－Mysterious Priestessはメロディック・デス・メタル・バンドですが、楽曲からはメタル以外の様々なジャンルからのフィードバックも感じます。影響を受けたバンドや目標としているアーティストを教えて下さい。

1番影響を受けているのはENSIFERUMやWINTERSUNといったヴァイキング・メタルです。もう1回聴いただけでヴァイキングや北欧の神話の世界観がブワーっと伝わって来て衝撃を受けました。歌詞は何を言っているかわかりませんでしたが、音の情報だけでファンタジーの世界に連れていかれたので、どっぷりのめり込みましたね。他は、ざっくり言うとジャズに影響を受けています。音楽の新しい価値観を追求・研究しているミュージシャンが山ほどいて刺激になります。主にWayne Krantz、Ben Monder、Ari Hoenig、Tigran Hamasyan、David Binneyなどが好きです。彼らの作曲法、音楽論に感化されることが多いです。

－たしかにフリー・ジャズ的な即興性を感じる展開も多く、またDjentスタイルやプログレッシブ・ロックにも近いとも感じました。そのあたりのジャンルも意識しているのでしょうか？

最近のDjentムーヴメントには少なからず影響は受けています。やはりMESHUGGAHの存在は大きすぎて......無駄な変拍子を用いずに、単純に4か3拍子のうえでポリリズムなリフを延々と繰り返して大きなグルーヴを生み出すというアイディア、コンセプトは本当に最高です。まるで算数の割り算をしながら演奏する（笑）、そのコンセプトが現代のジャズ界にも影響をもたらしているようです。彼らのように、ジャンルを越えて相互的に刺激し合えるようなバンドを目指したいと思っています。

－本作では、数多くのゲスト・ミュージシャンが演奏していますが、どういった経緯の参加だったのでしょうか？

大学時代の先輩、同期たちです。各々同じ学校でクラシックやジャズ、ロックを学んでいました。今回声を掛けたらみんな快く引き受けてくれました。特にドラムの伊吹文裕さんはO.P.P.A.I.というバンドを一緒にやっている仲です。なんとアニメ"メカクシティアクターズ"のオープニング・テーマ「daze」を叩いているすごい方でもあります！ でも普段のプレイはとっても渋いんです（笑）。

－"Metal Battle Japan 2013"に優勝し、ドイツで行われた世界最大級のメタル・フェス"Wacken Open Air 2013"に出演したときのことを振り返っていただいてもよろしいでしょうか？ かなり貴重な経験になりましたね。

貴重すぎる体験でした。5,000人近くの観客の前で演奏するってことはまずないし、近くのメイン・ステージでDEEP PURPLEやRAMMSTEINがやっていたなんて信じ難かったです。DEEP PURPLEのときはステージ裏を見ることができました。今度は絶対メイン・ステージに立つとみんなで誓いましたね。

－話は変わるのですが"クリエイティブ・モッシュ"とは何なのでしょうか？

どこからそのワードを知ったのですか（笑）。バンドを始めたころから仲の良かった"かえるはかせ"というヴォーカリストがいまして、彼が生み出した"宗教モッシュ"が身内で流行ったんです。それは頭上で両手を合わせて荒々しく振る動きなのですが、偶像を崇拝しているかのように見えるので"宗教モッシュ"。そこからさらに自由化してきて組体操したり振りつけを考えたり座りながら悩んでみたり、逆にブレイクダウン中にフロアの真ん中で一切動かないとか。それらの共通項は"物理的には痛くないモッシュ"ってことです。そして私が総称して"クリエイティブ・モッシュ"と呼びました。以前は対バンの演奏を観ながらやっていましたね。まあ身内でただ盛り上がっていただけでまったく深い話ではないです（笑）。

－8月からのロング・ツアーが決まっていますが、ツアーへの意気込みをファンに伝えてください。

いやーもうそれはドキドキです。こんなニッチなメタルを好きな方がどれだけいるかなと。でも99.9パーセントは楽しみにしています！

－今後のバンドとしての活動プランは決まっていましたら教えてください。

8月15日に新宿WildSide Tokyoでレコ発があります。そのあとにツアーで、終わったらまた楽曲制作期間に入りたいです。上手く進められたら年内に新曲をネット上に公開したいですね！ 目先の目標としては『夢国ノ義士』をいろんな人に聴いてもらって、こんなアプローチをしているメタル・バンドがあるということを知ってもらえたら嬉しいです。

－最後に、激ロック読者にメッセージをお願いします。

ぜひともクリエイティブ・モッシュしに来てください。お待ちしております。