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LIVE REPORT

京都大作戦2017 ~心の10電!10執念!10横無尽にはしゃぎな祭!~【3日目】

2017.08.09 @京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ

Writer 岡本 貴之

京都大作戦3日目、この日の予報は曇りのち雨。朝から薄曇りの空が広がっていたが、気温はそこそこ高く、湿気も多いためじんわりと汗ばむ感じだ。そんなあいにくの天候にもかかわらず続々とお客さんが入場。10時30分にdustboxのSUGA(Vo/Gt)がステージに上がると恒例のラジオ体操が始まり、10-FEETを始めとするアーティスト、観客と一緒に身体を動かして3日目がスタート!



源氏ノ舞台:SUPER BEAVER

最終日の源氏ノ舞台にトップバッターで登場したのはSUPER BEAVERだ。"3年前、我々が初めて出させていただいたフェス、京都大作戦。土砂降りの牛若ノ舞台をハッキリ覚えています"と渋谷龍太(Vo)。ここ源氏ノ舞台に立っていることが夢を叶えた証明、とばかりに1曲目に「証明」を持ってきた。力強いギターのパワー・コードに乗せて始まったライヴは、オープニングから両手を広げて盛り上がるエンジン全開の光景が繰り広げられた。"あの丘を越えるまですごく時間がかかった気がした"と牛若ノ舞台から大舞台に成長したバンドの誇り高きMCに続き、躍動感溢れるリズム隊と、途切れることなくかき鳴らし続けるギターが観客を巻き込んだ「美しい日」、「青い春」では観客が両手を広げて大合唱となった。"あと2曲です、まだいけますか?"と呼び掛ける渋谷。丁寧な言葉遣いとは裏腹に観客を自在にコントロールしているかのようなステージングが心憎い。客席前方に乗り込んで煽る姿も堂に入ったものだ。最後は「ありがとう」で感謝を伝えてステージを降りた。大舞台が相応しい、確かな歌唱力と演奏力、シンガロングできるバンドの楽曲の親しみやすさを感じさせるライヴだった。


源氏ノ舞台:dustbox

小雨がパラつく源氏ノ舞台に立ったのは、dustboxだ。登場するなりSUGAがギターを爪弾きながら"思いっきりやろうぜ! 「Jupiter」!"と勢いよく演奏開始。そのまっすぐなパンク・ロックが観客をイキイキとさせて、ステージ前にたくさんの人が押し寄せている。ダイブ、モッシュが次々と起こり、セキュリティにキャッチされたファンたちがどんどんフィールドに走って戻ってきて再びダイブする。そんな光景がタイトルとリンクしたのは2曲目の「Riot」で、ステージ前のセキュリティも大忙しといった様相だ。10-FEET、Dragon Ashと同じく10年連続皆勤賞の彼ら。しかしながら、"毎年、オファーが来るのかヒヤヒヤしている"と、本音とも冗談ともつかないセリフをJOJI(Ba/Vo)が語る。出演するのが当たり前のように見える常連バンドにとっても、多くのバンドにとって憧れの舞台に立ち続けることのプレッシャーがあること、そしてそこに立ち続けていることの誇りを感じさせた。MCを少なめに、次々と曲を披露していくあたりがパンク・ロック・バンドらしい。「Hurdle Race」ではギターを弾くSUGAのもとになぜかTAKUMA(Vo/Gt)が食べ物(カレーライス?)を持ってきて口に運ぶシーンも。「Neo Chavez 400」では10-FEETのNAOKI(Ba/Vo)が登場してベースをプレイ、さらにROTTENGRAFFTYの侑威地(Ba)もステージに上がり途中でベースをプレイするというスペシャルなものに。そして、"あいつらにありがとうを言いたくて新曲持ってきました"と言うSUGA。10-FEETに聴かせたい新曲、とはいかなるものか? 期待が高まるなか、ステージ袖に3脚のパイプ椅子が用意され、本当に10-FEETの3人が着席してスタンバイ。いったいなんの見学会なのかという風景に思わず笑ってしまったのだが、次の瞬間披露されたのは新曲ならぬ10-FEETの「ヒトリセカイ」。ドッと沸いて一緒に歌い出す観客たち。当初は嬉しそうに椅子に座って見ていた3人だが、結局TAKUMAもマイクを取り歌唱に参加。2組の友情を感じさせる大盛り上がりのライヴはファンには思わぬ贈り物となった。


源氏ノ舞台:氣志團

10-FEETと同じく結成20周年の氣志團。團長・綾小路 翔(Vo)の"かかってこいや喧嘩上等!"の第一声で特攻服のダンサーを従えてパフォーマンスを開始すると、8月リリースのアルバム『万謡集』に収録される、TAKUMA作詞作曲の「フォーサイクル」を初披露。ゴリゴリなベース・リフが先導する重たくダークなハードコア・チューンとなっており、間奏の西園寺 瞳(Gt)のコード・プレイはTAKUMAの奏法を思わせるものだった。"そろそろいこうぜ! いけんのか京都大作戦の向こうへ!"と、「One Night Carnival」でライヴは後半へ......と思いきや、途中のブレイクからおかしな展開に。"みんなが思ってることはひとつ、「飯行くなら今じゃね?」"と、自虐的な長いMCで大爆笑を取り、最前に陣取っているファンは次に出番を控えるWANIMA目当てなのもわかってるよ、と言いつつ"WANIMAにはなれないけど、WAKIGAにはなれる!"と「One Night Carnival」をWANIMA風に演奏。さらにマキシマム ザ ホルモンの「恋のメガラバ」風にも演奏するというサプライズ。爆笑をかっさらい、"これからが本番だぜ!"と、フェスの盛り上がりに一役買って出た、彼らにしかできないエンターテイメント・ショーを見せてくれた氣志團に誰もが拍手喝采を送っていた。


源氏ノ舞台:WANIMA

SEの時点で観客が盛り上がりまくりのWANIMAの出番。KENTA(Vo/Ba)、KO-SHIN(Gt/Cho)、FUJI(Dr/Cho)は登場するやいなやステージを縦横無尽に動き回り、とにかく落ち着かない、じっとしていない。これからライヴをすることが楽しみで仕方がない、といった感じだ。タオルを広げて、"みんなと10-FEETと、京都大作戦に会いにきましたWANIMAです!"と満面の笑顔で観客に向かうKENTAを見ているだけでこちらも楽しくなってくる。ブンブンベースを唸らせながらオープニング曲「BIG UP」を始めると、サビではモッシュ、ダイブの嵐が巻き起こり、大変な騒ぎに。続いての「Hey Lady」でも三位一体となった音の塊が放たれながら、キャッチーなメロが心地よい。今が旬のバンドならではの爆発力に圧倒される。KO-SHINがTAKUMAから譲り受けたというエクスプローラー・モデルのギターを手に"日本で一番10-FEETがスキー!"と叫んで10-FEETをカバー。曲は「VIBES BY VIBES」だ。TAKUMAも参加、その手にはレスポールが握られていた。疾走感のあるナンバーを喜びいっぱいに演奏する3人。憧れのアーティストと大舞台に立っていることがどれだけ夢のあることか。見ている観客たちにビンビン伝わるコラボだ。爆発的な盛り上がりを見せたあとは、モータウン・サウンドを思わせるリズムに甘酸っぱいメロディを聴かせる「CHARM」。そして、"バイトするならタウンワーク!"と叫ぶと大喝采! CMで披露している曲「ララバイ」だ。アップテンポに合わせて畳み掛けるような怒濤の演奏、歌は圧巻。ライヴは「ともに」で終了かと思いきや、KENTA自ら"アンコール! アンコール!"と手拍子を促してアンコール(?)へ。その突き抜けた明るさはもう笑うしかない。ラストは「やってみよう」だ。サウンドはハードだが、メロディの親しみやすさは随一なWANIMAの魅力が詰まった、遊び心とサービス満点のライヴだった。


源氏ノ舞台:MAN WITH A MISSION

MAN WITH A MISSIONの登場を待ちわびる源氏ノ舞台。開演時間にしゃなりしゃなりとステージに上がってきたのは、なぜか舞妓さんと羽織袴姿の男たち。こ、これはいったい!? しかもどうやら管楽器を持っているではないか。このオリエンタルなホーン・セクションが奏でたのは、「そして伝説へ」。10-FEETのライヴでSEとして使われている曲だ。条件反射でタオルを広げる観客たちの前に姿を現した狼たちは、10-FEETばりにドラム・セットの前に集まり拳を合わせたものだから、当然大喝采。そして1曲目はやはり、MAN WITH A MISSIONとTAKUMAのコラボ曲「database feat.TAKUMA(10-FEET)」だ。ステージに駆け込んできたTAKUMAはステージの端から端までアクションを見せながら客席を煽る。3日間、あちこちのステージに登場してコラボを見せているTAKUMA。最終日ともなれば疲れもピークなのではないかというこちらのいらぬ心配をよそに、エネルギッシュなヴォーカルを聴かせている。Tokyo Tanaka(Vo)とステージ中央で向かい合ってライムをぶつけ合う。日本のラウドロック、ミクスチャー・ロックのカッコよさを体現した両者の共演、最高のオープニングで火がついた観客にさらに油を注いでくれたのが、人気曲「Get Off of My Way」だ。イントロが鳴るだけで"おぉっ!"という歓声と"Oi Oi!"と拳が上がりヒートアップ。Jean-Ken Johnny(Gt/Vo/Rap)のラップでダンサブルに踊らされて、日本語のサビメロではシンガロングが起こる。見れば、フィールド上はもちろんのこと、遠くの斜面でブルーシートに座っていたお客さんの多くも立ち上がって踊っているではないか。京都の丘の上で5匹の狼に踊らされる人間たちってなんだか異様だ。でも、この快楽には抗えない。"ヤルコトハ、ワカッテマスヨネ? 縦横無尽ニハシャギナサイッテコト!"とJean-Ken Johnnyが叫ぶ。 エレクトロなイントロから歌われたのは、「Raise your flag」。"きっといつか/いつか何処か/辿り着くと信じて"と歌われる熱いメッセージ・ソングだ。こうした曲の熱さが、ここ京都大作戦に詰めかける観客に刺さっているはず。ラスト「Emotions」の大合唱がそれを証明していた。


源氏ノ舞台:マキシマム ザ ホルモン

ステージ転換中、雷の音が響いて空は黒い雨雲に覆われてきた。マキシマム ザ ホルモンのライヴはいきなりの「恋のメガラバ」で初っ端から大爆発。重低音に合わせてスクリームするダイスケはん(キャーキャーうるさい方)のヴォーカルに煽動されて腕を上下にフリフリ、ヘドバンと、観客たちは天候など関係なし! と言わんばかりだ。"みんな、そろそろシャワー浴びたかったでしょ? これ特効(特殊効果)です!"とナヲ(ドラムと女声と姉)。さらに嵐に引っ掛けて、カメラ目線で工藤静香の「嵐の素顔」を振り付きで披露したものだから爆笑するしかない。続く「シミ」でも雨風お構いなしで怒濤の盛り上がり。どんどん悪化していく空模様に反比例するように、会場の熱量は上がっていくばかり。「「F」」が終わると"超~かっこよかった、今の景色。はしゃいでるお前らの遥か向こう側にすごい稲妻がビビ~って"とおどけるダイスケはんのMCもちょっと笑えないくらいになってきた。ここで、雷がお客さんの命に危険があるということで中断が決定。源氏ノ舞台にいたお客さんは体育館などに避難した。

そして2時間近くの中断のあと、18時30分にライヴ再開の準備に入ることをアナウンス。19時過ぎ、10-FEETの3人がステージに。20時には音止めをしないといけないため、ホルモン、ROTTENGRAFFTY、10-FEETが協力してできる限りライヴをやることに。だが、ホルモンのライヴは残念ながらさっきで終わり......と告げると、"ちょいちょいちょい~おかしいやん!"とホルモンのメンバーが登場! ここにきてのコントのようなやりとりに笑いながらも"いいから早く!"と、誰もがはやる気持ちを抑えられない。"きたできたで~! 完全に鳥肌立ってる。俺たちは今、伝説の中にいる!"そうナヲが叫ぶと、「恋のスペルマ」で再開。10-FEET、氣志團、WANIMAらがステージに上がりダンス&コーラス。とてつもない盛り上がりのなか、"ありがとう、京都大作戦サイコー!"とナヲが絶叫してホルモンのライヴは熱狂のうちに幕を下ろした。


源氏ノ舞台:ROTTENGRAFFTY

ホルモンがステージを降りると、すぐに大勢のスタッフが一斉にステージに上がってきた。そしてわずか10分程度で楽器のセッティングを終えて転換終了。ものすごいスタッフたちの働きぶり、その意気を感じ取ったお客さんたちは手拍子でスタッフを後押しする。残り時間が少ないなか、サウンド・チェックを終えるといよいよ源氏ノ舞台のセミ・ファイナル、ROTTENGRAFFTYの出番だ。勇壮なSEに乗ってステージに上がると、観客から大きな拍手で迎えられたNOBUYA(Vo)、N∀OKI(Vo)、KAZUOMI(Gt/Prog)、侑威地(Ba)、HIROSHI(Dr)の5人。"10周年、伝説継続中! お預けくらったぶんだけ、溜め込んだ思いを、俺らに全身全霊、乗っけてこい! 俺らが京都、ROTTENGRAFFTY!"とN∀OKIが叫ぶと、エレクトロなビートが鳴り響き「D.A.N.C.E.」からスタート。"3曲しかねぇからさ、思い切ってこいよ!"とのMCで残りの曲数を知った。暗いステージから咆哮するN∀OKI、NOBUYA。ドライなサウンドが雨上がりの空に広がっていく。バンドのものすごいテンションに煽られて観客は大ジャンプ、サークル・ピットで走り回る。ギュッと引き締まったバンド・サウンドは、このシチュエーションでさらに際立っている。"ラスト2曲! かかってこい!"とNOBUYAが叫ぶ。まるで生き急いでいるように、性急なイントロから放たれた「THIS WORLD」に一斉に手拍子が起きる。轟音にヘドバンで応え、右手を突き上げる観客たちも明日のことなど考えていない熱狂ぶり。もともと、10周年記念の最終日というシチュエーションに加えてこの状況がさらにライヴをより激しくしていることはもちろんだが、彼らの真の実力、楽曲の力があるからこその盛り上がりだ。そして、ライヴは早くも「金色グラフティー」でラストを迎える。イントロからの大合唱を受け、"10-FEETの想いはここ太陽の丘に"と歌詞を変えて歌う粋なNOBUYA。思わずグッときた。全力で3曲を終えると、"俺たちが京都のROTTENGRAFFTYだ! ライヴハウスで待ってるわ!"と存在感を伝説の一夜に刻んでいった。


源氏ノ舞台:10-FEET

さぁ、ついに京都大作戦10周年の3日間を締めくくるときがやってきた。すでに終了時間の20時まで、残りわずか10分弱程度。いったいこの時間でどんなライヴを見せてくれるのだろうか。ステージに上がる10-FEETにはもちろんいつものSEはない。登場するとTAKUMAは"すいません、3曲しかできません! でも絶対最高のもん見せます、よろしくお願いします!"と叫ぶと、始まったのは高速パンク・ソング「DO YOU LIKE...?」だ。1分程度の曲だが、最後の歌詞では"Do you like 10-FEET?"と歌われる。そこにはいろんな想いが詰め込まれているように思えた。"ラスト2曲、受け止めてくれー!"とギターを鳴らしたTAKUMAが歌い出したのは「その向こうへ」。3日間にわたり、毎日歌われたこの曲。ステージには、ROTTENGRAFFTYのN∀OKIとNOBUYA、MAN WITH A MISSIONのTokyo Tanaka、Jean-Ken Johnnyも上がってきてともに歌う。出演者、観客、スタッフ、すべての人の想いが集まったかのような、ものすごい大合唱。ただでさえ感動的なこの曲をさらに魅力的なものにした。歌い終わったTAKUMAは"ヨッシャ~、なんとか間に合う! みんなごめんな、でもありがとう!"と叫ぶと、会場中から大拍手。ごめんな、なんて言わなくてもいい。決して誰のせいでもない悪天候による中断だけに、これだけのものを見せてくれているだけで感謝だ。きっとその場にいた誰もがそう感じていたに違いない。"来年また、リベンジさせてくれよ! 本当にもう時間がないから、魂を込めてこの歌でありがとうの気持ちを伝えます! 2017年京都大作戦、関わってくれたみんな、本当にありがとうございました!"と伝え、最後に歌われたのは「CHERRY BLOSSOM」。"やまない雨などない"と歌われるこの曲を歌いながら、"みんな俺らを助けて!"とTAKUMAが言うと、ステージ袖から次々とミュージシャンたちが登場して10-FEETを盛り立てて大団円となった。
"みんな協力してくれてありがとう! 大好きやで! あと40秒しかないけど、またみんな、絶対生きて会おうな。今年もありがとうございました! 京都大作戦、終了! ありがとうございました!"と言って、一本締めで締めくくったのがほぼ20時。すべての人が目一杯の情熱と愛情を持ってアクシデントを乗り越えた最終日。困難を迎えたときにこそ発揮される人間力。それは、10-FEETを始めとする出演者たちの歌からいつも我々がもらっているもの、そのものだったような気がする。素晴らしいライヴの思い出しか残らなかった3日間。京都大作戦、最高!

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