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LIVE REPORT

a crowd of rebellion

2017.02.15 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 米沢 彰

1stフル・アルバム『Xanthium』を引っ提げ、昨年9月から11月にかけて行ったバンド初の15都市ワンマン・ツアー"Xanthium tour 2016 ~オナモミワンマン塾~ 「初段」"を最初の1公演以外のすべてをソールド・アウトで終え、さらにその間には"KNOTFEST JAPAN 2016"への出演も果たすなど、大きな飛躍を果たしたa crowd of rebellion。その勢いそのままにツアー中に発表した追加公演が今回の"Xanthium Tour 2017 オナモミワンマン塾 ~スペシャル冬季講習~"。12月中には早くもソールド・アウトとなるなど、その勢いは留まることを知らない彼らの今を反映した本公演の会場は恵比寿LIQUIDROOM。元のツアーのファイナルは新宿LOFTだったことから、500人規模から一気に900人規模へとステップアップを果たしたことになる。
 
そんなa crowd of rebellionの勢いに当てられてか、恵比寿LIQUIDROOMの場内はスタート前から異様な雰囲気に包まれ、かなりざわついていた。前も後ろも真ん中も、右も左も熱気を帯びたオーディエンスたちがぎゅうぎゅうに詰め込まれ、今か今かとスタートを待ちわびている。そんななか、不意にBGMが大きくなり、客電が落ちるとともにフロアに歓声が上がる。SEに合わせ、手拍子でメンバーたちを迎え入れるオーディエンス。まだ演奏も始まっていないというのに、熱気が一段上がったように感じられた。そのSEの終わりはあの学校で毎日毎日聞いていた"キンコンカンコン"の鐘の音。あ、そうか、"オナモミワンマン塾"ってことね、と納得しているとそのまま「B.A.I.B」からスタート。
熱く勢いのある演奏に引き込まれるように、1曲目だというのにダイバー続出。そらそうだよね、いきなりこのテンションから幕を開けるんだもの。そのまんま、「Hello, Mr. Judgement.」、「Smells Like Unknown」、「ll:α→Ω:ll」と怒濤のように進んでいく。宮田大作(Vo)が"跳べー! お前らー!"と煽ればフロア全体が飛び跳ねる。ピョンピョンと全体がうねる様に乗る、が、宮田大作が煽ってみても、シンガロングの声はあまり大きくならない。a crowd of rebellionのファンは身体を動かすのは好きだけどちょっとシャイなのかもしれない。見ててかわいく思えるぐらいに動きはいいのだけど、声はあまり出さない。ある意味ではすごく行儀の良いお客さんだ。
 
早くもMC中に上着を脱ぎ、お馴染みのタンクトップ姿になる宮田大作。"もうタンクトップになっちゃった"とおどけるのが自然体で、新しいファンにも親しみやすいキャラクターなんじゃないかと映る。曲が進むなかで挟んでくるMCも軽妙で、少しユルいところが、肩肘張らずに楽しんでもらおうとしている彼ららしい。
「aquarium」では突如ダンサーが乱入。キレのあるコンテンポラリーなダンスがメンバーの間を縫って繰り広げられる。さらにステージ全体にはVJが加わり、もともとエモく儚い曲の世界観が一気に拡張されていく。強力なプロジェクターで、照明とほぼ変わらない色濃さで描かれる世界観とバンドの演奏にオーディエンスは一様に魅入ってしまう。もっと前で見ていればより世界観に没入できただろう。レポートをしなければならない身が恨めしい。
続くMCは引き続きユルいテンションで、しかし内容は随分重い。長年一緒に連れ添った愛犬が他界したことを背景に作られたことを語ったうえで演奏される「Crocus」。"そうだった もういないのか"、"今度もきっと離れ離れになる"などの歌詞が一句ずつ、胸に突き刺さるかのような思いに駆られる。根が良い奴らすぎるのが彼らの良さでもあり、もしかすると弱点なんじゃないかと思うぐらいにピュアで、真面目で、曲にする以外に思いを昇華する術を持たないアーティスト像が浮かび上がってくる一幕だった。
 
そのまま、「Unlostism」、「SATISFIED?」とミッド気味の曲を続け、フロアに感情のマグマを溜めていく。宮田大作がMCで"こっからだからなー!! ここからがキツいんだぞー!"と煽ってからの「Black Philosophy Bomb」で会場のボルテージも一気に跳ね上がる。ジャンプして、手を上げて、ヘドバンして、モッシュしてと超大忙しのa crowd of rebellionらしい超展開の楽曲に、オーディエンスが全力で食い下がっているようにも見える、異様な盛り上がりだが、一歩引いて見ているとドラムのタイトな音が目立つ。今日はこの曲に限らず、ドラマーの近藤 岳がこれまで見た中でも圧倒的なサウンドを叩き出していると言っても過言ではなかった。合わせて、この安定感をさらに増幅させるベースの高井佑典。この音楽性でリズム隊が高いレベルを安定して発揮できるのはこの先も大きな武器になるだろうな、とか考えていたら、見覚えある衣装の女性ダンサーが3人出てきてからの「She'll Never Forgive To Be Insulted.」。3人ともキレッキレのダンスで、見てて首がもげるんじゃないかと心配になるぐらい。ダンサー3人とVJの演出が重なり、ライヴ・バージョンにアップデートされたMVの世界観に一気に引き込んでくる。あとから聞くと、MVで踊っていたダンサーたち本人とのことで、なるほど、納得。
 
MCを挟んでからは激ロックDJパーティーでも鉄板の「Satellitear」、「M1917」でいったん締め。当然のように熱狂に包まれるフロアはダイブの嵐となった。"この曲はあまり耳馴染みがないと思う。なぜなら新曲だから"と発してスタートしたアンコールでは同日夜から公開となった新曲「リビルド」を披露。フロアの全員が全身でノりながら曲を理解しようとする空気感がなんとも言えない一体感を作り出す。そして正真正銘ラストに繰り出すのは「O.B.M.A」。音圧もグルーヴ感もさらに一段上がり、最後まで出し尽くそうとする姿勢がビシビシと伝わってくるパフォーマンスで本追加公演を締めくくった。
 
全体にa crowd of rebellionらしいパフォーマンスだったという感想の一方で、彼らならここからさらにもう一歩も二歩も期待を上回る世界を見せてくれるのではないかという気持ちもまた否定できないのも正直なところ。前作で期待を大きく上回る音源を生み出してきた彼らが、さらなる飛躍を見せてくれるであろうことを強く期待させる、実り多い公演だった。

 
[Setlist]
1. B.A.I.B
2. Hello, Mr. Judgement.
3. Smells Like Unknown
4. ll:α→Ω:ll
5. BLACK ANTHEM
6. Never Say A Gain
7. Traffic Light
8. aquarium
9. Crocus
10. Unlostism
11. SATISFIED?
12. Black Philosophy Bomb
13. This World Is Unreasonable.
14. She'll Never Forgive To Be Insulted.
15. Satellitear
16. M1917
en1. リビルド
en2. O.B.M.A

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