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FEATURE

RAMMSTEIN

2022.04.26UPDATE

2022年05月号掲載

ドイツが誇るモンスター・バンド、RAMMSTEIN――より実験的に世界観を発展させた、壮大なニュー・アルバム!

ライター:菅谷 透

ドイツ語のバリトン・ヴォーカルを乗せた強靭なインダストリアル・メタル・サウンドに、火炎放射が飛び交うド派手なライヴ・パフォーマンスで、世界中のスタジアムを熱狂させるモンスター・バンド、RAMMSTEIN。彼らが8枚目のスタジオ・アルバム『Zeit』を完成させた。前作『(タイトルなし:本稿では便宜上『Rammstein』と表記)』(2019年)から約3年という比較的短いスパンでのアルバム・リリースとあって、アルバム発売の情報と同時に解禁された表題曲「Zeit」のMVは、プレミア公開から45分間で46万回再生を記録。前作を凌駕するほどの注目を集めている。

Till Lindemann(Vo)、Paul Landers(Gt)、Richard Z. Kruspe(Gt)、Flake Lorenz(Key)、Oliver Riedel(Ba)、Christoph Schneider(Dr)という不動の6人からなるRAMMSTEINは、1995年のデビュー以来その強烈すぎる個性でもって、時には物議を醸しながらもひたすらに我が道を邁進してきた存在だ。2019年に発表した、バンドにとって約10年ぶりの新作となった『Rammstein』は、14ヶ国のチャートで1位を獲得。イギリスではドイツ語で歌うバンドとして初のトップ10入りを果たすなど、ワールドワイドな成功を記録した。特に母国ドイツでの人気は凄まじく、コンピ・アルバムやライヴ・アルバムを含め10作品がNo.1アルバムに輝いており、2021年には東京パラリンピックに出場するドイツ選手団の応援映像に代表曲「Ich Will」(2001年リリースの3rdアルバム『Mutter』収録曲)が使用されるなど、まさに国民的と言っていいほどの人気を博している。また、そのアティテュードは音楽シーンのみならず、各界の著名人にも影響を及ぼしているのが彼らの特徴だ。デヴィッド・リンチ監督が1997年の映画"ロスト・ハイウェイ"のサウンドトラックに彼らの楽曲を起用したことは、全米進出のきっかけになったし、近年ではファッション・ブランド"VETEMENTS"の創設者で現在"BALENCIAGA"のクリエイティヴ・ディレクターを務めるデムナ・ヴァザリアもバンドのファンで、両ブランドでは、RAMMSTEINの刺激的なヴィジュアルをモチーフにしたコレクションが発売されている。

そんな彼らは『Rammstein』を引っ提げ、3年から4年をかけたツアーを予定していたが、パンデミックの影響でスタジアムの門が閉ざされてしまうと、当初は計画していなかったという新作の制作に着手。前作を手掛けたOlsen Involtiniを再びプロデューサー/ミックス・エンジニアに迎え、フランスのラ・ファブリーク・スタジオにて2年を費やしレコーディングが行われた。そうして完成した新作『Zeit』は、バンドの集大成というべき作品となった前作を継承しながらも、ニヒルでダークなムードのもと、より実験的に、世界観を発展させた壮大なアルバムに仕上がっている。

幕開けを飾る「Armee Der Tristen」は、重厚なビートに掛け声を乗せてジワジワと迫り来る憂鬱の軍団を描写した楽曲。映画のようなMVが話題を呼んだ「Zeit」は、パンデミックに着想を得たであろう、戻すことのできない時間への想いを、激流のようにスケールの大きなサウンドで奏でる名曲だ。続く「Schwarz」ではFlakeのピアノをフィーチャーし、冷徹だが美しい闇の賛歌を歌い上げる。
ここまではテンポを押さえた楽曲が続いたが、「Giftig」ではRAMMSTEINらしいアッパーなリフが炸裂。ブレイク・パートでの近年のベース・ミュージックを視野に入れたアレンジや、Tillの歌声にオートチューン・エフェクトが掛けられているのも新鮮だ。美容整形や若さへの執着をシニカルに歌った「Zick Zack」は、ポップでありながらヘヴィな、往年のスタイルを思わせる。「Keine Lust」(2004年リリースの4thアルバム『Reise, Reise』収録曲)を手掛けたJoern Heitmannによる、特殊メイクとブラック・ユーモアを効かせたMVも秀逸だ。続く「OK」は万国共通の"オーケー"かと思いきや、"Ohne Kondom"、つまり"コンドームなしで"という意味のよう。そう考えると、ザクザクしたスラッシーなリフに、クライマックスのテンポ・チェンジやTillの野太い雄叫びも実に示唆的で、こちらもまたRAMMSTEINらしいと言えるだろう。

「Meine Tränen」ではいわゆる"毒親"が題材に。歪んだ母子関係をソフトなメロディで巧妙にデコレーションした、歌詞を読むことで考えさせられる楽曲だ。緊張感を煽るリフから始まる「Angst」は、パンデミックや社会情勢から人々が感じる不安を、激烈なサウンドへと昇華している。「Dicke Titten」では、忍耐も理性も髪も失った独身男性の"大きいおっぱい"への渇望を、重低音リフと子供向けアニメのようなブラス・バンドでユーモラスに仕立てていて、ライヴでどんなパフォーマンスが繰り広げられるのかも楽しみだ。ハープの美麗な調べからドラマチックな轟音に移ろう「Lügen」では、再びオートチューンの掛かったヴォーカルが登場。硬派なサウンドに新風を吹き込んだ、絶妙な相性の良さを見せている。そして、アルバムを締めくくる「Adieu」では、"お前と過ごした時間は良かった"と作品のタイトルも回収しつつ、「Sonne」(『Mutter』収録曲)や「Reise, Reise」(『Reise, Reise』表題曲)を想起させる壮大なサウンドで"別れの時"を歌っている。それがアルバムの終わりを指すのか、あるいは悲観的なファンが噂するような、バンドからの別れのメッセージなのか――真意は現段階では定かではないが、これほど幕引きに相応しい楽曲はないだろう。

RAMMSTEINという巨大なバンドに求められるハードルを易々とクリアしつつ、新たなエッセンスも盛り込まれた新作『Zeit』。爆音を待ちわびるファンはもちろん、近年バンドを知ったというオーディエンスもノックアウトすること間違いなしの、新たな傑作の誕生だ。


▼リリース情報
RAMMSTEIN
ニュー・アルバム
『Zeit』
rammstein_zeit.jpg
UICY-16067/¥3,300(税込)
amazon TOWER RECORDS HMV
2022.04.29 ON SALE!!
[UNIVERSAL INTERNATIONAL]

1. Armee Der Tristen
2. Zeit
3. Schwarz
4. Giftig
5. Zick Zack
6. OK
7. Meine Tränen
8. Angst
9. Dicke Titten
10. Lügen
11. Adieu

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