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FEATURE

UUHAI

2025.01.15UPDATE

UUHAI

Writer : 井上 光一

活況を呈するアジアのヘヴィ・メタル・シーンにおいて、THE HUの世界的な成功以来注目を集めているモンゴルから期待の新星が登場だ。モンゴル語で"歓声"や"喝采"を意味するUUHAI(オーハイ)と名乗る彼等は、本国のメタル~ロック・シーンにおけるパイオアニア的な存在であるHURDのメンバーでもあるドラマー兼ソングライター兼プロデューサー、Otgonbaatar Dambaを中心として2020年に結成され、喉歌を担当する2人の馬頭琴奏者(Shinetsog-Geni Dorjnyam、Zorigoo Battsooj)、リード・ヴォーカリスト(Saruul Tsogt)、ギタリスト(Dalaitseren Nasanbuyan)、ベーシスト(Anand Naranbaatar)にパーカッショニスト(Batbayar Dulamsuren)を加えた7人組。THE HUと同じく、西洋音楽のヘヴィ・メタルやロックに、モンゴル伝統の民族楽器である馬頭琴等の音色を組み合わせた、折衷的なスタイルであり、ユネスコの無形文化遺産に登録されている歌唱法である、モンゴルにおいて"ホーミー"と呼ばれる喉歌や、"オルティン・ドー"と呼ばれる長歌を駆使したヴォーカル・パフォーマンスには、メンバーのルーツが色濃く刻み込まれている。当然ながら歌詞もモンゴル語で書かれており、それこそ非英語圏の伝統的な民族音楽にモダンなメタルを融合させた、フォーク・メタルが好きな向きにもぜひチェックしてほしいバンドだと言えよう。そんな彼等は2021年よりYouTube等を通じてMVや楽曲を公開、2023年にはイギリス最大級のメタル・フェス"Bloodstock Open Air"へ出演を果たし、ヨーロッパ・ツアーも敢行。本国のみならず欧州での人気も高まりつつあるなかで、このたびデビュー・アルバムとなる『Human Herds』のCD販売が日本でのみ実現(※デジタルでもリリース)、満を持しての日本デビューとなった次第である。


"大地の愛し方、お互いを愛する考え"を歌い全ての人々を団結させる、UUHAIならではのモンゴリアン・メタル


『Human Herds』はUUHAIがこれまでにリリースしてきた楽曲と新曲を再構成、リマスタリングを施した全9曲から成るアルバムで、彼等の魅力が詰め込まれた濃密な音楽体験が約束された作品となっている。表題曲のTrack.1「Human Herds」は、もともと"Khun sureg"という曲名で公開されていた楽曲で、フック満載の彼等の基本的なスタイルが楽しめるキラーチューン。先述したバンドのリーダーであるOtgonbaatarは"人は群れでいるときは全てを創造しながらまた崩壊させていくのです。それでも我々は1つの太陽と月と地球を持つのです。ですから、Human Herds、いわゆる「人の群れ」と名付けました"と述べており、アルバムのコンセプトでもある"大地の愛し方、お互いを愛する考え"に基づく、まさにオープニングに相応しい楽曲と言えるだろう。続くTrack.2「Ancient Land」は、馬頭琴の音色と特にサビのメロディにおける伸びやかな歌声が、どこか郷愁を呼び覚ますメロディアスなナンバー。バンド名をタイトルに持ってくるというのがいかにもメタル・バンドらしいTrack.3「Uuhai」、西洋のカルチャーが生んだ最も有名な吸血鬼を題材とする着眼点も興味深い、Track.4「Dracula」は、アルバムの中でも際立ってアグレッシヴで最もヘヴィ・メタル的な楽曲の1つだ。同時に、通常のメタルであればシャウトやグロウルが使われそうなパートを喉歌で表現することで、独特の凄みや重厚なヘヴィネスが生まれるという点を意識しつつ聴いてもらいたいところ。Track.5「Khurai」ではがらりと雰囲気が変わり、メタル・サウンドから離れて雄大なモンゴルの大地に広がる喉歌の豊かな響き、哀愁の旋律で紡がれる、世界平和やあらゆる人々の精神的な団結を歌った祈りのような歌詞が素晴らしく、彼等の思想や幅広い音楽性と底知れぬポテンシャルを感じ取れるはずだ。

Uuhai - Uuhai


UUHAI - Dracula [Official Video]


Uuhai - Khurai


アルバムの後半戦、Track.6「Khar Khulz」は現時点での彼等の代表曲と言っても過言ではない曲で、本稿執筆時点でYouTubeで公開されているMV再生回数はなんと500万回以上を記録しており、「Human Herds」と同様に彼等の基本スタイルと魅力が凝縮されたUUHAIというバンドの代名詞的なアンセムである。Track.7「Paradise」は本作で初めて音源化されたと思しき新曲で、個人的にも特にお気に入りのナンバー。あえて言えば非常にキャッチー且つメロディアス、トラディショナルなフォーク・ミュージック的な旋律は爽やかですらあるが、同時に彼等特有の哀愁が胸を打つ。非常に分かりやすいギター・ソロも盛り込まれており、日本人好みの曲であろう。Track.8「Uvidas」では再びヘヴィなサウンドへと回帰するのだが、この曲は超自然的な存在への畏怖や敬意をも感じさせ、シャーマニズム的な雰囲気も漂う彼等のまた違った一面を垣間見ることができる。そしてラストを飾る「Secret History Of The Mongols」は、文字通りモンゴルという国のアイデンティティがはっきりと示されたドラマチックな楽曲で、自らのバンド名を誇らしげに歌うコーラスは、あらゆる人種を鼓舞するかのように全てのリスナーの魂を震わせるだろう。

Uuhai - Khar Khulz


Uuhai - SECRET HISTORY OF THE MONGOLS


本作は先述したように日本限定でのCDリリースということで、そう遠くない未来の初来日公演実現にも期待できるはず。ライヴという場で"UUHAI!"と叫ぶべく、今から本作を聴き込んでモンゴリアン・メタルの襲来に備えてほしい。

▼リリース情報
UUHAI
1st ALBUM
『Human Herds』
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NOW ON SALE!!
RFTN24C01/¥3,300(税込)
[ROCK FOR THE NATIONS]

1. Human Herds
2. Ancient Land
3. Uuhai
4. Dracula
5. Khurai
6. Khar Khulz
7. Paradise
8. Uvidas
9. Secret History Of The Mongols

配信はこちら

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