GOROD : Mathieu Pascal (Gt) Julien "Nutz" Deyres (Vo)
Interviewer : 米沢 彰
-また、あなた方にとってOBSCURA、THE FACELESSの2つのバンドはどのような存在なのでしょうか。
M:どちらもミュージシャン、バンドとして素晴らしくて、且つ人間としても良い奴らっていう共通点があるね。彼らとツアーできたことは楽しかったし、誇りに思ってるよ。実はTHE FACELESSの音源はツアーする前はちゃんと聴いたことなかったんだ。だから俺自身、彼らを知って凄く驚いたよ。CDの音源で聴くと、ちょっと冷たいイメージがあるんだけど、ライヴで聴くともっと音楽に人間性が感じられて本当に圧倒された。それに演奏も本当に完璧だったからね。OBSCURAについては、ちょっと違っていて、彼らの音楽は既に良く知っていたんだよね。真のプロって感じだし、ショーは常に非の打ち所がないバンドだよ。
J:俺はOBSCURAもTHE FACELESSも今の世代で超最高レベルのテク・デス・バンドだと思う。タイトな演奏、それからメロディとブルータリティが合わさった感じがMONSTROSITYの『Millennium』を髣髴とさせるよね。このアルバムは、このジャンルのマイルストーンだから。
-今回のプロデューサーは同じフランスのFrederic Elmobo Motteという方ですが、彼はどのようなプロデューサーなのでしょうか?
M:Elmoboは俺たちの古い友人なんだ。彼もボルドーに住んでいて、彼の手がけた作品も良く知っていてね。この作品で俺は初めてプロダクションの責任者を担当しなかったんだ。彼を選んだ理由は、誰か知っている人が良かったっていうのがあるね。知り合いの家の部屋でドラムを録音して、それ以外は俺のスタジオ、Elmoboのコンクリート・スタジオ、ロックスクール・バービー・スタジオを使って録ったんだ。レコーディングやミキシングをし始めたのが11年の10月で終わったのが12月だったね。みんな別の仕事があるから、もちろん実質2~3週間しか時間は取れてないんだけど。その段階でOBSCURAとのツアーが決まったもんだから、慌てて進めたんだよね。彼は耳が凄く良くて、それに素晴らしいアドバイスをたくさんくれた。それに何よりも非常に協力的だったんだ。
-今作よりヴォーカルとギタリストが交代しましたが、どういった経緯でメンバー・チェンジに至ったのでしょうか?
M:ヴォーカルのGuillaumeとギターのArnaudは個人的な理由で10年の夏にバンドを脱退した。バンドをやっていたら自分たちのまともな生活ができないというのが理由なんだけどね。Guillaumeは自分の仕事をするために、Arnaudは持病でツアーを周ったりするのが難しいという理由だったんだ。彼らは2人とも素晴らしいミュージシャンだったし、バンドを去った理由も理解しているんだ。そして2010年夏にCATTLE DECAPITATIONやBEYOND TERROR BEYOND GRACEとツアーしている時にJulienが加入した。彼は過去に何度か代わりにヴォーカルを担当していたことがあったからヴォーカルとしても人としても信頼していたんだよね。Nicolasが加入したのはもう少し後だったんだ。何人かのギタリストに入ってもらって試していた期間があったからね。彼はミュージシャンとしても性格も良かったから10年11月に正式加入となった。JulienはGuillaumeよりもヴォーカルとしてできることが幅広いんだ。だからデス・メタルにありがちな単調なヴォーカルのバンドっていう枠から脱却することができるんだよね。Nicolasの若さと意欲はバンドを盛り上げる。演奏自体は俺より上手いと認めないといけないだろうね(笑)。この2人が入ってバンドが完成したと感じられるよ。
-新ヴォーカルとギタリストの経歴を教えて下さい。
M:Julienは2つのバンドに所属していて、1つはZubrowska (Samはこのバンドにいたことがあるんだ)で、CONVERGEとTHE DILLINGER ESCAPE PLANの間みたいな感じのバンド。もう1つはWONDERBARで、FOO FIGHTERSやQUEEN OF A STONE AGEみたいなバンド。このバンドではギターを弾いてるんだ。彼は美術史専攻の学生でもあるんだ。Nicolasは若くて才能のあるギター・プレイヤーだよ。彼はメロディック・スラッシュ・メタルバンドのARCANIAでもプレイしてる。過去にはシンフォニック系のバンドにも所属してた。俺もだけど、彼もギター講師をしているんだ。
-特に影響を受けたミュージシャンをロック、メタル・シーンから、とジャズ・シーンからとそれぞれ教えて下さい。
M:メタルで言うと90年代のものかな。DEATH、CARCASS、CORONER、それからギター・ヒーロー系!それから70年代のプログレッシヴ・ロックやラテン・ジャズ系のロック。CHICK COREA、KING CRIMSON、MAHAVISHNU ORCHESTRAとかだね。

A Perfect Absolution
Price: ¥ by Amazon | Release :最近、フランスのデス・メタル/デスコア・シーンがアツい!オリジナリティもテクニックも併せ持ちながら、何より音源のクオリティが高いバンドが続々と日本に入ってきている。このGORODもその中の1つ。ワインの産地として有名なフランスはボルドーの出身ということだが、その出自とは全く無関係なゴリゴリで超絶テクニカルなデス・メタルがたっぷり詰まった1枚を作りあげてしまった。かなりハイレベルでプログレしてるのだが、その一方でデス要素もたっぷり、とこの手のサウンド好きには堪らないポジションをしっかりと狙ってきているのが憎い。OBSCURA、THE FACELESSのギタリストをゲストに迎えるなど話題性も十分!ボルドー産のこの銘柄、要チェックです。 米沢 彰