インタビュアー MAY-E / アーロン(COPELAND,Vo)、スティーブン(ANBERLIN,Vo)


-来日おめでとうございます!アンバーリンの皆さんは初来日ですよね。初めての日本の印象はどうですか?

スティーブン:素敵な文化の国だよね。人々も温かいし、それに街もきれいだ。僕の住んでるニューヨークなんかとは比較にならないくらいだよ。もっと長く滞在したいね!今回は6日間しかいれないんだ。COPELANDみたいに何週間も滞在してみたいよ。各地を巡って観光したいね!

-コープランドの皆さんは日本にはいつ到着したのですか?

アーロン:昨日ついたばかりだよ。

-観光などはされました?

アーロン:昨日、着いたのが遅かったんだ。今朝渋谷のまわりをちょっと歩いたくらいで、その後はもう会場入りだったよ。

-アンバーリンの皆さんは、一足早く来日してフェス「ジャパン・コーリング・2007」に参加してましたね。そのフェスでのライブが日本で最初のライブになったわけですが、どうでしたか?

スティーブン:ほんとに凄かったよ!世界の反対側にきてライブができるなんてほんとに信じられないし、日本に来れるだけで感謝の気持ちでいっぱいなのに、盛り上がってくれてとても嬉しかったね!

-日本のバンドと交流することはできましたか?

スティーブン:日本の出演者とは話す機会があまりなかったんだよ。僕らも日本にきて、いいライブを見せるために色々必死だったからね。

-では今回、どういういきさつでコープランドとアンバーリンのカップリングツアーが決定したのですか?

アーロン:まず僕らは出身地が同じなんだ。知り合ったのは12年くらい前かな。マネージャーも一緒だったこともあって、いつか一緒に面白いことがやりたいと思っていたんだよね。例えばUKツアーとかオーストラリアツアーとかね。それが最終的に日本・シンガポール・オーストラリアを廻ることになったんだ。

-12年も前だとCOPELANDもANBERLINも結成する前ですよね?

アーロン:そうだね。同じ地元のシーンの中で、お互い違うバンドをやってたんだよ。

-では、まずコープランドの皆さんへ。前回のツアー時、何か思い出に残ってる出来事ってありますか?

アーロン:そのときのツアーが初めての日本のツアーだったからね。日本の文化と、自分達のアメリカの文化との違いに衝撃を受けたのを覚えているよ。日本人の人との接し方とかに、お互いを気遣っているのが感じられて、アメリカと違って謙虚さがあるなってすごく思ったよ。

-では音楽の話に。ファーストアルバムでは透明感のあるサウンドで、セカンドアルバムへは楽器隊が前面に浮き出たよりロックなアルバムになりましたね。特にドラムの聴こえ方が大きく変わったように感じますが、ファーストアルバムリリース後に、ドラマーが前任のドラマーから現在のドラマー・ジョンにチェンジしているのですが、このサウンドの変化にやはりジョンの加入が関係しているのでしょうか?

アーロン:そうだね。だけど自然な変化ももちろんあるよ。メンバーそれぞれがライブやツアーを重ねていく中で、それぞれ演奏もうまくなっていくだろうし。そういったお互いの演奏のやりとりの中でバンドの結束力も強くなっていったしね。だけど、確かにジョンの加入によってバンドに大きな変化がもたらされたものもあるだろうね。彼がもっていたグルーヴ感なんかをバンドに持ち込んでくれたっていうのは確かにあるね。

-サードアルバム「イート、スリープ、リピート」ですが、アートワークもこれまでと全く雰囲気の違うものですね。

アーロン:今回のアートワークを手掛けてくれた人なんだけど、僕らがまだ作ってる途中の曲を送って聴いてもらったんだ。そしたら絵を書いて送ってきてくれたんだよ。で、その絵を見て僕らもまた曲を作って・・・そういうやりとりを何度かしていたんだ。つまりアルバムの音楽的な部分を仕上げる作業と、アートワークを作る作業っていうのが同時進行で行われたんだよ。お互いに刺激を受けながら作業をすすめることが出来たんだよね。

-このアルバムのテーマは何ですか?

アーロン:テーマとかコンセプトみたいなものは特にないと思うんだよね。でも共通する雰囲気や感化は、「眠れない夜」とか「人生に感じている違和感」とか、「何か大切なものを探しているような気分」みたいなものだよ。

-曲調というより、音そのものや、音の響き方が今までとガラっと変化したように感じました。

アーロン:同じスタジオで同じエンジニアにやってもらってるから手法として変わったことはしていないんだけど、楽器の使い方についてはアプローチを変えたんだ。ギターなんかもつまらないな、と感じたものは思い切って切り捨てて、今作ではその代わりにストリングスとか、変わった楽器なんかを取り入れたからね。そこで変化が生まれたのかもしれないな。

-驚いたのはメロトロン(アナログ式の録音再生サンプラー)を使用していることです。最近メロトロンを使用しているアーティストは少ないとおもうのですが、まず、誰のアイディアでこの楽器を使用することになったのでしょうか?

アーロン:あの楽器を紹介してくれたのはプロデューサーだったかな。たしか数年前だったと思う。5年前の最初のレコーディングの時だ。メロトロンの独特な音質にとても魅力を感じたんだ。アコースティックな感覚でね。それで今回使ってみることにしたんだよ。

-そのメロトロンは思ったタイミングで音が出なかったりと、なかなか扱いづらい楽器のようですが、アーロンはライブ中も使用するのですか?

アーロン:答えはノーだね(笑) ライブではメロトロンは使わずに、ピアノとギターだけだよ。

-曲を作るときは何にインスパイアされることが多いですか?

アーロン:友達だったり家族だったり・・・あとはアートな作品を観たときとか、映画とか他の人がやってる音楽とか、触発されるものはなんでもだよ。それが曲の中のたったワンフレーズに繋がってきたりするかもしれないからね。

-2004年にカバーアルバム「Know Nothing Stays the Same」をリリースしていますが、ベルリンやスティービーワンダーなどはあなたたちが影響を受けたアーティストということなのでしょうか?

アーロン:あのアルバムでカバーしたアーティストっていうのは全て自分達が子供の頃にずっと聴いてきたポップ・ソングなんだ。自分が最初に聴いて覚えたポップ・ソングも、そのEPに収録されているCarly SimonのComing Around Again だったんだよ。あのEPは全て昔聴いてきたポップ・ソングをカバーするっていう企画だったんだよね。

-あなたたちは、今のエモ・シーンをリードする大きな存在となりましたね。美しいメロディーを奏でる若手のエモーショナル・ロック・バンドの比喩に、コープランドの名が使われているのをよく見ます。エモ・バンドの代表格になってきた証だと思いますが、何か実感するようなことってありますか?私もよく「COPELANDのような」とか「COPELANDのファンにおすすめ」とか使っているのですが。

アーロン:ほんとに?それはどうもありがとう!そうやって比喩で使われるってことは、自分達の音楽を理解してくれて、特徴をつかんでくれてるということだからね。そんな風に使ってくれるなんてすごく光栄だよ!アメリカではそんなことは全く無いからね、日本だけだよ(笑)
一同:笑

-それではアンバーリンの皆さんへ質問します。まずはバンド結成の経緯を教えてください。

スティーブン:みんな地元が一緒で、昔はそれぞれ違うバンドで活動していたんだけど、いつだったか「一緒にやりたいね」って意気投合したことがあって、それで2003年に結成することになったんだよ。

-バンド名の由来は何でしょう?

スティーブン:ヨーロッパでバッグパッカーで行くならどこがいいかなぁって考えてた時に、バルセロナとマドリードに行きたいな・・・、あとベルリン(And Berlin)。っていう感じかな(笑)
一同:笑
スティーブン:それが由来だよ。訊かれたらこう答えることにしてるんだよ(笑)

-バラード曲、ポップな曲、エッジの利いた曲、様々な曲調がアンバーリンの楽曲に存在しますが、楽曲は主に誰が作っているのですか?

スティーブン:ジョーイがおおまかに曲のベースを作ってくるんだ。そこにそれぞれのメンバーが楽器を持ち寄って肉付けをしていく。で、そこに僕が歌詞を乗せていくんだ。

-特にサードアルバム「シティーズ」では、新しい試みも沢山見受けられますね。シンセサイザーを取り入れた「There Is No Mathematics to Love and Loss」はもともと持っている音圧にさらにシンセサイザーが加わることで、よりグルーヴ感が増していてとても気に入っています。シンセサイザーを取り入れようと思ったのは?

スティーブ:「シティーズ」は3枚目ってのもあって、もっと実験的なことがやりたいと思ってたんだよ。バンドが成長してきているのもあったしね。前の2枚とは違うものが作りたかったんだ。だからシンセサイザーもそうだし、あとはストリングスとか、男声合唱とか、いろんなことに挑戦してみたんだよね。

-アルバム最後の「Fin」ですが、10分にも及ぶ大作となった経緯は?

スティーブ:僕達はインストの曲もとても大好きなんだ。この曲を作りはじめたときから、この曲はアルバムの最後に収録しようってひらめいたんだ。すごく大きなスケール感のある曲にしたかったんだ。だからあの曲は、編集で小さくまとめちゃうんじゃなくて、どんどん音を重ねて積み上げていった結果なんだよね。

-Anberlinの過去2枚のアルバムではエッジの効いたサウンドを提供してくれましたね。今作ではそのエッジが増している一方で怒りなど「負」の感情が出てきているように感じましたが。

スティーブ:今作では今までで最も内省的な作品に仕上がっていると思う。ほとんどの曲は僕自身の内面について書いたものなんだ。外部の環境や人間関係じゃなくてね。そんな風に自分の内面を掘り下げていくと・・・暗く闇のようなものが精神の奥深くにだんだん見えてくるんだ。僕が思うに、怒りとは違うかもしれない。だけど君のいうとおり確かにエッジが効いているね。

-「Godspeed」が持つ曲の背景を教えてください。

スティーブン:この曲は「麻薬」についての歌なんだ。だから「白い線」とか「黒く焦げたもの」っていう表現が出てくるんだよ。ロックの歴史を見ると、素晴らしい作品を作っているアーティスト達でも、だんだんとエゴが出てきて自己中心的になってきて、最後は麻薬に走ってしまう。そして命を落としてしまうんだ。そんなことがあると、リスナーの立場から見れば「もしあの人が生きていれば、ひょっとしたら次にもっといい作品を作っていたかもしれないのに」って思ってしまうよね。「詩の美しさ」とか「ギターの素晴らしさ」とか、それが麻薬で死んでしまうことによって全て盗まれてしまったような感覚だよ。その気持ちを歌った曲なんだ。ドラッグの持つネガティブな部分のね。本人達もそうだし、リスナーやファンも麻薬というものを神格化してしまいがちだから。反・ドラッグとまでは言わないけど、自己中心的な方向に走ってしまう人への想いがこの曲にあるんだ。

-激ロックでDjをするときにも、アンバーリンの曲をよくセレクトしているのですが、セカンドアルバムの「Paperthin Hymn」や「Day Late」は特に人気があります。今日のライブでやってくれますか?

スティーブン:うん、もちろんやるよ!

-それでは、皆さんへの質問に移ります。まずお互いの作品についてどうお考えですか?

(スティーブンがCOPELANDのアルバムを投げる素振りをする)
一同:笑
アーロン:僕らはお互いのことを尊重しあっているよ。僕らは音楽のスタイルも違うし、ファン層も違うと思う。にも関わらずこうしてお互いのスタイルを尊重して共演できるのはありがたいよね。
スティーブン:僕らANBERLINは、COPELANDから影響を受けた部分がかなり大きいんだ。例えば、今回のアルバムではストリングスを導入しているけど、もしCOPELANDと出会っていなければ、使おうと思わなかったかもしれない。彼らが実践してくれたことで、新しい可能性に気付くことができた。あと個人的にはアーロンの声が大好きなんだ!今回レコーディングでも共演できたことはとてもいい経験だった。そんな具合で、お互いの音楽に敬意を持って接しているよ。

-あなたたちの地元であるフロリダのエモ・シーンって、今どんな盛り上がりを見せているのですか?

スティーブン:今は東京にいるけどね(笑)
一同:笑
アーロン:そうだな、すごくいいバンドはまだまだ沢山いるよ。特に僕らの出身のフロリダの中部では、最初にいいベニューが出来ると、若いバンドたちもそこでプレイしたいと思って、目的意識が芽生えて活性化されて、どんどんいい曲、いいバンドが増えてくるようになってきてるね。2年前にいいベニューが出来たんだけど、そこでもいいバンドがたくさん出てるんだよ。
スティーブン:僕の友人なんだけど、アンダーオースとかエステイツってバンドはどちらもすごくいいバンドだよ。

-音楽を通して、伝えていきたいメッセージはなんでしょうか?

アーロン:僕にとって音楽は「人を動かすもの」「人に訴えかけるもの」だと思うんだ。特別なメッセージっていうよりも、僕らの音楽を聴くことで家族とか愛している人とかのことを考えたり、自分の人生を振り返れるような時間を与えることが出来ればいいなと思うよ。その日一日のサントラになってくれればすごくいいな。
スティーブン:聴いてくれた人の夢や情熱の力になればいいと思うな。今作では、自分のソウルは何なのかってことを考えてやってたんだけどね。

-帰国後の皆さんの予定は?

アーロン:1ヶ月オフをもらったあと、レンタルズと一緒にアメリカツアーに廻る予定だよ。
スティーブン:6日オフのあとは、ワープトツアーに出て、そのあとはメキシコツアー。そのあとはベイサイドと一緒にヨーロッパを廻って、そのあとアメリカに戻ってきてまたツアーだよ。

-インタビューありがとうございました

スティーブン:Thank you!
アーロン:アリガト!

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album COPELAND / Eat Sleep Repeat
¥2,500(税込) HWCY-1229
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album anberlin / Cities
¥2,300(税込) HWCY-1250
artist official site
http://www.anberlin.com
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