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FEATURE

NINE INCH NAILS

2018.06.21UPDATE

NINE INCH NAILSの初期衝動が覚醒! ノイジーな轟音とアートな世界が溶け合う、Trent Reznorの新たな挑戦

ライター:山本 真由

インダストリアル・ロックのカリスマであり、90年代オルタナティヴ・ロック・シーンを牽引したアーティストでもあるNINE INCH NAILS。前作『Hesitation Marks』(2013年)のリリース後に行われた来日公演(2014年2月に新木場STUDIO COASTにて3デイズ開催)が全公演ソールド・アウトするなど、変わらぬ人気ぶりを見せつけた彼らが、5年ぶりのニュー・アルバム『Bad Witch』を引っ提げて8月に来日する! "彼ら"と言っても、もちろんNIN=Trent Reznor(Vo/Electronics/Gt)のことなんだけれども......。現在は、2005年からプロダクションに関わってきたAtticus Rossが正式メンバーとして、ここ2作品のEPと新作アルバムに演者、ソングライターとしても参加している。長年タッグを組んできた彼らの信頼関係や、積み重ねた美意識の共有、一種の阿吽の呼吸のようなものも現れた今作は、新旧のNINファンを納得させるものになったのではないか。
 
ということで、今作までのNINの歴史を少し振り返ってみよう。1988年にTrent ReznorはNINE INCH NAILSとして活動を開始、翌年には1stアルバム『Pretty Hate Machine』をリリース、1992年には1st EP『Broken』を発表している。斬新で過激でアーティスティックなその存在は、多くのアーティストを刺激し、各メディアも称賛、続く2ndアルバム『The Downward Spiral』(1994年)は、ビルボード・チャートで初登場2位になるなど、その人気を不動のものとする。その後、自身が設立したレーベル"Nothing Records"の第1弾アーティストとして迎えたMARILYN MANSONのプロデュースや、David Bowieとの共同ツアー、映画音楽の制作など、多岐にわたる活動でその才能を見せつけたTrent。さらに、3rdアルバム『The Fragile』(1999年)リリース後には、ツアーの一環として初の来日公演も実現した。6年ぶりとなった4thアルバム『With Teeth』(2005年)には、Dave Grohl(FOO FIGHTERS/ex-NIRVANA)もドラマーとして参加し、少々難解で長尺だった前作とは打って変わって聴きやすく、それでいてラウドな作品となったため、NINと言えばこの作品を思い浮かべる激ロック読者も多いだろう。そして、5thアルバム『Year Zero』(2007年)で"Interscope Records"とのレーベル契約が終了すると、Trentはインターネット時代の新たな音楽リリースのあり方を模索し、6thアルバム『Ghosts I-IV』(2008年3月)を無料バージョンと有料バージョン、CD、LPなど様々な形式でリリース。続く9thアルバム『The Slip』(2008年5月)も無料ダウンロードという形でリリースし、さらにはファンが自由にリミックスしてそれをシェアできるようにするなどして話題となる。その後、急速に配信、聴き放題、という新しい音楽の楽しみ方へと時代がシフトしていく、その黎明期にあって、Trentは"ポストCD"をリードする先駆的な存在だった。そして、オルタナティヴ・シーンに限らず、音楽界に幅広い影響を与えたTrentは、2009年に突如NINとしての活動終了を発表する。しかし、NIN活動休止期間中も、Trentの音楽活動は活発で、2010年にはAtticus Rossと共に映画"ソーシャル・ネットワーク"の音楽を手掛け、アカデミー賞作曲賞を受賞。さらに、妻であるMariqueen MaandigやAtticusらと共に新ユニットHOW TO DESTROY ANGELSを結成、アルバム『Welcome Oblivion』(2013年)もリリースしている。そして、同年2013年に活動再開を発表し、ファンを驚喜させたNINは、5年ぶりとなるアルバム『Hesitation Marks』をリリースする。インストゥルメンタルなど、ファン以外はとっつきにくい印象もあった近作と比べると、ヴォーカルのメロディもわかりやすく、エレクトロやジャズなどの表現を用い、なおかつ激しい作品でもなかったので、幅広いリスナーに支持された。ツアーも好調で、ライヴ・バンドとしても再認識され、NINは晴れて完全復活となったのだ。
 
そして、今作『Bad Witch』は、2枚のEP『Not The Actual Events』(2016年)と『Add Violence』(2017年)を経て、3部作の最終章として制作された。全2作がEPだったのに今作がアルバムとなったことだけ考えても、今作に対するTrentのこだわりや自信を感じる。実際聴いてみると、その自信にも納得だ。初っ端から初期のサウンドを思わせる、ノイジーで激しいインダストリアル・ロック・ナンバー「Shit Mirror」に度肝を抜かれた。本当に、こういうNINをずっと待っていたんだ! という感じ。歪んだサウンドに轟音ギターがたまらない。続く「Ahead Of Ourselves」もグランジ的なダウナー感と激しいサウンドで、生っぽいドラムの音にもゾクゾクさせられる。そして、「Play The Goddamned Part」(Track.3)は、少し雰囲気が変わって、不穏なピアノ・リフやパーカッション、ウッド・ベースや効果音的なサウンドも入り交じったアバンギャルドな楽曲。さらに、「God Break Down The Door」(Track.4)は管楽器を取り入れ、ミステリアスなヴォーカルが響く、ちょっと90年後半~2000年代前半のDavid Bowieの世界観とも呼応するような仕上がりだ。そこから、爆音と静寂が波のように繰り返す実験的なナンバー「I'm Not From This World」(Track.5)と、80's的なノリのリズムから入って、後半に突如現れるメロウなヴォーカルが印象的な8分近い楽曲「Over And Out」(Track.6)という、アルバムの前半と後半でまるきりイメージの違う不思議な作品。だが、作品全体を覆う細かいノイズ感まで計算しつくされた、一見無秩序なようで完成されたアルバムなのだ。デジタルでありながら、手に触れるようなリアルな感触、そんな魅力はNINがライヴ・アクトとしての生々しさや生命力を持っているからこそ出せるものなのだと思う。今作を聴いて、この夏の来日公演にも期待が高まるばかりだ。
 

 

▼リリース情報
NINE INCH NAILS
ニュー・アルバム
『Bad Witch』
NIN_jkt.jpg
2018.06.22 ON SALE!!
[The Null Corporation]
HSU-10208/¥2,200(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV
※日本盤は歌詞対訳付
 
1. Shit Mirror
2. Ahead Of Ourselves
3. Play The Goddamned Part
4. God Break Down The Door
5. I'm Not From This World
6. Over And Out

 

▼イベント情報
"SONICMANIA 2018"
8月17日(金) 幕張メッセ
http://www.sonicmania.jp
企画/制作/招聘:クリエイティブマン・プロダクション
 

"SUMMER SONIC 2018"
8月18日(土)/8月19日(日)
東京:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ
大阪:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
※NINE INCH NAILSの出演は8月19日(日) 大阪公演のみ
http://www.summersonic.com

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