-2004年のバンド結成からファースト・アルバム『End Of Silence』のリリースまで非常に早かったですね?なぜここまでスムーズにことが進んだのでしょうか?
プロデューサーのRob Graves と出会ってからの2年間、ひたすら曲を書いて、スタジオに入って、何度も何度も書き直したりして、練りに根って一枚のアルバムを完成させていったんだ。対外的にはスムーズという風に見えるのかな?ロブが俺たちの才能を認めてくれたことが大きかったと思う。
-2004年RED結成以前はみなさんは他のバンドで活動していたのでしょうか? メンバーそれぞれどのような活動をしていたのか教えてください。
RandyとAnthonyのArmstrong兄弟はそれぞれナッシュヴィルのショッピング・センターで別々の洋品店のマネージャーをやっていた。当時僕たちが住んでいたビルの隣に、すごいデカいショッピング・モールがあったんだ。シンガーのMichaelは病院で看護師として働いていたし、僕はレコーディング・スタジオで働いていたんだ。
-では、バンド活動をしていたメンバーは一人もいなかったんですか?
Randy、Anthony、それにMichaelは、子供の頃からそれぞれ別のプロジェクトでいろいろやっていたんだ。そして、REDは僕を入れて始めた新しいプロジェクトだった。僕も子供の頃にはバンドをやっていたけど、それからREDを結成するまで10年近くやっていなかったんだ。
-「RED」のバンド名の由来を教えてください。
あれは、僕たちがやったプロセス中最悪のものだったな。かなりのストレスだったよ。とにかく、バンド・サウンドを象徴するような名前にしたかったんだ。単なる総称的なものではなく、意味や深みがあるものにしたかった。それに、「RED」と言う名前は覚えやすいし、同時に僕たちの音楽を如実に表わしていると思う。“赤”というのは命、血の色だし、怒りの色でもあるし、愛の色でもある。すごくいろんなものを象徴している色だから、いろんな要素が詰まった僕たちの音楽を表わしている。それで、「RED」に決めたんだ。僕たちのサウンドを如実に表わした色なんだよ。
-シンプルでクールな名前だと思いますが、Googleなどの検索エンジンでは見つけづらい、と言われませんか?(笑)
Googleで検索するのは不可能だよ!特にアメリカ以外のオーディエンスにとってはね。だからこそ、このバンド、このプロジェクトのことを見つけてくれる人たちはすごいと思うんだ。海外に行っても、僕たちの曲の歌詞まで知ってくれている人がいるんだもの。でも、しかるべきところにアクセスしないといけないんであって、偶然見つけることはなかなか出来ないんだ。これって諸刃の剣で、ユニークなオーディエンスが集まって来てユニークなものが生まれることにもなるけど、ただGoogleで普通に検索して情報を得ようとしてもなかなか出来ないんだよ。
-セカンド・アルバム『Innocence & Instinct』リリースおめでとうございます。 ファースト・アルバム『End Of Silence』がヒットしましたので今作を作る上でのプレッシャーもあったのではないでしょうか?
どのバンドにも言えることだと思うんだけど、ファーストはそれまでの人生をかけて制作できる。それに対して、ファーストの成功が大きければ大きいほど、セカンドは限られた時間で作らなければいけなくて、俺たちの場合もそうだった。ツアーバスの中やホテルの部屋でセッションをしたり、、、。だからプレッシャーを感じるような瞬間はなかったと思う。
-あなたがたのサウンドの特徴の1つにドラマティックで壮大なストリングス・アレンジが上げられると思います。このストリングス・アレンジはライヴではどのように再現されるのでしょうか?
ピアノ・パートやギター・パートで再現することもあれば、多くのバンドがやるようにバッキング・トラックを流すこともある。だから、ストリング・セクションが入っているところはライヴでもストリングスが入るんだ。アルバムに入っているものは全て、ライヴで再現されるんだよ。別の楽器で弾くかもしれないし、実際のオーケストラ・アレンジで再現されることもあるんだ。
-ファースト・アルバム『End Of Silence』と今作『Innocence & Instinct』ではMichael(Vo)の歌い方が大きく変わったように感じます。1stと比較すると今作は声質は太くなり歌い方がたくましくなったように感じますがこの変化は意識的なものなのでしょうか?
知った人は皆ショックを受けるんだけど、ああ見えて彼はクラシックの教育を受けたシンガーなんだ。だから色々な表現方法を持っているのさ。
-人間の二面性がメイン・テーマとなっており、ダンテの神曲の中の「地獄篇」からインスパイアされているとのことですが、なぜこのテーマを扱おうと考えたのですか?
僕は、ツアー中に暇つぶしのためによく本を読むんだ。そして、今回のアルバムの曲作りを始めた時に読んでいたのがダンテの「神曲:地獄篇」だったんだ。これは人間性についてのすごく複雑で奥の深い詩篇で、頭韻法も使われている。より宗教的なアプローチをしているんだ。地獄に下って行った主人公が何を見て、何を体験するかといったことが描かれているんだけど、そこには痛みや苦しみや傷について描かれている。そして、REDの曲でよく描いているのはまさにそういったことなんで、これはいいと思った。
『Innocence & Instinct』には、人間の二面性と特徴が描かれている。僕たちには必ず邪悪な面があって、僕たちに付きまとい戦っている。かと思うと善い面もあって、常に悪を克服しようとしている。でも、どちらも決して全面解決には至らず、どちらかが一方を打ち負かすこともない。僕たち全員、一生戦って行かないといけない。そういったことについてのアルバムにしたかったんだ。そんなにコンセプチュアルなアルバムではないけど、全ての内容をまとめるとこうなるんだ。
-またアルバム・ジャケットも「地獄篇」に密接にリンクしているように感じましたがいかがですか?
「地獄篇」の世界観とも共通性はあるだろうね。アルバム全体の“壮大で美しく”、一方で“恐ろしくもある”二面性を良く表現できていると思う。
-ファースト・シングル「Death Of Me」のプロモーション・ビデオを見させていただきました。まさに人間の二面性をコンセプトにしたストーリーになっていると感じました。
中でもPV後半に2人のMichaelが向き合い、スクリームするシーンは衝撃的ですね。
このPVはメンバーのアイデアも反映されているのでしょうか?
ほとんどは監督のアイデアだったんだ。あのビデオを撮影したのはツアー中で、超忙しい中でスタジオ入りしたんだよ。毎日別の州へ行って、前の日にいたところから翌日には300マイルも離れたところに行っていたから、みんなで落ち着いてビデオについての話をする暇がなかったんだ。でも、撮らないといけなかったから監督に任せたんだけど、実に見事にやってくれたよ。曲の感じをビデオで見事にとらえてくれた。あんまりアートっぽくて全体が把握出来ないようなものじゃなくて、そういう要素もありつつ曲の内容をちゃんと表現していると思うな。
-DURAN DURANのカバーが収録されていますが少し意外なセレクトに感じました。 この曲をセレクトしたわけを教えてください。
確かに、意外に思った人たちはいたよ。僕たちがいかにもやりそうな曲じゃないものね。でも、テクニック面であの曲にはかなり深いものがある。ラジオでかかるようなポップ・ソングの典型的なコード進行じゃないんで、その奥深いところに僕たちは惹かれたんだ。あと歌詞の面でも、ネガティヴなことは捨てて、より良い場所を見つけてユートピアというか、完璧な世界を求めている、という内容なんだけど、それこそまさにこのアルバムで語っていることなんだよ。それに僕たち全員この曲のファンだから、カバーしてREDっぽい曲に仕上げたかった。そうして出来たのがこれなんだ。
-あなたがたのライヴをYOUTUBEで拝見したのですが、ギターを激しく回したりと非常にパワフルなパフォーマンスですね?ライヴにおいて、あなたがたが重要だと考えていることを教えてください。
ライヴをやっている時は、エネルギーをふんだんに発散させたいと思っている。そうすることによって、すごくアグレッシヴなショウにすることが出来るんだ。だから、動きもたくさんあるし、バンドとオーディエンスとの絡みも多い。レコーディングの時と同じように、常により良いものを提供し、出来る限り頑張りたいと思っているんだ。ツアーはかなりこなして来て、ライヴもたくさんやって来て、大勢のオーディエンスを見て来たから、みんなの心に残るような際立ったことをやりたい。単にステージに立って曲をやる以上のことをやりたいんだ。
-ヴォーカルのMichaelとベースのRandyはピアノも担当とのことですが、主にレコーディングのときに演奏するのでしょうか?ライヴでピアノを演奏することもあるのですか?
レコーディングでも演奏するし、ライヴのステージにピアノが置いてあるんで、曲によっては使うんだ。ピアノは、ライヴにおいて大事な役割を果たしているんだよ。
-ドラマーのHaydenはツアー中の事故から脱退に至ったと聞いていますが、もし支障がないようでしたらなにが起こったのか教えてもらえますか?
2007年秋に交通事故にあって、もともと事故で悪くしていた左肩をさらに痛めてしまったんだ。ドラマーとして必要な動きができなくなって、活動を休止せざるを得なくなってしまった。
-現在は4人で活動を行っており、ドラマーは加入していないようですね? 今作のドラムのレコーディングはどなたが行っているのですか?
ジョー・リッカードという、もともとHaydenのドラム・テックをやっていた男さ。
-また正式メンバーを加入させる予定はありますか?
それはまだ誰にもわからない。Haydenの回復を心から望んでいるし、俺たちは俺たちのベストを尽くしたい。
-このアルバムリリース後にぜひとも来日公演を実現させて欲しいものです。 日本に来る計画はないのでしょうか?日本のファンにメッセージをお願いします。
REDはまだ日本でプレイしたことがないから、ものすご~く楽しみにしているんだ。日本でプレイするのはアメリカのアーティストが切に望んでいることだから、本当に楽しみにしているよ。早く日本に行って、言葉や文化の壁を乗り越えてみんなと交流したいよ。音楽でみんなと一つになりたいんだ。既に僕たちのファンになってくれた人達、インターネットやその他の手段で僕たちを見つけてくれた人達にライヴに来てもらって、僕たちのパフォーマンスを観てもらいたい。
Innocence & Instinct
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