速いし、難しいんですよね(笑)。私はそこまで速いBPMの曲を弾いたことがなかったので、最初は"えっ、どうしよう"と思ったけど。少しずつバッキングのタッチも上手くなって、Mary's Bloodでは鍛えられました。LAGOON(※2016年解散)のサポートも3ヶ月ぐらいやったんですけど、赤坂BLITZ、"SUMMER SONIC"というでかいステージも経験させてもらったし。Mary's Bloodでは海外遠征も行ったり、去年はRaychellさんのサポートで"a-nation"に出て、味の素スタジアムのステージにも立ったんですよ。そんなふうに、お仕事の幅や規模もここ2~3年で変わりましたね。だから、ヤバいなって(笑)。もっと急ピッチで成長しなきゃいけないなと。

-YASHIROさんの理想のギタリスト像って、あるんですか?

やっぱりトーンが違う人ですかね。技術がある人はたくさんいますけど、1音でウットリさせられるギタリストになりたくて。歌わせられるニュアンスを出せる美しいトーンを出せること......それが自分の理想のギタリスト像ですね。もっとトーン・コントロールができるところまで行きたいなと。春畑道哉さんとか美しいギターだし、若手だけど、菰口雄矢さんとか素晴らしいギタリストですからね。

-そして、今回は初のソロ・アルバムになりますね。

ものすごく息巻いてソロ・アルバムを作ろうと思ったわけじゃなく、1年前にデモンストレーションをやる機会をいただけて。オリジナル曲がないから、改めて作ろうと思ったのがきっかけです。そこで初めてギター・インストを2曲作ったんですよ。それに2、3曲追加したら、自分の作品になるんじゃないかと。それから全国流通のフル・アルバムにして、ヴォーカルも入れましょう、という流れになって。

-成り行きで出すことになったと?

ははは、そうですね。歌も歌詞を書くのも初めてだったので、曲を生み出すのは大変でした。なので、今回はプロデューサーを立てて、その方にデータを送るたびにダメ出しをされて(笑)、その繰り返しでした。曲も激しいものからしっとりしたもの、明るいものから暗いものまであるので、1曲として同じテイストはないんじゃないかと思うほど多彩なアルバムになったと思います。この曲ならガット・ギターを入れたい、この曲はヴァイオリンを入れちゃおうって、少しずつ形にした感じです。エレキも何本も持ち替えて、実験しながら竿もチョイスしました。私のどっちつかずじゃないけど、いろいろやりたい、いろいろ試したいという気持ちが作品に出たんじゃないかと。