MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

Misanthropist

2017.05.12UPDATE

Misanthropist

Interviewer:杉江 由紀

-『Misanthropy』は生まれるべくして生まれたもの、なのでしょう。

まさにそうですね。本当に自然体で、等身大のスケールを描いていると思っています。それだけに、今回は少し音を作っていくうえでの観点にも変化がありました。今思うとCodeRebirth時代は、純粋に商品的クオリティの高い音楽を作ることだけを追求していたところがあったんですけど、『Solace』(読み:サラス/2015年リリースの1stデジタル・シングル)、『UNWISH』(読み:アンウィッシュ/2016年リリースの2ndデジタル・シングル)からの『Misanthropy』ではさらにもう一歩踏み込んで、"なぜこのセクションにこの音が必要なのか"だとか、"どうしてこの音に対してこの歌詞を乗せるのか"といった、もっと根源的なところまで突き詰めるようになって、ひとつひとつに対しての意味をより深く求めるようになったんです。そこの意味合いを自分なりにしっかり咀嚼しながら制作したことによって、『Misanthropy』は単独の曲を普通に寄せ集めたものではなく、収録してある全4曲が強固に結束しひとつの大きな流れを持った作品に仕上げることができたと思いますね。楽曲を聴いてもらえれば一瞬でわかることなので基本的に僕はあまりサブ・ジャンルを口に出したくはないのですが、音楽的にも簡単に言えばメタルコア、ダウンテンポ、デスコア、スクリーモなどと、自分的に取り入れたかったことや再主張したかった多様な要素をふんだんにミックスさせることができました。

-なお、Misanthropistではインストゥルメンタル以外の各楽曲において、毎回ゲスト・ヴォーカリストを迎えることになっているのだとか。今作においても、実に興味深い面々が参加されております。この人選についてもぜひ解説をお願いできますか。

今回はLumber Coated Rustの久恒さん、NOCTURNAL BLOODLUSTの尋さん、元Sailing Before The Windkneeyaさん、元LAST CALIXのKazさんという4人に歌っていただくことなりました。まず、久恒さんには歌入りの全曲に参加をしてもらっているんですけど、以前Lumber Coated Rustのエンジニアリングの仕事で関わった際にシャウトが僕のドツボだったので一度『Solace』で声を掛けさせていただき、そこからは昨今の僕の音楽性を築き上げるうえで絶対に必要な人になりまして、毎曲マストで参加してもらってます。Kazさんに関しましては『Solace』を作った際に作ったメロのキーが高すぎて誰に歌わせようかと悩んでいた当時に出会って、大好きな声質に加え余裕で『Solace』を歌い上げられる音域に惚れて今作の「Misanthropy」(Track.4)でもエモーショナルなハイトーンをブチかましてもらいました。kneeyaさんは以前『UNWISH』のフィーチャリングで参加していただいた際に、当時から構想があった「Grief」(Track.3)に絶対にメインで参加してもらおうと思っていました。「Grief」はPAメタルコアとAUSメタルコアの間の子のような楽曲に仕上げようとしていたので彼以外の声は考えられなかった。尋さんに関しましては「Souleater」(Track.2)の制作段階で2分36秒からの展開ができたときにここには絶対に尋さんの声が必要だと思っていて、声を掛けさせていただくことをすでに固く決心していました。日頃からリスペクトしている先輩なので参加してくださって本当に嬉しかったです。とにかく参加ヴォーカリストのみなさん全員、それぞれこのうえなく楽曲にベストマッチしていて、どなたも僕の大好きな素晴らしいヴォーカリストたちです。

-全曲をツイン・ヴォーカル・スタイルにしてあるのも、理由があってのことですか。

はい、これはわざとです。バンドの場合、たいていヴォーカルは一番の顔になりますよね。でも、僕のソロ・プロジェクトであるMisanthropistにおいて最も重視すべきなのは歌そのものではなく、克哉というアーティストの生み出す楽曲自体の方なので、歌の面での特定の印象づけを避ける意味もあり、意図的に各曲でヴォーカリストを変えながら、どの曲でもふたりに歌ってもらっているんですよ。楽曲によってヴォーカリストが違ってようが結局"克哉の曲"は"克哉の曲"でしかなく、そういう意味でMisanthropistには一貫してブレない信念、パッション、個性を感じてもらいたいと思っています。

-いやはや、なんとも贅沢なつくりです。NOCTURNAL BLOODLUSTの尋さんにしても、普段とはまた違ったテイストのヴォーカリゼーションを披露してくださっていますものね。

そこはきっと、僕の作ったヴォーカル・ラインと歌詞を僕のディレクションのもとで歌ってもらったことが起因しているからかもしれません。他の参加ヴォーカリストにおいても、普段の声を聴き慣れている方々が、もし"これはいつもとちょっと違うな"とこの曲たちを聴いて感じてくれたなら、僕としても興味深くもあり非常に嬉しいです。

-となると、『Misanthropy』を作り終えたときの手応えは相当なものでしたか。

この4曲については、これ以上のかたちはないなというところまでやり尽くせたと思いますね。とはいえ、トータルで考えたときに音楽を作っていくということ自体に対してはまだまだ満足していないし、ソロでの集大成をここで一旦ちゃんとかたちにできたぶん、ここからはまた新しいバンドを立ち上げていくために必要なことを、改めてやっていきたいなと思っているんです。『Misanthropy』を作ることで、自分の中のネガティヴな感情や吐き出したいものをすべて音や詞として吐き出せたからこそ、次はある意味前向きなかたちでバンドをやっていけるんじゃないかと思います。

-ちなみに、新バンドについてはいつごろの始動を目論んでいらっしゃるのですか。

明言はできませんが、そう遅くはなりません。今は水面下で動いているところです。今後もエンジニアとしての活動は続けていきたいし、Misanthropist=克哉なので、ソロはソロでまたやりたいと思うときが来たらやるとしても、やっぱり個人活動によって証明できる自分の力と、バンド活動によって証明できる自分の力は別モノだと思ってるので。世間において僕自身が正当化された未来を作るうえでバンド活動は必須だと考えています。あとは何よりも、単純にバンド活動がやっぱりどうしようもなく好きだし、信頼し合える最高のメンバーたちと組んだ最高のバンドでステージに立ちたい気持ちは絶対に未来永劫消えません。以前のバンドは志半ばで終わっていますし。まぁバンドをやったりすると、こういったソロ活動とは違ってジャンル云々の面倒な話がつきもので、未だに僕がやってきたところであるヴィジュアル系って何かと特異な目で見られがちだし、もともとそことは完全に分離したイメージで捉えられていた純粋な激しい音楽がシーン問わず浸透してきている昨今の状況下でさえメタルコアっぽい音とかヘヴィな音を出したりすると、"ヴィジュアル系なのに、そんな音を出すんだ!?"みたいに意外な印象を持たれてしまったりだとかとか"どっちかハッキリしろ"みたいに言われることとかもいろいろあるんでしょうが、まずはいわゆるヴィジュアル系のバンドを聴いたところから入って、音楽に熱狂しそのあとにほどなくしてメタルコアなど、ヘヴィで激しい音楽全般に辿り着き、それに心を掴まれて現在に至っている僕からすると、どっちの要素も持った音楽をやりたいというのはごく自然な気持ちだし、フラットに考えたらそれこそが個性なんですよ。これからも、CodeRebirth時代から本作『Misanthropy』にかけてずっとやってきたそういった部分は、きっとまったく変わらないだろうなと思います。