GOROD : Mathieu Pascal (Gt) Julien "Nutz" Deyres (Vo)
Interviewer : 米沢 彰
-あなた方の楽曲はかなり振り幅の広いサウンドですが、どのようにして作曲しているのでしょうか?突如ジャズの世界に突入したり、メタルでは使われないような打楽器が出てきたり、かなりバリエーションが豊富で驚かされます。
M:俺はまず曲のテンポを決めることが多い。過去になかったテンポを使ってみたり、他の曲とのバランスを考えて決めたり。テンポが違えばドラム・パターンが変わってくる。そうするとギターのテクニックも変わってくる、っていうように曲にバリエーションが生まれるんだ。テンポが決まったら、それに合うリフを考えて、ベーシックなドラム・パターンを合わせてみる。ここでクールなグルーヴができたら、ここから構成を考える。イントロ、メロディ、サビ、メロディ、サビ、みたいな感じでね。ただ、こんな風に昔ながらの構成にならない曲もあるんだ。だから毎回同じと言うわけじゃないんだけどね。俺が曲を書いて、ギター2本分を録音して、ドラム・マシンでドラム・パターンを録音して、Nicolas(Gt)とBen(Ba)に渡すんだ。そこからBenもしくは俺がベース・ラインを書いて、そこからSam(Dr)含めた全員が参加して曲を完成させていく。Julienは歌詞を全て書いているよ。『A Perfect Absolution』では物凄く短い期間に曲を書いたんだよね。11年の5月から9月の間に全部書いたんだ。その前のアルバムは2年越しでの収録曲とかあったのにね。
-プログレッシヴ・メタルはひたすらテクニックを追求した難解なサウンドとなりがちですが、あなた方はテクニックを追及しながらも、Track.6「5000 At The Funeral」のイントロなど時にエモーショナルに展開し、より楽曲の構成に深みを持たせているように感じました。作曲のプロセスではどういったことを意識して楽曲を組み立てているのでしょうか?
M:そうだね。俺は音楽はリスナーにとってエモーション(感情)を伝えるべきものだと思っているからね。エモーショナルでないとリスナーの心は掴めないと思うんだ。メタル、特にデス・メタルでは、表現する感情が憎しみや怒りだけに偏りがちだけどデス・メタルでもいろいろな感情を伝えるべきだと思っているんだ。例えば喜びや情熱、前向きな感情もね。悲しみや攻撃性だけでは面白くないよね。もちろんメインはそういう感情になるわけだけど。
-ツイン・リード・ギターのエモーショナルなメロディが印象的ですが、ギタリスト2人のどちらが主にギターのメロディ・ラインを書いているのでしょうか?
M:うん、さっき言ったようにメインで書いてるのは俺なんだけど、Nicolasも素晴らしいギター・ソロを書いたりするよ。俺は全部自分が書きたいっていうわけじゃなくて(笑)、良いアイディアがあればそれを採用したいし、みんなと相談しながら作っているんだ。
-今作の制作にはゲスト・プレイヤーとして、OBSCURAのChristian Muenzner、THE FACELESSのMichael "Machine" Keeneが参加したとのことですが、どのような経緯でゲスト参加が決まったのでしょうか?
M:特に彼らを説得するのに特別なことはしなかったんだけどね。ただ丁寧にお願いしただけだ(笑)。Christianとはフェスで良く会ったりしていて、彼は本当に良いヤツだし、彼がやってる音楽も大好きなんだよね。OBSCURAのメンバーが以前俺たちをツアーに連れて行ってくれたりしていてつながりがあったから、ゲストで出てもらうのもスムーズだったよ。俺たちがやったことは、彼に好きなことをやってもらうスペースをあげたっていう、それだけのことだったんだ。彼が絶対に素晴らしい仕事をしてくれるって分かってたからね。ジャジーなスピード・ソロが曲にぴったり合っていて、俺たちの想像以上出来映えだったんだ。THE FACELESSは去年一緒にツアーして1ヶ月一緒に過ごしたんだけど、本当に素晴らしいツアーだった。俺たちにとってはじめてのちゃんとしたヨーロッパ・ツアーで、一緒にツアーしたのが本当に有意義だった。彼らは演奏も卓越してるけど人間的にもナイスな奴らなんだ。Mikeは本当に才能豊かなギタリストで作曲家なんだよね。それに俺たちと受けた音楽的な影響も似ているんだ。エモーショナルで美しいギター・ソロを「The Axe Of God」で弾いてくれているよ。

A Perfect Absolution
Price: ¥ by Amazon | Release :最近、フランスのデス・メタル/デスコア・シーンがアツい!オリジナリティもテクニックも併せ持ちながら、何より音源のクオリティが高いバンドが続々と日本に入ってきている。このGORODもその中の1つ。ワインの産地として有名なフランスはボルドーの出身ということだが、その出自とは全く無関係なゴリゴリで超絶テクニカルなデス・メタルがたっぷり詰まった1枚を作りあげてしまった。かなりハイレベルでプログレしてるのだが、その一方でデス要素もたっぷり、とこの手のサウンド好きには堪らないポジションをしっかりと狙ってきているのが憎い。OBSCURA、THE FACELESSのギタリストをゲストに迎えるなど話題性も十分!ボルドー産のこの銘柄、要チェックです。 米沢 彰