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LIVE REPORT

京都大作戦2017 ~心の10電!10執念!10横無尽にはしゃぎな祭!~【1日目】

2017.07.07 @京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ

Writer 岡本 貴之

今年もこの季節がやってきた! 10-FEET主催フェス"京都大作戦"。もともと10-FEETが"10周年を機に何かをしたい"ということでたくさんの仲間を集めて始め、毎年7月に2日間にわたり開催され、京都の夏の風物詩としてすっかり定着したこのフェス。今年は開催10周年ということもあり、"京都大作戦2017~心の10電!10執念!10横無尽にはしゃぎな祭!~"と題して初めて3日間の開催となった。延べ6万人を動員した、"伝説の3日間"をレポートする。

初日朝、京都駅に着くとすでにフェス・スタイルの男女がたくさん。一気に気分が盛り上がる。会場に到着すると、京都大作戦名物のラジオ体操がすでにスタートしており、早くも多くの観客が参加して身体を動かしていた。梅雨時期ということもあり、雨に見舞われることで有名なフェスだが、この日は見事な晴天。天候も10周年を祝ってくれているようだ。MCを務める"トシちゃん"ことMOBSTYLES田原104洋がステージに上がり、大作戦出演皆勤賞のバンドたちを観客たちと唱和。注意事項をアナウンスしてから、"京都大作戦、楽しんでいこうぜ!"と呼び掛けて、カウントダウンからいよいよ開幕!


源氏ノ舞台:My Hair is Bad

源氏ノ舞台のトップバッターを務めたのはMy Hair is Bad。"京都大作戦、おはようございます! 10周年、一発目任されました!"という椎木知仁(Gt/Vo)の誇らしげな第一声から「アフターアワー」でライヴがスタートすると、ステージ前は沸点に達したように腕を突き上げる。「クリサンセマム」ではノリノリでジャンプしたりステップを踏んだりしながら歌う椎木。広いステージを満喫しているようだ。リズムを支える山本大樹(Ba/Cho)、山田 淳(Dr)との確固たるサウンドは、牛若ノ舞台のアクトとして出演した2015年からさらに強固になっているはずだ。"なんでここに立ってるかわかるか!? ロック・バンドとして、源氏のステージに挑戦しにきました! あんたらの心を焦がしにきたんだ!"と叫び饒舌にまくし立て、「夏が過ぎてく」まで全7曲、トップバッターの大役を見事に果たした。


源氏ノ舞台:竹原ピストル

サウンド・チェックからビートたけしの名曲「浅草キッド」、吉田拓郎「落陽」まで聴かせた竹原ピストル。本番で武者のようなその姿を再び現すと「ドサ回り数え歌」をおもむろに歌い出す。ゴリゴリと重量感のあるストロークから「LIVE IN 和歌山」へ。ある人へのメッセージをユーモア混じりに歌い、聴く者の心になんとも言えないじわりとくる余韻を残す。バンドだらけの出演者の中でアコギ1本で殴り込んできた迫力に、観客も固唾を飲んで見守っているようだ。そんな展開が変わったのが、アップテンポなシャッフル・ナンバー「みんな~、やってるか!」。"今日も順調に、黄色い声援ゼロでもう5曲目です!"とユーモアも忘れないが、矢継ぎ早にラップ調に歌われる「ママさんそう言った ~Hokkaido days~」は完全にフォーク・ソングの域を超えた迫真の歌唱だ。CMソングで代表曲「よー、そこの若いの」が飛び出すと、フィールド上を行き来する観客も、"あ! この曲知ってる!"と言わんばかりに振り向き、合唱も起こる盛り上がりとなった。そして10-FEETがオープニング曲を務めたドラマ"バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~"のエンディング・テーマとなっていた「Forever Young」も披露。アコギ1本ながら単なる弾き語りとは違う、表現力豊かなライヴで存在感を見せた。


源氏ノ舞台:サンボマスター

SE「モンキーマジック」に手拍子が沸き起こるなか登場したサンボマスター。山口 隆(Vo/Gt)は"おめぇら元気足んないじゃねぇか!? ビビってんじゃねぇー!"と気合の一発。元気がないわけがないのだが、さらにドッと盛り上がるから言霊とはすごいものだ。"京都大作戦10周年、ミラクル起こさねぇと、本日は帰れま10(テン)!"と「ミラクルをキミとおこしたいんです」からライヴがスタートしたのだが、山口は終始"帰れま10! 帰れま10!"とコールして煽りまくりながらステージを進行。観客は完全にサンボマスターの掌の上だ。
誰もが知るヒット曲「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」の曲タイトルが叫ばれると、モッシュピットができる大爆発、大合唱。"愛と平和!"を大観衆と一緒にコールしてからのブレイクで"悲しみで花が咲くものか"と山口が叫んだシーンは鳥肌もののかっこよさだった。"おめぇたち、死なないでまたここに来てくれるって約束してくれるか?"と熱いメッセージから最後に歌われた曲は「ロックンロール イズ ノットデッド」。君が生きている限りロックンロールは死なない、ロックンロールがある限り生きていこう。そんなメッセージと京都大作戦10周年が重なり合ったライヴだった。


源氏ノ舞台:Nothing's Carved In Stone

午後4時をまわり、陽はまだ高いものの時折吹く風が心地よい。そんな凪を感じる時間に登場したNothing's Carved In Stone。"いこうぜオラ!"との村松 拓(Vo/Gt)の掛け声と生形真一(Gt)が奏でる幾何学的なギターの複雑なフレーズを核としたオープニング曲「Isolation」のサウンドは、少しフェスの興奮に落ち着いてきた頭をぶん殴れるような刺激的なもの。そして、日向秀和(Ba)が強烈なベース・プレイも存分に発揮。叩きつけるように弾くリフが大喜多崇規(Dr)とともにグイグイとバンドを牽引すると、4人が一丸となって高まるようにサウンドをぶつけ合う。リズム隊の作る音の塊の上を縦横無尽に翔けるギターも鮮烈だ。「Honor is Gone」では日向のスラップ・ベースに大歓声。「Out of Control」の高速で刻まれるドラムのハイハット、ディレイがかかったギター・リフが印象的な演奏は、広い源氏ノ舞台にピッタリのスケール感があるもので、ステージから遠いブルーシートに座っている観客たちまで確実に届いたであろう。マシンガンのようなキレのあるキメが飛び出した瞬間は実にスリリングだった。「Spirit Inspiration」の疾走感あるダンサブルな演奏と歌に煽られて、踊りまくる観客たち。その変幻自在なバンド・アンサンブルは、キッズからマニアックな大人の音楽ファンまで楽めるものだった。


源氏ノ舞台:SiM

ポツポツと降り始めた雨は、SiMが登場するころには上がっていた。彼らはどうやらライヴで雨に降られたことがないらしい。そうしたシチュエーションとなれば、誰もが"伝説のMC"を期待したくなるもの。そんな空気を察知しないMAH(Vo)ではない。すかさず"お前ら、伝説のMC期待してるんだろ!? やりづらいんじゃー!"と叫んで爆笑を誘うあたりはさすがだ。"京都大作戦、この10年で唯一にして最大の失敗は、SiMをでっかいバンドに育て上げすぎたことだ!"と自信満々のMCから「KiLLiNG ME」で戦闘開始。"かかってこい京都ー!"の声に煽られて、大観衆が一斉に腕を振り上げる光景は壮観だ。SHOW-HATE(Gt)は「Amy」で流麗なタッピングをキメると、映像のカメラに向けてピース・サイン。"このステージはもはや、10-FEETだけのものじゃなくて、全国のバンドマンの憧れのステージです。帰ってこれて嬉しい!"とのMCから、夢を見続けることの大切さを語るMAH。"9年前、初めて京都大作戦に出演したときにやった曲"として「paint sky blue」をプレイ。緩いテンポながらヘヴィなサウンドが腹に響く。幻想的な音像の中を"泳げ!"とクロールのような仕草を見せる。そして、"京都の先輩たちに捧げます"とMAHのひと言から奏でられたギターのイントロは、なんとROTTENGRAFFTYの「金色グラフティー」。どよめく観客を前に"いや、京都なんだけど、そっちじゃないよ!"と演奏を止めるMAH。すると今度は本命の京都の先輩(?)10-FEETの「goes on」が飛び出し、観客も大合唱! 今度は楽器陣が演奏をピタッと止めて"やらへんのかーい!"と突っ込む。まさに"でっかいバンド"となったSiMの余裕を感じさせる一幕だった。ラストの曲は「JACK.B」。トライバルなリズムに加えて日本的な祭りのリズムも感じさせ、なおかつ様式美的な香りも漂わせるサウンドで観客たちを踊らせたライヴ。ステージを降りるころに再び雨が降り始めるという、晴れバンドの奇跡を思わせるドラマチックなステージだった。


源氏ノ舞台:10-FEET

初日から最終日まで、源氏ノ舞台のトリを飾るのは、もちろんTAKUMA(Vo/Gt)、NAOKI(Ba/Vo)、KOUICHI(Dr/Cho)の3人、10-FEETだ。SiMのライヴが終わると一時は再び雨が降り出してかなりの雨量だったものの、彼らがステージに上がるころには見事に晴れ、ステージ後方に夕陽が見える最高のシチュエーションになった。タオルで埋め尽くされた会場にメンバーが姿を現し、ドラム・セットの前に集まって拳を合わせる。TAKUMAが"ありがとうございましたー! いくでー!"と声を上げて、「RIVER」のトレブリーなイントロを奏でると、大合唱しながら踊って応える観客たち。この光景が10年間も続いているという奇跡を目の前にすると胸が震えるようだ。間奏でハイコードのストロークで、歌メロを表現するTAKUMA。"楽しいー!"と叫ぶ姿はギター・キッズそのものだ。"俺らは毎年2日目でポンコツになる。今年は初日でポンコツになりにきました!"との宣言も本気だろう、続く「JUST A FALSE! JUST A HOLE!」で大観衆を前にして叫んだ"俺らたったの3人やぞ! お前らまとめてかかってこい!"とのMCには気迫が漲っていた。そして"「VIBES BY VIBES」!"と叫んで曲が始まると、KOUICHIが叩くバスドラのビートに呼応して、サークル・ピットを作り肩を組んで歌う観客たち。曲間のMCではメンバーそれぞれの感謝のコメントから、TAKUMAはマイクを通さずに"イェー!"と後方まで声を届かせたものだから、拍手喝采だ。誰もが歌詞に自分自身と大事な人を重ね合わせることができる「アンテナラスト」も歌われた。こうした叙情的な歌を持っているのが、彼らが老若男女問わず支持を集める理由のひとつではないだろうか。そして7月19日リリースのシングル『太陽の月』収録のスロー・ナンバー「太陽4号」を披露。ピアノが加わり、ノスタルジックなムードが高まる10周年に思いを馳せたくなる曲調で、ひと言も逃さないようにステージを見つめて聴き入る姿が印象的だった。本編最後は「その向こうへ」の大合唱となった。アンコールではドラムのKOUICHIがマイクを持ち、TAKUMAがベース、NAOKIがギターを担当して、定番となっている「TRUE LOVE」を歌う。曲中、SiMのGODRiがドラムを叩く場面も。ついに今年、イベントで本家の藤井フミヤと歌えたことで"夢は叶う!"と観客に語るKOUICHIに笑いながらも大歓声が起こった。"古いやつやってみよう"とプレイされた「BE FRIENDS AGAIN」からラストは「4REST」。軽快なロック・チューンで初日の祭りの終わりを全力で楽しむ観客たち。一糸乱れぬようなこの一体感、10-FEETが創り上げてきた京都大作戦の10年間、10-FEETの20年の活動が生み出した熱を感じさせて、初日は終了となった。

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