2007年5月9日(水)東京:渋谷 club Qatro
ライター:MAY-E / フォト:Masanori Naruse(http://www.myspace.com/masanori)

SAOSIN単独・東京公演。
開演10分前、すでに会場は大勢の人で溢れかえっていた。
それもそのはず、この日のチケットはソールドアウト。私を含め、SAOSINに対するファンの期待がどれほどのものかを表しているようだった。

受付を済ませると、メーカーさんにこんなものを頂いた。

なんと、SAOSINのメンバーが前日に食べたご飯のセットリスト!
このセットリストの後半に注目。デザートの後にまた揚げ物を食べているあたりがお茶目ですよね(笑)
面白い、洒落がきいています!

フロアに移動すると、前方はもちろん後ろにも横にも人人人・・・。
開演前にして、すでに空気が薄い。
19:00、この緊張感をブチ破ったのはオープニングアクトのNEW STARTING OVER。
ステージに登場すると、大きな拍手で迎えられていた。
彼らも昨年のTaste Of Chaos Japan Tour以来、2回目のSAOSINとの共演であるためか、緊張してる様子もなく余裕の感じられる堂々としたパフォーマンス。
blind
let my heart bleed again
新曲
we'll stand when the world starts over
story ending
falling down
今までのNSOには無かったプログレっぽさも感じられる新曲(これがまたかっこいい!)を織り交ぜたセットリストで、持ち時間の約40分間はあっという間に終了。
NSOは間違いなく日本を代表するスクリーモバンドであると、彼らのライブを見た後はいつも納得させられる。それだけ彼らの楽曲には強い説得力があり、同等の実力を兼ね備えたバンドなのだ。

そして、ついにSAOSINのライブが幕を開ける。
フロアの照明が落ちた瞬間、湧き上がる「SAOSIN」コール。
前方はすでにステージ上のメンバーがバックライトに照らし出されると、その歓声は悲鳴にも近いものに変わる。いくつも挙がるこぶしを見て、思わず鳥肌が立った。
ファーストアルバムの1曲目であるIt's Far Better To Learnのイントロが始まると同時にステージは真っ赤なライトで染め上げられ、興奮した気持ちが一気に加速する。
アルバム通りそのままSleepersへ流れ込む。スタートしてからこの時点ですでにフロアは完全にヒートアップしていた。
「アリガトー!」「オマエラ、サイコー!」など日本語でのMCを挟みつつも、ほぼ休みなく立て続けに「Burry Your Head」「I Can Tell」と人気曲を披露。

ヴォーカルのコーヴ・リバーのパフォーマンスや煽りはハードコアバンド顔負けのパワフルなもので、華奢な体でありながら彼から発せられる感極まったハイトーンヴォイスは胸の奥に突き刺さってくる。
ただ、忘れてならないのがそのコーヴのヴォーカルを十分に引き立たせているのはツインギター・ベース・ドラムの4人の楽器隊だ。その他のスクリーモバンドとは比べ物にならない演奏力。ライブでは無論それがダイレクトに伝わる。SAOSINのライブの素晴らしさはこの楽器隊があってこそであると改めて思わされる。テクニカルであるのはもちろんのこと、ギターを首で回すなど、そのパフォーマンスからも目が離せない。

攻撃的に攻めまくる中も「Voices」「I Never Wanted To」「You're Not Alone」などのバラード曲ではフロアを十分に魅了してくれていた。SAOSINのミドルテンポな曲は決して生半可なものではなく、ギターは唸り、メロディーも力強いものだが、それ故かコーヴは歌いながらも終始動き回り、フロアを煽りながらマイクを向けたりすることが多いのだが、バラード曲であってもそのパフォーマンスは変わらないのだ。テンションを落とさないことは素晴らしいのだが、この3曲に関しては、キッズを煽らずにマイクスタンドにかじりつくようにとことん歌に徹してほしかった。コーヴの声が若干聞こえにくかったのも残念。わざとらしいくらいエコーをきかせるくらいのほうが良かったのかもしれない。
とはいえ、フロアの大合唱と、「Voices」でのコーヴの最後のフレーズにはゾクゾクさせられたが。

「Taste of CHAOSに来た人はいる?あの時より、今日のほうが最高だ!」なんていう嬉しいコメントも飛び出し、エッジの効いた「Follow And Feel」のギターリフがはじまるやいなや、フロアはまたモッシュの渦へ。一緒に歌いながら、拳を挙げてモッシュする大勢のキッズ達。
その興奮を残して、アンコールを含めて全13曲でライブは終了。
生のSAOSINの姿は、CDと同様の、いやそれ以上の神々しさを放っていた。

SAOSINの結成は2003年、前任ヴォーカリストであるアンソニー・グリーンとともにEP「Translating the Name」通称:「白盤」をリリースしている。名曲「Seven Years」が収録されたこの白盤で、SAOSINの人気は爆発し、アンソニーはカリスマヴォーカリストとしてキッズから崇められた。しかし、アンソニーは脱退。ご存知の通り、その後は現在のヴォーカルであるコーヴが加入しフルアルバム「SAOSIN」をリリースしている。
驚いたのはtaste of CHAOS JAPAN TOURでも同様であったが、コーヴがヴォーカルを努める以前の白盤から3曲も披露したことである。
「Seven Years」はもちろんであるが、白盤のタイトルにもなっている「Translating The Name」、そして本編の最後を「They Perched On Their Stilts, Pointing And Daring Me To Break Custom」でしめくくった。
アンソニーと他のメンバーの不仲説が浮上したり、白盤の再発を他のメンバーが拒んだというような説もあったので、このセットリストには驚かされた。
さらに「Seven Years」では、今まで叫ぶことのなかったコーヴも絶叫していた。
彼はあの時、何を想ってこの歌を歌い、叫んでいたのか・・・。
白盤に魅せられたSAOSINファンと脱退したアンソニーとの間で、彼はここに来るまでに大きな葛藤があったに違いない。
だが、コーヴはすでにアンソニーを超えている。
今の「SAOSIN」というバンドに、アンソニーの幻影を追い求めているものはもういない。
SAOSINは新しい場所へたどり着いた。そしてさらなる高みを目指すバンドであることを、この日のライブを見て確信した。
SAOSIN、素晴らしいライブをありがとう!

1. It's Far Better To Learn
2. Sleepers 
3. Translating The Name
4. Burry Your Head 
5. I Never Wanted To
6. I Can Tell
7. You're Not Alone
8. Follow And Feel
9. Seven Years
10. Voices
11. They Perched On Their Stilts, Pointing And Daring Me To Break Custom

<アンコール>
12. Let Go Control
13. Some Sence Of Security




album SAOSIN / SAOSIN
¥2,200(税込) TOCP-66645
artist official site
http://www.saosin.com/
http://www.myspace.com/saosin

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