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FEATURE

Northern19

2012.12.05UPDATE

2012年12月号掲載

来年で結成10周年を迎えるNorthern19の春夏秋冬シングル4部作がここに完結

Writer 荒金 良介

開口一番、“俺たちのエモーションぶつけていくから、みんなもぶつけていいんだよ!”と笠原(G/Vo)が叫び、ライヴは始まった。4thアルバム『EMOTIONS』レコ発ファイナル・赤坂ブリッツ(11月10日)は、アンコール2曲を含む約2時間に渡る濃厚なパフォーマンスで観客を圧倒した。“迷ったり、楽しめないこともあったけど、9年目にしてこんなにいいアルバム(『EMOTIONS』)ができた。今が1番楽しくて、めちゃくちゃ幸せ。いい曲作って、いいライヴしたい、それだけ・・・・・・”とメンバーは語っていた。その言葉からも何か1つ吹っ切れた、清々しさのようなものを感じた。音楽をプレイできる喜び、それを支えてくれるファンやスタッフの存在に感謝する気持ちなど、ピュアなモチベーションがこのファイナル公演では大爆発していた。
そして、19歳で結成した彼らも来年で結成10周年を迎える。今後もガンガン攻めていきたいと宣言していたが・・・・・・早速、新音源が届いた!なんと、このレコ発ツアー中に曲作り、レコーディングまで済ませたという。それがシングル4部作の最終章になる「WINTER,WINTER」だ。夏、春、秋の順番でリリースしてきたが、今回は表題そのままに冬をコンセプトにした音源である。季節にテーマを絞った過去のシングルは、例えば4thフル・アルバム『EMOTIONS』の作風にも影響をもたらしたように、今作もその可能性大と言えるだろう。これからのバンドの方向性が垣間見ることのできるアイテムとも言える。鈴の音で静かに幕を開ける1曲目「SNOWBLIND」は、まさにNorthern19流クリスマス・ソングだ。2曲目「YES,I CAN FLY」(*第1弾PVはこの曲)は先述したファイナル公演のアンコール1発目に披露され、早くも観客から好リアクションを得ていた。“冬=静かで切ないムード”をいい意味で裏切る高揚感溢れる快走ぶりで迫ってくる。特にサビの突き抜けっぷりやシンガロング必至の合唱フレーズもキャッチーで、ライヴを意識したパーティー感が心地いい。驚くのは突如挟まれた3曲目「SO SICK」だ。かつて宇多田ヒカルとデュエット曲を発表したことがある、米R&B界のスーパースター・Ne-Yo(ニーヨ)の楽曲を取り上げている。その斜め上を行くカヴァー・センスにまず脱帽。しかもメロディの良さを最大限に活かした上で、パンク風にうまく調理され、これがめちゃくちゃハマッているのだ。4曲目「ITSUKA」はアコースティック・ギターが効果的に響くミドル・テンポの曲調で、滋味溢れる仕上がりになっている。素直な心情を曝け出したフォーク・ソングを彷彿とさせる歌詞(訳詞)も実に良く、これまでなく飾らない彼らの姿にドキッとしてしまう。
今作はNorthern19が持っているポップ、メロディ・センスに対する嗅覚なるものが遺憾なく発揮された音源だ。いいメロディさえ楽曲の中枢にあれば、どんな曲調でも乗りこなせる。そんな自信さえ窺わせる、バラエティ豊かな楽曲が揃った。最後にどの曲をシングル・カットにしてもおかしくない楽曲クオリティなので安心して、いや、興奮して聴いてもらいたい。手放しで絶賛したくなる会心の1枚だ。

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