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INTERVIEW

Migimimi sleep tight

2016.07.05UPDATE

2016年07月号掲載

Migimimi sleep tight

Member:宮川 依恋(Vo/Gt) 涼平(Gt/Cho/Pf) JOTARO(Ba/Cho) 松本 誠治(Dr/Cho/Per)

Interviewer:沖 さやこ

-JOTAROさんが作詞作曲なさっているTrack.4「GOODBYE」もロック・ビートのダンスだと思いました。

松本:これまでやってきたバンドからは想像もつかないナンバーが飛んできましてねぇ......。

JOTARO:前のバンドをやっていたときに作ったんですけど、提出して採用されなかった曲なんです(笑)。今回Migimimiに使うことになったので、みんなでいろいろ相談してサビをごっそり変えて、構成を変えて。メイン・リフも全部変えてキーも変えて......だから原型はA、Bメロと間奏かな。8年前に作った俺のデモよりもすっごくいい感じになって――

松本:8年前!? そりゃあ初期衝動ハンパないのも納得だわ(笑)。

JOTARO:でもそんな曲今までやったことがなかったんで、"ピック弾き練習しなきゃ!!"って感じでした(笑)。レンレンもスピードをつけて歌ってくれてるし、ギターとドラムがかっこいいので、ベースは地味に弾くことに徹してます。ギターがかっこいいから。

涼平:もともとあったリフもかっこよかったんですけど、僕が新しいものを提案してみたらJOTARO君が"じゃあこんなのは?"と投げてくれて。"じゃあこうしてみるよ"と相談しながらできあがったものですね。メガマソが結構モダンで、ハイファイ、クリーン・トーンは生々しい感じの音なので、このバンドの僕の裏テーマは"ギターがEddie Van Halen"なんですよ。産業ロックのときの音質、ブラウン・サウンドは、このバンドに絶対ハマると思ったんですよね。ギターが大きい音を出せば出すほどヴォーカルは出せなくなるけど、レンレンの声は音量に関係なく抜けてくれるので、このバンドでは惜しみなく弾けますね(笑)。

-Track.5「WonderWave」は松本さんと涼平さんが作曲、宮川さんが作詞をなさっている、夏らしさや開放感もあるハッピーなサンバ的ナンバーです。

松本:ビート by 松本誠治、メロディ by 涼平という構成の作曲です。僕は楽器に重きを置くクセがあるので、ヒップホップ的なトラック・メイキングをやりたくて。この曲はそれとはちょっと違うものになったけど、ナチュラルなものにしたかったんです。ギターのリフレインがちょっと明るく聴こえるようにして、あとはみんながハッピーでピースフルな感じでやれたらいいな、というテーマくらいしかなかったので、(涼平に)"こんな感じなんだけど、メロディどうっすか?"となんとも雑に投げたところ、グッド・メロディが飛んできたので"もうこれっしょ! ばっちりでしょ"と。歌詞は"ピースフル"をテーマにしてレンレンに振ったら、これまたグッドなものが返ってきまして。

宮川:ストレートに書こうと思って。

松本:英文ではなく英単語として並べているし、ちゃんと意味にもなっているし、歌の譜割りに聴きやすく単語がハマッている。それがすごくきれいに歌われているので、ナチュラルだなと思います。メンバーそれぞれの演奏もナチュラルだし。バンドの楽しさやハッピーな空気が封入されれば、この曲は万事オッケーだったんですよね。僕はライヴみたいな雰囲気が欲しかったから、そんなにタイトに気張らず、ヘタった感じの演奏にしたくて。ギターの音像もハイファイな音ではなくローファイっぽい、そういうものがどうしてもやりたかったんです。だからJOTAROも最初は座ってレコーディングしてたけど、途中からヘッドフォンを外して立って弾いてたし。

JOTARO:座ってやるとハッピー感が出なかったんですよね。"小難しいことをしないでくれ"とオーダーがあったので、本当にただ弾いたままのようなもので(誠治君に)"これでいい?"と聞いたら"いいよ"と言われて。だから、レコーディングまでに他の曲はすっごい練習したけど、誠治君の曲は1回も練習してない(笑)。練習しちゃいけないんだなと思った。普通はもっと決め込むんだけど、この曲はそのとき出たものでやるものなんだなと。

松本:そうそうそう。メンバーの顔が見えるような、そういう感じの曲にしたかったんですよね。

-涼平さんのメロディっぽくないところは、松本さんの作った土台の影響かもしれないですね。そして「The Lovers」はとてもエモーショナルな曲で。

涼平:これはCOALTAR OF THE DEEPERSみたいな曲にしたいなと思って。だからギターは左右轟音で、全部で8本くらい鳴っているんです。音的にはシューゲイズで、JC(※歪み系のギター・サウンドによく使われる、ローランド製のアンプ)みたいなアンプにメタルのようなディストーションとファズとリバーブで飛ばして、そういうものがめちゃくちゃ鳴っている中で歌が埋もれないでいてくれたら嬉しいなという発想ですね。歌詞にある"Under the Sea Lovers"のとおり、海の底の苦しい気分も音で出せているかなと。最初はイントロが短かったんですけど、あとから思いついたので長くして。それが、JOTARO君がさっき言ってた部分ですね。4人の演奏だけでうねりやノリが出ているなと思います。

松本:イントロだけでもドラム・パターンが4つあります。......なんでこんなことになってるんだろう(笑)。びっくりしちゃったね~。

JOTARO:だから全員の演奏の情報量がすごい曲なんですけど、まとまってるのがまたすごいなと思って。

涼平:それは歌やみんなのプレイがあるからですね。

-ミクスチャーのセンスが音楽ジャンルだけでなく音質から発揮されている。それはジャンル問わず"音楽"という括りで幅広く音楽を聴いてきた世代特有のものだなと思います。

涼平:そうですね。そもそも誠治君と仲良くなったのも"それ俺も聴いてる!"という話ですごく盛り上がったからだから。誠治君からいろんなものを教えてもらってるし。この4人はそれぞれが違うところにいるから、お互い刺激し合えるバンドなんですよね。

松本:みんながそれぞれにミュージック・ラヴァーなので、そういう音楽愛やこだわりはこのアルバムに出ているなと思います。

-ラストのボーナス・トラック「Chill out,White out」(Track.7)はメインで収録されている曲とはひと味違う"sleep tight"感がありますしね。......あ、最後にお聞きしたいんですけど、"踊れる"がコンセプトにあるバンドが、対極の位置にあるような"眠る"を同居させている真意をお聞きしてもいいですか?

涼平:この曲、歌詞は出ていないんですけど"6時に目が覚めて9時に寝てしまう"という内容なんです。要するに"僕らのライヴのときに目覚めてよ"ということなんですよね。僕らの音楽に触れる瞬間だけ覚醒してほしいな、という願いもあります。それが"踊れる"ということだったり。会場限定盤(2016年5月リリースのプレビュー・シングル『Migimimi』)に入っている「Sleep tight,Gleep night(SE)」という曲があるんですけど、この曲のタイトルには、みんなが眠るべき夜の時間を"gleep(=盗む)"するぞ、といった意味合いがあるんです。今後はDJパーティーに4人で出たりしたいし、そんなときは"Migimimi gleep night"でもいいんじゃないかな?と思ってたり......僕の中でいろいろな夢が勝手にどんどん広がっているんです。

-もう涼平さんの中でいろんなことが始まっているようですね。

松本:これはまたすごいことになりますね~......。

涼平:単に誠治君の機材が増えるだけだけどね(笑)。もうすでに誠治君の機材を組むのに専属スタッフが必要なくらいになってるんです。介護者が必要!

松本:介護者って! その表現!!

涼平:いや、ほんと誠治君には頭が上がらないんだよ? 僕がthe telephonesのライヴを観ていたら、"こんな武器を装備させてみたいな"、"こんなパーツをつけたらどうだろう?"と思っていろいろアイディアが生まれたからさ! それに対して誠治君も"これじゃあ動けないよ!"ではなく、めちゃくちゃ応えてくれる。僕が思う以上に動いてくれちゃうんだよ。

JOTARO:松本プラモデル感覚......。SとMの関係性ですね(笑)。

松本:いや~......望むならどこまでも。覚悟は決まってます(笑)。今の時代、いろんなところで自由に活動している人は多いので、そこは今後もフリーにやれたらなと思ってます。僕らが考えていること、作っていくもの、その先にあるもの――いろんな音楽を自由に共有していけたらなと思います。