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LIVE REPORT

京都大作戦2017 ~心の10電!10執念!10横無尽にはしゃぎな祭!~【2日目】

2017.07.08 @京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ

Writer 岡本 貴之

2日目も快晴のスタートとなった京都大作戦。初日に降った雨の影響で地面はぬかるんでところどころ水たまりもあるものの、朝からの日差しですでに乾いている場所もあり、さほど影響はなさそうだ。土曜日ということもあり、今日から参加のお客さんが多いかと思いきや、田原104洋が"昨日来た人!?"と呼び掛けると、かなりの手が上がっていた。カウントダウンを経て、今日も最高のアクトが多数登場する。



源氏ノ舞台:The BONEZ

2日目の源氏ノ舞台のトップバッターはThe BONEZ。JESSE(Vo/Gt)が大きく腕を広げてステージ中央に立ち、"始まるぞ!"と第一声を上げると、ZAX(Dr)が鼓動のようなバスドラを鳴り響かせて、「To a person that may save someone」の勇壮なサウンドが放たれる。アコギを弾きながら歌い出すJESSEに、"ウォオオ!"と声を合わせジャンプする観客たちですでにフィールドはギッシリ、ものすごい熱気だ。疾走感のある楽曲「Place of Fire」ではダイバー続出。間奏の煌びやかなギターのフレーズに合わせて、多くの人が頭上で手を叩いている。まだ午前11時にもかかわらず、ステージ前のキッズはどいつもこいつもとてつもなく元気だ。"どうも、リベンジ・マッチしにきたThe BONEZです!"。そう、昨年の牛若ノ舞台でのこと、「Louder」でステージの電源が落ちてしまうというトラブルに見舞われてしまったことを指しているのだ。ただ、去年音が出なかったらここに出られているんじゃない、ずっと突っ走ってきたことでこの源氏ノ舞台に立っているんだ、とプライドを感じさせるMCから演奏開始。すると、なんとまた音が止まってしまったではないか。マジなのか!? ざわつく観客たち。しかし、なんとこれはバンドが仕掛けたドッキリ! "ドッキリ大成功ー!"とJESSEが叫ぶと大喝采。してやられた! そして、キッチリ昨年の落とし前をつけるべくその勢いで「Louder」をプレイすると、ライヴはさらに盛り上がりを増していく。いやはやなんとカッコいいバンドなのだろうか。NAKA(Gt)がお立ち台に上がりリフをかき鳴らし、"京都! 走れますか!?"とのJESSEの呼び掛けに、サークル・ピットがステージ前に出現。上半身裸のJESSEがさらに煽り、最後に披露されたのは「Zenith」。爆音を投げつけてライヴを終えた4人は肩を組んで深々とお辞儀をし、ステージを降りた。"俺らが一度だってヘタったライヴをやってたら、呼ばれなかったと思う"とJESSEは言った。そんな自信が伊達じゃないことがわかる、風格漂うライヴを見せてくれた。


源氏ノ舞台:東京スカパラダイスオーケストラ

日本全国のフェスに欠かせないパーティー・バンドといえば東京スカパラダイスオーケストラ。CMでお馴染みのあの曲、「Paradise Has No Border」がいきなり飛び出すのだから、盛り上がらないわけがない。不特定多数を楽しませる術を知り尽くしているスカパラならではのオープニングだ。GAMO(Tenor Sax)が右手を突き上げて煽りまくる。谷中 敦(B.Sax)がマイクを手にしてこれまた定番曲「DOWN BEAT STOMP」が始まると、観客が大合唱。会場はものすごい人、人、人だ。北原雅彦(Trombone)が大ジャンプをキメるなど、縦横無尽のパフォーマンスで盛り上がったところで、谷中が"10-FEET、TAKUMA!"と呼び込み、チェックのスーツとキャップ姿のTAKUMA(Vo/Gt)が登場。「hammer ska」を共演すると、ステージ前にドッと人が押し寄せてダイバーで揉みくちゃになる。ステージの端から端まで、歩き回りながら歌うTAKUMA。ウォール・オブ・デスも自然発生する爆発ぶりだった。TAKUMAの出番はこれだけに終わらず。「Samurai Dreamers <サビレルナ和ヨ> feat.TAKUMA(10-FEET)」、さらに「閃光 feat. 10-FEET」と、三度の共演でその都度Tシャツ姿だったりあたふたとスーツに着替え中だったりしてファンをおおいに楽しませつつ、京都大作戦ならではの最高のエンターテイメントを見せてくれた。


源氏ノ舞台:Ken Yokoyama

ひとつ前のスカパラのライヴ中のこと、「ペドラーズ」の途中でふと見ると突然、次に出番を控えるKen Yokoyamaがギターを持ってステージ中央に登場。一瞬だけギターを構えてポーズをキメるとステージ袖に走り去っていったのだった。そんな遊び心のある姿を見せてくれるのも、いかにこのフェスがアーティストにとって最高の舞台であり遊び場であるのかを物語っているではないか。たくさんの日の丸が掲げられるなか、"この場所に帰ってこれて嬉しい! 無理せず最後までケガなく楽しんでってくれな。Ken Bandはちょこっとだけ無茶なライヴするけど"と言いながら、マイクを客席に投げ込むと「Let The Beat Carry On」で口火を切ったKen Yokoyamaのライヴ。ダイバーだらけのステージ前の光景は、"少しだけ無茶なライヴをするけど"というMCを証明していた。「Punk Rock Dream」が歌われると、ステージ前から後ろまで、一斉に腕が上がり大合唱となった。いわゆる"ハイスタ世代"ではない若いリスナーたちの心もガッチリ掴んでいることがわかる。"5年連続出演、この土地を守ってきた10-FEETに拍手を!"と呼び掛けると、お互いをリスペクトし合うミュージシャンの姿に盛大な拍手が起きた。感謝の気持ちを込めて、と始まったのは「I Won't Turn Off My Radio」だ。静かなアルペジオからストロークして歌い出すと、ものすごい数のダイバーが次から次へとステージ前に送り出されてくる。さらに、背中に国旗を纏い「Save Us」を歌うKen。"なんであの人日の丸振ってるの? って思うかもしれないけど、右翼でも左翼でもないよ! 別に韓国でも中国の旗でもいいんだぜ!"の声に観客の中からフランス国旗が掲げられ、大喝采が沸き起こった。そして、先日からの九州の災害に触れ、東日本大震災のときに感じたことを歌にしたという「Ricky Punks III」から再びマイクを観客のもとに放り込むと、ラストは「Believer」。ひざまずきながらギターを弾きまくる無邪気なギター・キッズとしての姿と、メッセージを送り続ける真摯なアーティストとしてのアイデンティティの両方が垣間見れたステージだった。


牛若ノ舞台:Crystal Lake

午後4時前、強烈に刺すような西日が照りつける。源氏ノ舞台からここ牛若ノ舞台まで移動するには約10分程度だろうか。いや、相当な人混みのなかで移動すると、かれこれ15分以上かかるだろう。しかもこのジリジリと焦がすような日差しはかなり厳しいが、そんななかでも熱心なファンが列をなして続々と牛若ノ舞台に集まってきた。登場するのは、Crystal Lake。ステージ中央のお立ち台に上がったRyo(Vo)の叫び声は観客のものすごい声援で聞き取れなかったものの、挑発的に煽っていることは明らか。オープニングの「Matrix」から怒濤の轟音が耳をつんざく。凄まじいドラムの連打はまるで工事現場にいるかのような気分にすらさせてくれる重低音だ。そこにRyoのデス・ヴォイスが炸裂すると、観客はじっとしていることなどできるはずがない。「Mercury」、「Rollin'」と続くうちにさらにライヴは過熱。文字どおり、灼熱のステージに向かって人の群れが次々と飛び込んでいく様は圧巻だ。Ryoは観客の上に立ち、揉みくちゃになりながら歌い出す。"ここまで飛び込んでみろよ!"と挑発されると、ますますヒートアップする観客たち。後方にいるファンもヘドバンで自分を解放している。ラウドロックの真骨頂とも言える光景だ。"このフェスを通じて、ここ京都から日本の文化を世界に発信していこうぜ!"、そんなアツいMCも飛び出した。"知ってる奴は全員手を上げろ! 知らない奴も全員手を上げろ「Black And Blue」!"と、感情を抑えるような静かな始まりからスタートしたこの曲「Black And Blue feat. JESSE (RIZE/The BONEZ)」では途中、JESSEが突然ステージに乱入! 会場のボルテージはマックスに。"最高だよ! この場所を作ってくれた10-FEETに拍手を。そして来てくれたお前ら自身にも拍手を!"とRyo。ラストは凄まじい2ビートのリズムに乗せて幻想的且つ狂暴なサウンドを生み出した「Prometheus」で、灼熱のステージに轟音を叩きつけてステージを降りた。


牛若ノ舞台:NAMBA69

夕暮れ時、とんぼが飛び交う和やかな牛若ノ舞台。ひとたびライヴが始まるとそんな和やかさとは一転した激しい音が飛び交うのだから面白い。NAMBA69のライヴは、そんなシチュエーションの中でサウンド・チェックが始まる。自らステージに上がりマイク・チェックする難波章浩(Vo/Ba)が、"Hey 京都ー!"叫ぶとすぐさま応える観客たち。ノリノリの観客を前にした難波の、"嬉しいなー、圧倒的なウェルカム感! 来たなパンクスども!"の声にファンも嬉しそうだ。「THE WIND OF CHANGE」でライヴが始まると、いきなりダイブの洪水と化す牛若ノ舞台。一緒に歌を口ずさみながらダイブ、フィールドに戻るとさらに腕を振り上げて再びダイブと、実に運動量の多いライヴだ。かといってそんな姿を見せるのは若い男性ファンだけじゃない。年齢的にはおじさん世代もいれば華奢な女性もいる。みんなパンク・ロックに身を委ねて嬉々として楽しんでいる。「LET IT ROCK feat. JESSE」ではJESSEが登場! ダイブしてファンと揉みくちゃになりながら盛り上げた。JESSEはこのあとも源氏ノ舞台でのDragon Ashのステージに登場するなど、1日中八面六臂の大活躍ぶりだった。"まだまだこんなもんじゃねぇよなぁ!? もっとイケんだろ京都!?"という難波の声に、観客は一斉にステージ前に。怒濤のリズムで「MANIAC」が始まると、スカ・ダンスを踊ったり、サークル・ピットができたりと最高の盛り上がり。ステージ前に脱げた靴が落ちてるくらいだ。"自分の人生、生きてるか!? まさか生かされてねぇよな!? ぜってぇ負けんなよ。どんなときも屈するわけにはいかない。それがパンク・ロックの根源だ。パンク・ロックは好きですか!?"と呼び掛けてから始まった「PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT」だが、イントロの途中で曲をストップ。"ダメだダメだ、そんなんじゃさっきの俺のMCが台無しだ。そんなもんじゃねぇだろ。でっかいサークル作ってくれよ"と煽り、さらにヒートアップさせた。そして「MY WAY」では観客がステージに上がり、あまりの大渋滞ぶりにTAKUMAがセキュリティとして活躍(?)する場面も。どんなときもパンクスとしての確固たるアティテュードを感じさせてくれるNAMBA69だった。


源氏ノ舞台:Dragon Ash

10年連続出演となるDragon Ash。風格漂うそのライヴは、実に感動的なものとなった。まずはダンサーのDRI-VとATSUSHIが登場、続いて演奏陣が登場して「Mix It Up」からライヴがスタート。マイナーなリフが緊張感を忍ばせ、Kj(Vo/Gt)のヴォーカルがアジテーターのようにさらに煽る。続く「PULSE」はTHE MAD CAPSULE MARKETSのカバーだ。文字どおり"PULSE=脈"を感じさせる活き活きとしたサウンドに乗って、ダンサー共々ステップを踏むように演奏するKjとKenKen(Ba)。明るくキャッチーなメロディに大合唱が起こり、フィールドはお祭り騒ぎの様相だ。Kjは、"クソでけぇ台風で中止になった1回目も、もう一度同じメンバーで集まって開催された本当の1回目も、俺たちのバンド・メンバーが死んじまった年も、誰かが生まれた年も。10-FEETはこの場所を歯を食いしばって守ってきたんだ"と、10年続けてきたことへの称賛のMCを拍手で迎える観客たち。
KenKenがベースを鳴らすと、大きなKenKenコール。となると、あの曲。KenKenを大きくフィーチャーしたナンバー「The Live」だ。超絶スラップで会場を熱狂させた。"毎年毎年バンドマンに夢を見させてくれてありがとう"とKj。そんな素直な言葉も、この大観衆を前にした正直な気持ちなのだろう。だが、10-FEETのメンバーやJESSEが登場して一体となった「Fantasista」を見ているこっちこそ、夢を見させてもらっている方だ。JESSEとKenKenが並んでポーズをキメると大歓声が沸き起こった。"音楽を愛する気持ちを忘れないでください"、そんなKjの真摯なMCから、ラストに披露された楽曲は「A Hundred Emotions」。BOTS(DJ)が鳴らす電子音のリフレインからエンディングに向けて高まっていくサウンド、それを支える櫻井 誠(Dr)のプレイが凄まじい。"そのくらい最高の笑顔で、10-FEETを迎えてあげてください"。リフレインと大きな感動を残し、トリの10-FEETへと繋いでステージを降りた。


源氏ノ舞台:10-FEET

10-FEETの3人はいつものようにドラム・セットの前に集まり拳を合わせる。TAKUMAは何やら声を上げて喉の調子をチェックしているようだ。例年ならこの日が最終日だが、今年は3日間、まだ明日がある。しかし、きっと明日のことではなく今日のこれからのライヴのことしか考えていないに違いない。そんな全力投球ぶりが窺えたのが、"見せてみろよー!"と叫んでから始まった「その向こうへ」だ。いきなりのアンセムの投入にもちろん大合唱。続く「FELLOWS 1.5」は古い曲、との紹介で始まったものの、戸惑う観客などいないようだ。FIRE BALLを呼び込んでの「STONE COLD BREAK」では、メンバーに囲まれながらダミ声で歌うTAKUMAとラップするFIRE BALL。KOUICHI(Dr/Cho)の連打するキックが、ステージから離れたエリアで見ていても足元に響くほどの迫力だ。さらに"大阪籠球会"がバスケットボールをドリブルしながらステージに参加しての「Freedom」では、TAKUMAを先頭にEXILEばりのフォーメーションをボールを持ちながら表現するパフォーマンスも見せてくれた。そして、これまたコラボ曲となった「2% feat. 湘南乃風」では、NAOKI(Ba/Vo)がイントロを弾き出すと、なぜか普段は入らないギターをたどたどしく弾こうとするTAKUMAをNAOKIが諭してから陶酔しきってベースを弾く小芝居(?)を。そしてもちろん、湘南乃風が加わって盛り上げた。"純粋さを知るために片っ端からみんなのこと疑って、いつか本当の純粋さに辿り着けると思っていた"と心境を吐露するTAKUMA。しかし、そんな思いが間違っていたことを仲間たちのライヴを観て感じたという。
"もう1回、イチからやり直そうと思ってます"と、本人にしかきっとわからないであろう心境を表したMCから歌われた「太陽4号」が心に沁みる。続いて歌われた「ヒトリセカイ」のシンプルこの上ない演奏と、言葉少なな歌詞まっすぐな歌声が観客たちの声と重なった瞬間は思わず目が潤んでしまった。そのまま、ラストの「goes on」では、大観衆は大爆発で狂ったように踊りまくった。アンコールではKOUICHIがエコー効きすぎなマイクを使ったMCで笑わせつつメッセージを送ると、「RIVER」へ。大合唱となった曲の後半、Kjが登場。照明を落として、スマホや携帯をかざすように促すと一面が光に包まれた。いつもDragon Ashが見せる演出をここで見せてくれた。そして、Kjが歌うかと思ったわけだが、なぜかKOUICHIと交代してドラムを叩きだし(しかも上手い)、KOUICHIが歌うことに。途中、TAKUMAに歌をリレーしたものの、Kjのドラムで最後まで聴かせるサプライズ演出だった。この日のエンディング曲は「風」。"俺らも頑張るから、お前らも頑張れよ!"、そんなストレートなメッセージを送って2日目を締めくくった。

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