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LIVE REPORT

山人音楽祭2016

2016.09.24 @ヤマダグリーンドーム前橋

Writer 塩﨑 陽矢

G-FREAK FACTORY(以下:ジーフリ)が"群馬がロックの聖地に――。"との思いを胸に、2012年からヤマダグリーンドーム前橋で毎年開催してきた大規模ロック・フェス"GUNMA ROCK FESTIVAL"。昨年の開催は見送られたが、今年9月24日、"山人音楽祭"と名前を改め2年ぶりに開催された。チケットは12,000人完全ソールド・アウト、ジーフリを敬愛する様々なアーティストが集結し、群馬の上毛三山にちなんで名づけられた"赤城"、"榛名"、"妙義"という3つのステージでアツいライヴを繰り広げた今回。"昨年の休催は、全て今年の開催に向けての布石だったと言えるよう、約束を果たす一日になる"と、開催に向けたメッセージを直筆で綴っていたジーフリのフロントマン、Hiroaki Motekiの想いが結実した1日をお届けしたい。


赤城ステージ:ROTTENGRAFFTY
"赤城ステージ"のトップバッターで登場したのはROTTENGRAFFTY! 朝の眠気はその轟音で一気に覚めた。"ダイブやモッシュは(ルール上)なし"の注意事項を1曲目「世界の終わり」で破る。モッシュ、ダイブ、ヘドバンのオンパレードとなったフロアを"見せろ、200万馬力!"とグイグイと引っ張っていくN∀OKI(Vo)。地元 京都で主催フェスを開催している彼らだからこそ、バンド主体フェスのトップバッターの重要性は百も承知。音圧だけでなく、気合いの入れようも尋常じゃなく、その鬼気迫るパフォーマンスに釘づけになる。キャッチー且つラウドなサウンドが自然と身体を動かす最新シングル曲「So...Start」を披露すると、続く「THIS WORLD」では、フロアに降り立ったNOBUYA(Vo)が"お前ら目覚めとんのか!?"とオーディエンスを鼓舞し、会場の温度をさらに上昇させる。後半になってもバンドの勢いは止まることなく怒濤の展開を繰り広げ、ラストに「金色グラフティー」からファスト・チューン「Error...」でフィニッシュ! イベントを勢いづける見事なスタート・ダッシュを彼らはきってくれた。


榛名ステージ:NAMBA69
NAMBA69が"榛名ステージ"に現れると、とめどない歓声が上がる。NAMBA(Vo/Ba)が千羽鶴をステージ上に吊るし、"暴れる準備はいいかい!?"と叫ぶと、普段宴会などで使われているようなフロアが一瞬にしてライヴハウスと化す。「MY WAY」、「ETERNAL GOLD」、「LET IT ROCK」と冒頭から勢いのあるナンバーで、"最初から飛ばしすぎじゃないか?"と思っていたところ、NAMBAが千羽鶴について語り始めた。それは2年前――喉の損傷で緊急入院したNAMBAは、医者に"声が出なくなるかも"と言われて絶望の淵に立たされ、出演予定だった前身フェス"GUNMA ROCK FESTIVAL"のステージに立つことが叶わなかった。この千羽鶴は、当時フェスに訪れていたオーディエンスがひとつひとつにメッセージを書き、折ったものだったのだ。"想いってちゃんと届くんだよ!"と、今このステージで歌える喜びを噛み締め、受け取った想いを楽曲で返していく。バンドとオーディエンスの相思相愛っぷりに胸が打たれた。"パンク・ロックは好きですか?"と、NAMBAの純粋無垢な言葉に心をくすぐられた「PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT」に続き、ラストの「未来へ~It's your future」で来年の出演を約束。彼が放った"一生パンクス"という言葉に、日本のパンク・ロック・シーンの明るい未来が見えた。


赤城ステージ:HEY-SMITH
"もう止まらんぞ!"。猪狩秀平(Gt/Vo)のその言葉が今日のHEY-SMITHのライヴのすべてだったのではないだろうか。猪狩はギターを掲げながら、イイカワケン(Tp)はカメラにジーフリのTシャツをアピールしながら、メンバーが続々と登場。ホーン隊が入り乱れる冒頭の「Endless Sorrow」から、ダイブしては戻ってを繰り返すフロアは本当に楽しそうだ。"ジーフリを、そして自分の友達を想って歌ってくれ!"と、そのまま「Don't Worry My Friend」をプレイ。晴れやかなメロディとYUJI(Ba/Vo)の突き抜けるヴォーカルが、なんとも心地の良い空間を作り上げていく。猪狩の"どんな奴でも大丈夫、俺たちに任しとけ!"と男気溢れる心強い言葉を受け取ったフロアは、スカダンスやジャンプなど、各々身体を動かして楽しむ。"俺らで踊らないつ踊んねん!"と「Radio」で一気に会場をダンス・フロアに変貌させ、良い空気感のまま「The First Love Song」、「We sing our song」と持ち時間の限り全身全霊で祝祭感を加速させていく。来年の出演と開催の願いを込めた「Goodbye To Say Hello」で終わりかと思いきや、最後に「Come back my dog」を叩きつけ、ステージをあとにした。冒頭で述べた猪狩の言葉には様々な意味が込められているのかもしれないが、どんな意味であろうと、この会場にいた人の胸を熱くしたことは間違いない。


榛名ステージ:SA
"なんでもいいから楽しんでってくれ!"と会場を一気にホーム・グラウンドに変えたSA。エネルギッシュな「START ALL OVER AGAIN!」からスタートし、端から端まで誰一人として置いて行かない安心感のあるライヴ運びはさすが15年選手。初見であろうキッズも兄貴肌全開の彼らのパフォーマンスに自然と身体が動いてしまう。"俺らを初めて見た人?"の問いかけに思った以上の手が挙がり、TAISEI(Vo)は苦笑いを見せるが、"見た目以上に強くないでしょ(笑)?"と笑いを誘う。"音楽は耳で聴くものではない。心で聴くもの"と諭すような、彼らの懐の深さを感じられる楽曲が会場のムードをあたたかく包んでいく。先陣切って盛り上げるコムレイズ(※SAファンの総称)に会場全体が盛り上がっていく中、SAのスローガンである"否定をするな、受け入れろ!"を掲げた「DON'T DENY, GIVE IT A TRY!!」にダイバー続出! 極太のグルーヴを生むベースに、ダイナミックなドラム、そしてアグレッシヴなギターと、"これが大人の遊びだ!"と言わんばかりのパフォーマンスに、筆者も拳を突き上げたくなる衝動に負けてしまい、会場と一体になって汗を流した。次に繋げる「DELIGHT」で最後までフロアを焚きつけ、暑苦しく男臭いロックンロールに虜になったオーディエンスの拍手は鳴り止まなかった。


赤城ステージ:MONGOL800
沖縄特有の雰囲気を漂わすSEとともに、MONGOL800のメンバーがマイペースに登場して、ゆったりとチューニングした後、誰をも童心に返らす上江洌清作(Ba/Vo)の魔法の言葉"遊びましょーっ!"でライヴはスタート。「あなたに」、「DON'T WORRY BE HAPPY」と最強コンボで祝祭ムードを急上昇させ、"まだ夏は終わってない"と「OKINAWA CALLING」で常夏ムードに。彼らがずっと地元沖縄を大切にしている気持ちは、ジーフリが地元群馬でこのフェスを開催することに通ずるものがあるのだろう。代表曲「小さな恋のうた」で歌詞の一部を"地元群馬のジーフリの元へ"と変えて初出演への感謝の気持ちを表現し、後半ではオーディエンスの大合唱が巻き起こる。ドーム状の会場のためか、歌声が共鳴して言葉にできないほどの幸福感に包まれる。"今度のアルバム『Pretty good!!』は、1st、2ndに回帰したように、底抜けに明るいから!"と、そこからの新曲「Cinderella」も披露され、"山人音楽祭"の誕生日を盛大に祝った。


榛名ステージ:SHANK
フロアの扉が閉まらないくらいの人が押し寄せた、長崎代表SHANKのステージは高速メロディック・パンクの連打! "ジーフリにはリスペクトしかないです。今日は曲やって帰ります!"と庵原将平(Vo/Ba)が言っていたが、やはりバンドは音楽で想いをストレートに表現するからかっこいいと思う。フロアの中央付近からダイバーが続出した「Cigar Store」、会場全体を揺らしたスカ・チューン「Take Me Back」、松崎兵太(Gt/Cho)のイントロが聞こえた瞬間の爆発力が凄まじい「Good Night Darling」と次々キラーチューンが繰り出され、休む暇を与えない。"群馬は思ったよりも田舎じゃない。でも前橋は大概だった(笑)。似た者同士仲良く楽しみましょう"と挨拶し、「620」、「Movie」、「TOP WATER」など3分にも満たない楽曲たちを連続投下していく。庵原の声を凌駕するオーディエンスの声に負けじと、池本雄季(Dr/Cho)の演奏にも力が入り、ダイナミックなプレイで前のふたりを後押ししているようだ。全11曲、片時も目が離せないステージングでしっかりと爪跡を残していった。