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KOOPA | 激ロック インタビュー

KOOPA:Ollie Coper (オーリー・クーパ)

インタビュアー : MAY-E

KOOPA

-エレクトロニクスの発達も影響していると思いますが、最近は音のグルーブやダイナミックさを重視するバンドが増えてきました。そんな中であなた方のようなストレートなロック・サウンドは逆にとても新鮮に感じました。結成当初から音楽スタイルは変わらないのですか?また、具体的に目指しているサウンドはどのようなものですか。

僕らも時々はエレクトロニック・サウンドやシンセなんかも使っているんだよ。音を膨らませるためにね。だけど、たいていミックスの段階でとても小さな音になっちゃうんだ。まぁ基本的には、ドラム、ベース、ギター以外のものは使っていないに等しいよ。僕らはサウンドを"生"のままにしておくのが好きだからね。そういった意味でも、僕らはエレクトリック的なサウンドを避けているのかもしれない。結局、そういった音は僕らに何のアピールもしないんだよ。もちろん将来的どうなるかはわからないけどね。
僕らはちょっと前までは、もっとポップ・パンクなサウンドだった。だけど、今はもう少しロック寄りだ。そんな感じで僕らのサウンドは成長しているんだよ。もちろん、根本的なサウンドが変わることはないけどね。
確かに僕らはいろんな音楽の影響を受けているし、こんなサウンドにしてみたいな、なんて思わせるアルバムもたくさんある。だけど僕らは、僕らのサウンドを僕ら自身の力でリアルなものにしようとしているんだ。誰かの真似をしたサウンドをつくろうなんて、当然思っていない。僕らはただKOOPAのサウンドを鳴らしたいだけなんだ。

-アルバム・タイトル「LIES SELL STORIES」にはどんな意味が込められているのですか?

毎日の生活の中、いろんなところで嘘はつかれているよね。特に政府とかメディア、そして自分の近くにいる人たちの間でも。時には良い嘘もあるけど、たいてい嘘は悪い意味で使われている。だから人は、「嘘は、物語、とりわけ事実ではない物語、として売られている」と信じてると思うんだ。それをもじって『嘘が物語を売る』というタイトルにしたんだよ。
けど元々は「人は、僕らの曲がチャートに入った後、僕らはなんて偉大なんだと突然祭り上げた。だけど、そうじゃない、と思った瞬間から僕達を酷評した」ということに対しての、皮肉の意味でもあったんだ。これは、皆を喜ばせることはできない、という考えに対しての一つの例だと思うんだ。チャートに入るまで、僕らは本当に楽しんでゲームのように音楽に接していた。だけどチャートに入った瞬間、こうしたゲームのような楽しみはだんだん消えていったんだ。楽しみながら音楽に接していない、というのはある意味、嘘でもある。だけど、そのおかげで色々と考えるようになって、僕らのサウンドは進歩した(物語が作られた)から良かったんだけどね。

-パンク~ポップ・パンク曲が中心ですが、SMASHING PUMPKINSを髣髴とさせるほどメランコリックでエモーショナルな曲までもあり、あなた方のサウンドからは様々な要素を感じることが出来ます。曲作りは全員で行っているのですか?また、どのようなプロセスで出来上がっているのでしょうか。

完成した曲は、チームとしてのバンドの努力の結果なんだ。確かに、僕は大半の曲を書いている。けど、僕がバンドのリーダーというわけではないよ。二つの頭は、一つの頭よりぜんぜん良いからね。で、三つの頭は二つの頭なんかよりずっと良い。まず僕が曲を書く。そして、StewartとJoeが彼らのパートを書いて曲に肉付けをするといった感じかな。
具体的には、Joeはプロデューサーやエンジニア的な役割も果たしているので、僕が書いた曲をまず彼のスタジオに持ち込む。で、ドラムマシンで僕が作った曲をもとに、JoeとStewart が、僕と相談しながら、彼らのパートを付け加えていく。こうして曲ができたら、皆でそれを聴いて、どこを変えようか、とかどうしたらもっとクールになるかな、なんて話し合うんだ。それを繰り返して満足がいくようになったら、次の曲にとりかかる。これが曲作りのプロセスだよ。バンドの中にJoeみたいなエンジニアがいるのは本当に助かるよ!
じゃあ君はどうやって曲を書いてるの、っていう質問には答えられないな。だって僕にもそれはわからないから。急に曲が現れるんだよ。僕は、曲を書こうと思って曲を書いたことはないんだ。いつも曲が降りてくるのを待っているんだよ。「曲はより自然発生的であるほど、いいものになる」と僕は思うよ。あんまり曲作りについて考えてしまうと、音楽から楽しみという要素が除去されてしまうからね。

-70年代以降のパンク・ロックをしっかりと受け継いでいるようにも感じていますが、影響を受けたアーティストを挙げて下さい。

皮肉にも、僕は70年代のパンクはほとんど聴いていないんだよ。僕の生まれる前のパンクで聴いたことがあるのは・・・。まあ、SEXPISTOLSやCRUSHを少しくらいかな・・・。だけど、SEXPISTOLSやCRUSHを聴く前から僕はもうパンクだったんだよ。
僕が最初に聴いたパンクで大好きだったのはポップ・パンクのバンドさ。BLINK-182、THE OFFSPRING、GREENDAY、SUM41といったね。これらのバンドはみなアメリカのバンドだけど、2000年から2001年にかけて、大きなポップ・パンクのムーヴメントがイギリスであったんだ。僕がちょうど13歳から14歳の時かな。だから、僕に影響を与えたのはこうしたアメリカのバンドで、70年代のイギリスのパンク・バンドではないんだ。
で、ポップ・パンクのムーヴメントがなくなった後、僕はポップ・パンクのヴァイブを持つ自分なりのサウンドを確立しようとしていたんだ。おそらく僕らは、ポップ・パンクなサウンドでイングリッシュ・アクセントで歌う最初のイギリスの若いバンドだったと思うよ。僕らは14歳くらいの頃からこうしたサウンドを磨いてきたんだよ。

-3ピースのパンク・バンド自体そんなに多くないですし、特にUKではあなた方のようなサウンドを鳴らすバンドは数限られていると思うのですが、あなた方の地元であるエセックスは音楽活動しやすい環境でしたか?

クーパを始めた時、僕は14歳だった。で、BLINK-182がイギリスで一番人気があるポップ・パンクのバンドだった。だからその頃は、イギリス中どこにでもトリオのパンク・バンドはいたんだよ。で、それぞれのバンドの中に、Mark役、Tom役、そしてTravis役の奴がいたんだ(笑)。大半のバンドは最低のサウンドを出していたんだけど、そうしたシーンの中には、良いバンドもいくらかはいたんだよ。僕らみたいにね(笑)。けど、ムーヴメントが去った後、だれもポップ・パンクなサウンドを出さなくなったんだ。一つのバンドも。僕はその理由が全くわからなかったよ。これもイギリスの音楽産業のせいじゃないかな。ギター・サウンドのバンドは、しばらくは『ポップ』を禁句にしたくらいだからね。で、こうして今も残ってる唯一のバンドは僕らだけんなんだよ。
また当初から僕らは地元のエセックスに留まるようなことはしなかったんだ。イギリス中のいたるところに手をひろげていたんだよ。インターネットの力を借りることでね。しかも、僕らの本当に信頼できるツアー用のバン(名前はリンフォード)のおかげで、地元に留まることなく、いろんなところにライヴをしに行けたんだ。

-「ポップ・パンク」とカテゴライズされることもあるでしょうが、そう呼ばれることに抵抗はありますか?また世界的にも「ポップ・パンク人気の低迷」などと言われていますが、現在の音楽シーンをどう見ていますか。

そうだね。ポップ・パンクは今、世界のどこでもあまり人気がないと思う。だから僕は今のシーンを良くは思ってないよ。僕は小さな頃からポップ・パンクが好きだったから。
けど、ポップ・パンクはいささか僕らを困らせたりもする。確かに、僕らをポップ・パンク・バンドってラベリングすることは簡単さ。だってそうした箱に僕らを押し込んじゃえば、僕らを語るときに楽だからね。けど、ポップ・パンクというカテゴリーはもはや世界中のどこにも存在しないものだから、僕らをポップ・パンクとカテゴライズすることで多くのリスナーを失ってしまうんじゃないか、とも思うんだよ。
まぁ、悲観的なことばかりではないよ。だって僕らのこのアルバムは全くのポップ・パンクのアルバムではないからね。ポップ・パンクよりもっとパンク寄りなアルバムだと思うんだ。さらに、普通のパンク・ロックでもない。KOOPA独自の音だと思うよ。僕が言ってることを理解するには、まず僕らのこのアルバムを聴かないといけない。一回聴いてもらえれば良い意味での驚きを得られると思うよ。
僕はイギリスのミュージック・シーンは今、ぐらついた状況の中にあると思うんだ。ラジオはいろんな種類の音楽をかけてるんだよ。まるで、それぞれのそうした違った音楽に敬意を表す、というよりも、互いを押し潰してしまうような感じさ。例えばセクシーな人たちによってつくられるセクシーな音楽。こうした音楽は、レコード会社が(ロックやパンクの)バンドに注意を払うことをやめるように強制し、一発屋を作ることにお金を使わせるようになる。いろんな音楽に注意を払って、シーンのことを考えて大きな絵を描くことより、いわゆるあぶく銭をつくることのほうを重要にさせてしまうんだよ。だから今、シーンには僕らが埋めなくてはならない大きな隙間があると思う。その隙間を埋めるためにも、僕らみたいな音楽も聴いてほしい。僕らにチャンスを与えてほしいんだ。

-ポップ・パンクのリスナーだけでなく、KOOPAは広くロック・ファンに好まれるであろうサウンドですが、KOOPAはどこのシーンとリンクしているのでしょうか。

僕らは誰ともリンクしていないと思うよ。だって今、僕らみたいなバンドはあんまりいないからね。

-親交の深いバンドがあれば教えて下さい。

一つのバンドの名前をあげるのは難しいな。僕らはたくさんのバンド仲間を持ってるからね。いくつかのバンドは有名だし、もの凄く有名なバンドもいたりする。バンドではなくてミュージシャン名をあげてくれ、という質問にしてほしかったな。それならBLINK-182のMark Hoppusだよ。だって僕らは彼とこのアルバムを作ったからね。

-02年結成だそうですが、現在オフィシャルで使用されているアーティスト写真を拝見するととても若く見えますが、メンバー皆さん今おいくつですか?

僕が14歳の時にバンドは結成されたからね(笑)。僕は21歳。Stewartは26歳。Joeジョーは28歳だよ。

-Blink 182や+44のMark Hoppus(Vo/B)をプロデューサーに、RED HOT CHILI PEPPERSなどの仕事で知られるChris Holmesをエンジニアに迎えていますが、彼らを起用した経緯は?また、彼らとの仕事はいかがでしたか?

僕らのレーベル、PIED PIPER RECORDSに「そんなに高くなければどんなプロデューサーと仕事をしてもいいよ」と言われてたんだ。で、Jerry Finn(RIP)、Rob Cavallo、Tim Armstrong(RANCID)、Billie Joe Armstrong(GREENDAY)、Rick Rubinなんかも含まれていた膨大なリストを、色々とまとめていたんだよ。けど、そのリストのトップはMark Hoppusだったんだ。僕らは彼とTravisが+44のアルバムをプロデュースしていたのを知ってたんだよ。で仕事をするなら彼が一番だと考えていたんだ。
僕らはレコーディングの為に4週間、カリフォルニアで過ごしたんだ。本当に素晴らしかったよ!実はMarkと仕事をすることは凄く怖かったんだ。だって彼ときちんと話してからレコーディングの開始まで3日間しかなかったからね。しかも、彼は僕がティーンの頃にアイドル視していた人だからね。結局のところ、彼は本当に普通の人だったよ(笑)。彼と出かけたりすることは、クールで楽しいことだった。彼は僕らのためにいろんなことをしてくれたし、なにせ、音楽を抜きに考えても彼は最高の人間だったからね。僕は彼みたいにコンピューターを操る人を今までみたことはなかったよ。

-「UK初、レコード契約のない新人がチャート・イン」したとして、当時、日本でもいくつかのメディアでニュースに上がっていました。フィジカルでのリリースがないにも関わらずUKチャート40位にランクインするという偉業を成し遂げたこと、また、それによってよりメディアに騒がれ大きく注目されたことをどう受け止めていますか?

これはもの凄い偉業だったと自分でも思うよ。今まで破られることのなかった記録だからね。一方では、その後、契約のために色々なレーベルと話したんだけど、彼らは次の作品のチャートの話題ばっかりして、あげく僕らをコントロールしようとしたんだ。けど、僕らは自分達で全てをコントロールしたかったんだけどね。

-周囲の環境は大きく変わりましたか?

確かにチャートに入ったことで、僕らは知られた存在になったよ。けど、チャートに入った2007年の1月から今まで、前と変わらずぼくらは一所懸命がんばっていたよ。

-国によってチャートのシステムに違いこそあれ、このニュースは世界中のインディー・バンドにとって励みになったと想像します。インディー・バンドから激励のメッセージをもらったりしたことは?

うん。たくさんの素晴らしいメッセージをもらったよ。皆、ぼくらのこの偉業を素直に受け入れてくれたんだ。

-もともとアルバム/レコードでのリリースにそれほど固執はなかったのでしょうか。DL販売についてはバンドによって考えも様々で、「CDの売上よりライブでの物販の売上の方が重要」とDL販売については肯定的な意見もあれば、またその逆の意見もあります。あなた方はどうお考えですか?

僕らはCDもリリースしたかったんだよ。けどお金がなかったんだ(笑)。一方で音楽業界のチャートのルールが変わりつつあることも知っていた。2006年の終わりからダウンロードだけの売り上げでもチャートに反映される、ということは知ってたんだよ。これはチャンスになるかもと思ったし、実際そうなったしね。ダウンロードで音源を発表するには大きなコストはかからないという事実のおかげで、音源を売ることがとても楽になった。だから僕らはCDのリリースは必要なかったんだよ。そうした意味ではダウンロード販売には肯定的かな。

-リリース後は世界ツアーの予定があるそうですね。バンド結成当初から、世界規模での活動は視野に入れていましたか?

全然考えてなかったよ。ましてやチャートに入るとも思ってなかったからね。僕らはただ音楽をプレイしたかっただけだし、ライヴをやって楽しみたかっただけなんだ。けどライヴをやるとオーディエンスから良いリアクションがきて、彼らは次の僕らのライヴにも来てくれるようになった。で、僕らは真剣に音楽をやることを考えるようになったんだよ。

-アルバム・リリース直前ですね。今のお気持ちと、ツアーに向けての意気込みをきかせてください。

今、日本でのライヴのことを話し合っているんだ。なるべく早くアナウンスできるようにしたいよ。日本にいけることにとても興奮しているよ。なにせ初めての日本だからね。日本のキッズは大好きなバンドに対して凄くクレイジーになると聞いたことがあるんだ。皆が僕らを気に入ってくれるといいな。


KOOPA ライズ・セル・ストーリーズ

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