ほとんどのバンドはポップかロック、どちらにするかを選ぶ。イェーテポリ出身のDEAD BY APRILは、その代わりに2つのジャンルの間の境界線で活動することを選んだ。このことは、彼らが9月に2ndアルバム『Incomparable』をリリースすれば、よりハッキリする筈だ。
チーフ・ソングライターの1人であるPontus Hjelm(Gt)は、“サウンドは相変わらずオレたちなんだけど、ソングライターの視点から、もっとそれを広げ、発展させようとしたんだ。つまり、以前と比べてよりポップに、よりメタルに、ってことさ”と説明する。バンドのもうひとりのメイン・ソングライター、Jimmie Strimell(Vo)も“荒々しく聞こえるけど、それでもすごくポップなんだ。R&Bにどっぷり浸かったようなサウンドさえあるよ”と言う。

09年のパワフルな大進撃の後、グループに起こった変化の最初の兆候は、今年5月にEP『Within My Heart』がリリースされたときに明らかになった。新曲はたんに長らく待たれていたDEAD BY APRILの歌、というだけではなかった。それは、バンドがメンバー・チェンジを含む波乱に富んだ2年間のあと、今やふさわしい形態を見いだしたことの印でもあった。バンドの創立者であるPontusはいったんバンドを脱退したあと再び復帰した。彼らの次なるアルバムを完成させるためのすべてのピースが、ついにふさわしい場所に落ち着いたのだ。

DEAD BY APRILの大進撃はスウェーデンのロック史においてもっとも目覚ましい事件のひとつだ。内輪でしかほとんど知られていなかった存在から、数週間のうちにその国でもっとも人気のバンドのひとつになってしまったのだから。

彼らの成功の理由として、ひとつにシングル「Losing You」がTVシリーズ『Robinson』(アメリカのリアリティ番組『サバイバー』のスウェーデン版)のトレイラー・ソングになったことがある。また、彼らが(当時)大変な影響力のあったmyspaceコミュニティに信じられないほどの衝撃を与えた、ということもある。彼らの所属レーベル,ユニバーサル・ミュージックはポップ・ミュージック最大の人気者たちを擁しているが、DEAD BY APRILはmyspaceのあらゆる記録を破ってしまった。“オレたちがなぜmyspaceであんなにうまく行ったのか実際よくわからないんだけど、オレたちはリハーサル・ルームで仕事をしているときと同じくらいあそこでも必死に頑張ったからね”とPontusは言う。しかし、つまるところいちばん大事なのは、彼らにはサウンドがある、ということだ。それもユニークなサウンドが。

その結果、「Losing You」は2009年5月、スウェーデンのシングル・チャートの首位に駆け上った。セルフ・タイトルのデビュー・アルバムはその月の半ばにリリースされ、GREEN DAYの『21st Century Breakdown』に続いてチャートの2位に入った。それから2年経って、“あまりにあっという間に起こったから、その瞬間現実的でいるのはむずかしかったんだ”と、バンドの中に存在したテンションについて振り返って説明しながらPontusは言う。“あれには消耗したよ。だけど、オレたちのサウンドに影響はなかった”とJimmieが補足する。

バンドは駆け足でツアーを行ない、イギリス、ドイツ、日本のような国でもレコードがリリースされた。JimmieはDEAD BY APRILでもっともクールな体験を訪ねられて、こう答えた。“日本だね。もう一度あそこでプレイしたいな!12,000人もの前でプレイするなんて、えらいクールな気分だったよ。信じられないくらいさ。ソニスフィアのショウもすごくクレイジーだったね。ほとんどウソみたいだった”

今や世界的にバンドの音楽やニュースを求める声はものすごく、それがfacebookのバンドのページのコメント欄にも反映されている。Jimmieは言う“オレたちがすごく地に足がついていることを外国のファンは高く評価しているようだ。ショウのあとで一緒に過ごしたりしてるからね”。

ニュー・アルバムでは、他にもRAMMSTEINなどを手掛けているJacob Hellnerがプロデュースを担当している。Pontusはこの上なく満足しており“オレたちは歌やプロダクションにものすごく満足していて、新作は間違いなく前作をはるかに凌いでいると思ってるんだ”と語る。

アルバムが9月にリリースされるのを前に、DEAD BY APRILは7月にストックホルムに上陸する移動型ロック・フェスティバル、ソニスフィアの夏バージョンなどを含むいくつかのフェスティバルに登場する。

DEAD BY APRILは、これまで通りJimmieがマイクを取って独特のスクリームとヴォーカルを聴かせる。ヴォーカル面で彼のバックを務めるのはZandro Santiagoだ。Pontusがギター、Marcus Wessienがベース、そしてAlexander Svenningsonがドラムという布陣だ。

DEAD BY APRIL──5月に再生し、9月までに絶好調に。もっとも人気のバンドのひとつが、途方もないポップ・コーラスとメタル・フォースを引っさげて戻って来るのだ。

※Pontus Hjelmは、2010年4月に“作曲活動に専念するため”バンドを脱退。しかし“脱退後もDEAD BY APRILの為に曲を書くことは続けたい”としている。最新作『Incomparable』でも制作に参加し、現在もツアー・メンバーとしてDEAD BY APRILと共に活動している。